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元クズ田中

スロ屋作り完結・元クズ田中

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公開日: 2017/07/15

以前にパチスロ必勝ガイド誌面でも連載で書かせてもらっていたが、2016年の1月から静岡の某市で、新規のパチンコ屋を立ち上げるべく動いていた。

 

契約していたセブの住居を引き払って、完全に日本に移り住んだのだから、そりゃ、僕にとっては覚悟を決めた大きな決断だったし、規模は小さいながらも総予算は2億円に迫るものだったから、多少の責任感はあった(それでも多少だが)。だけど、去年の9月に話が頓挫してからは止まったままになり、僕も今年の1月からは静岡の連絡を待ちつつも、セブに生活の拠点を戻していたのだった。

 

去年の1月から先月まで、話が止まっていた期間も含めて毎月、けして少なくないお金が口座に振り込まれていた。会社と僕個人が結んだ業務委託契約にのっとった報酬なので後ろめたいこともやましいこともないはずなのだけど、セブに戻って完全にその話にノータッチなのにもかかわらずお金をもらい続けている生活というのは、自由に生きることをモットーとする僕の足かせでもあった。

 

このまま一生、プロジェクトがスタートしないままお金だけが振り込まれ続けたら、ラッキーなのにね。そんな話をしながらも、僕はいまの状態でこの関係を続けることの、自分の内面に起こる金銭以上のデメリットを十分に理解していたし、いつかは終わらせなければならない。そう思っていたからこそ、一昨日に帰国したその足で真っ先に静岡へ向かい、一晩飲んで頭の中を整理し、社長にアポを取った。大きな決断の前は、必ず酒を飲んで判断力をなくして一歩を踏み出してしまい、後戻りできない状況にしてしまう。パチスロ必勝ガイドを辞めてフィリピンに住む決断をしたときも、そうだった。頭の中でぐだぐだ考えているだけでは、人間というのは決断できないし進めない。まずは退路を断って踏み出してしまう。これが僕のいつものやり方だ。

 

連絡してすぐに会うことになって、子会社の社長室で待ち合わせることになった。最後になるかもしれないスーツを着て指定された時間に向かうと、社長と数人の見知った顔がいて、みんなでメシに行くことになった。

 

歩いて3分のメシ屋にいき、ウーロン茶を注文する。そして乾杯をした直後の第一声で、社長が頭を下げながらこう言った。

 

これまでお世話になりました。そういうことで大丈夫か?

 

無駄な駆け引きや、まわりくどい説明はない。とにかく簡潔に、結論をズバッと言う、社長らしい切り出し方だった。

 

はい、そうしましょう。こちらこそ、大変お世話になりました。

 

これで、終わり。こういう竹を割ったような性格で、かつ豪快さと柔らかさを兼ね備えた社長だからこそ、僕は一緒に仕事をしたいと思った。ほかの人であれば最初に話を聞いた時点で間違いなく断っていた。結果的にはスタートすることなく終わってしまったわけだが、この経験は僕のNPO法人運営にも大きく役に立つものだったし、ムダな1年半ではなかったと、心からそう思う。

 

メシを食い終わって、最後に社長がこう言った。

 

なんか、オレに言いたいことあるか?

 

恨みや愚痴など、もちろんない。最後に金をせびろうとも思わない。そんなことを考える間もなく、自然に言葉は出てきた。

 

今度、フィリピンに遊びにきてください!

 

それを聞いた社長が言った。うーん、オレは出不精でフィリピンまで行くのめんどくせーんだよな。

 

行くと約束したら必ず来る人だ。だからこそ、社交辞令で行けたら行くよなどとは絶対に言わない。

 

お前が今度、子ども達を日本に連れてくることがあったら、言ってくれ。国内でのことは、オレが全部、面倒見てやる。会社をあげて歓迎してやるから。

 

こうやって、縁はつながり、まわっていく。僕はまた、僕の道を探し、そして歩いていく。

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