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諸積ゲンズブール

とんこつ

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公開日: 2016/12/01

あれはいつだったか、九州は福岡県で某爆裂AT機(4号機)を打っていた時のことです。

 

その日は朝イチ数十ゲームで引いた純ハズレからATを射止めるという抜群の立ち上がりで、その後もハズレを引くたびにATに繋がるもんですから、開店から2時間を迎える頃には設定6、最高設定を意識せざるを得ない展開となりました。

幸い、翌日も仕事は休みでしたから、閉店までブン回すことも可能。何回打てるかわからない爆裂AT機の推定6を前に胸は高まるばかりで、3000枚オーバーなら今夜は水炊き、5000枚オーバーなら鉄板焼き、万枚を超えようものならラーメンならぬウーメンだと、あらぬ妄想を抱きながらひたすらレバーを叩いていました。ちなみに、ラーメンはとんこつ派ですがウーメンのとんこつは御免です。ってやかましいわ。

 

昼を過ぎた頃でしょうか。割と激しく人が入れ替わる某AT機のシマに、ほんのりと香ばしい匂いが立ち込めてきたのです。

 

クンクン。クンクン。

 

とんこつラーメンに似たどこか嗅ぎ覚えのあるその匂いに、さすが福岡だ、店の中にまでとんこつラーメンの匂いが漂ってくるのかと、腹を空かした僕はスゥーっと大きく息を吸い込んでいたのですが、何度か嗅ぎ続けているうちにおやおや何か違うぞと、これはとんこつではないぞと違和感を覚え始めました。

 

その違和感に気付いてからというもの美味しそうな匂いは一転、吐き気を催すほどの悪臭に感じられ、臭いのもとが何なのかと辺りを見回しておりましたらば、隣の兄ちゃんがクロックスを脱ぎ捨てているのが目に入りまして…。

そう、臭いのもとは彼の足。僕がとんこつと勘違いして吸い込み続けた香りは、豚の骨ではなく人の足から発せられるものだったのです。

 

それに気付いてからというもの、テンションはダダ下がり。僕に並んで調子良く出玉を伸ばし続ける彼がヤメる気配はなく、かといってこの臭いに耐え続けて終日ブン回すほどの忍耐力は僕にないので、とんこつ臭が激しさを増してきた夕方ごろにギブアップ、推定6を日が暮れる前に手放してしまいました。

 

その後、当然ながらそれほどの挙動の台を他のお客さんが見逃すはずもなく近くにいた女性がすぐさまタバコを投げ入れ、しばらく遠目で様子を見ているとその女性はどうやらとんこつ男のツレのようでして、もしかしたら僕は早くヤメろと、その6を俺らに打たせろと、意図的にとんこつ臭を嗅がされていたのかもしれません…。

 

 

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