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スマスロ登場で実現した初代完全再現、北斗図柄を自力で揃える幻の演出など『スマスロ北斗』開発秘話!

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導入から3ヵ月が過ぎた今もなお高稼働を続ける『スマスロ北斗の拳』。そんな大ヒット機種の開発秘話を橘アンジュとヒポたまがインタビューしてきました。前編では、初代再現にかけた想いや幻の演出などについて開発メンバーにお話をうかがっています。

更新日: 2023/07/07

 

 

 

こんにちは、ヒポたまです。

 

今回は『スマスロ北斗の拳』の開発者の方々に、直接お話をうかがうチャンスをいただき、橘アンジュ@RareCoinAnjuさんと一緒にインタビューしてきました。

 

 

 

  

3名の開発者エイリやんA・B・C様に、約2時間みっちりとお話をうかがっています。果たしてどんな貴重なお話が聞けたのでしょうか?

 

それでは早速インタビューをどうぞ!

 

 

6.2号機からスマスロへ、流れが味方した2年半

 

 

『スマスロ北斗の拳』大ヒットおめでとうございます! 今ホールで一番座るのが難しい機種ともいえる『スマスロ北斗』について、開発中のお話や知っているとより楽しめる情報など、ぜひお聞かせ願えたらと思います。

 

 

 

 

◆初代『北斗の拳』リメイクをスマスロで作った理由

 

早速なのですが、初代『北斗の拳』をリメイクするにあたって、6.5号機ではなく、スマスロで作ったのはなぜでしょうか?

 

開発自体でいうと実質2年半ぐらいかかっていまして、開発がスタートしたのは6.2号機が出るか出ないかのタイミングでした。だからいわゆる6.5号機の内容に関しても何の情報も出ていない状態です。そもそもスマスロの存在すらなかった時代にスタートしています。

 

なるほど! 実はこのスマスロに合わせて、温めて温めて出してきたのかなと思っていたんですけど、そうではないってことですね。 

 

みなさんが想像しているよりもはるかに早く開発はスタートしていますからね。いままでも『北斗の拳』は何作も出していますが、やっぱり初代を再現できたことがずっとなくて…まぁ規制の絡みがあったからなかなかできなかったんですけど。

 

ただ、開発がスタートした時期には、ベースとボーナス確率はある程度初代に近いバランスにできる想定だったので、「今回はずっとみんなが求めてる、余計なことをしない『初代リメイク』を作ろう」というコンセプトは決まっていました。

 

ただ、そのタイミングだと6.5号機、スマスロでの内規緩和の話がなかったので、せっかく続いているバトルボーナスも、強制的にエンディングで終了しないといけなくなる状況でもありました。

 

 

では、元々は開発されている皆さんも、現在の完成形『スマスロ北斗』ぐらいしっかり「初代」感が出るとは思っていなかったんでしょうか?

 

そうですね。演出面でいえば見た目、表現方法、音など全て、とにかく初代を意識して作ろうっていう方向性でしたので、そこはそんなに大きく変わっていないです。ただいわゆるスペック面である程度の妥協が必要だなと思っていたので、そこだけはやっぱり運が良かったというか。

 

開発の方も内規の変更ってギリギリまでわからないものなんですか?

 

もちろん皆さんが知るよりも確実に僕らの方が早いですが、どこまで内規が変わるのかというのはわからない状態なんです。「もしもこれが変更されたらこういう作り方に変えられるかも」ぐらいの予測をしながら作っているんですが、はっきり決まるまでは、なかなかすぐに切り替えられないんですよ。

 

対応する準備はしているけど、それが搭載できるかはわからないということですか?

 

そうですね。今回は開発をしている途中で6.5号機が登場して、「差枚で2400枚までOK」になってからは、それを踏まえて作り方も変わりました。

 

そこからさらにスマスロになったことで有利区間の上限ゲーム数が撤廃されてゲーム性が大幅に広がり、一気に初代のバトルボーナスに近づけることができるようになりました。内規の変更も味方して、結果的に今回の『北斗』は一番いいタイミングで作れたんじゃないかなと思います。

 

 

 

◆初代『北斗の拳』をリメイクするのに一番苦労した点

 

先ほどの話の中でも触れられていましたが、初代『北斗』を再現するにあたり一番苦労した点はどこでしょうか?

 

一番苦労したところは、打っていただく方に「もう有利区間は意識しなくてよくなったんだ」ということを、演出面でも出玉の面でもどうやったらしっかりと表現できるか、伝えられるかという部分ですね。

 

それはどういうことでしょうか?

 

正直スタートでは、想定していたツラヌキスペックがどこまで実現できるかわかりませんでした。6.5号機、スマスロと内規が変更していくに連れて、可能性の幅がどんどん広がっていきました。
※ツラヌキスペック(『スマスロ北斗の拳』の場合)=AT中に有利区間がどこで切れるかわからない仕様で、有利区間がリセットされると継続率84%以上が再セットされる

 

結果的には、本当に「シームレスに続くAT」というものに近づいたツラヌキスペック改が完成したんです。

 

 

 一撃で大量の出玉獲得も夢じゃなくなった

 

 

先ほどおっしゃっていたように、「こういう風に変わっていくかもしれない」と想定していく中で、一番いい方向にどんどん進んでいったって感じですよね?

 

そうですね。まずは「有利区間ランプを見てたらバレちゃうよね」とう懸念がありました。ただ、開発の初期段階で「有利区間ランプの点灯・消灯が任意になるらしい」との情報が回ってきたので、「有利区間の切り方次第ではうまくバトルボーナスを見せることができそう」と考えたのがステップ1ですね。

 

次に、「MY2400枚が差枚2400枚に変更」になったことで、「さらにバトルボーナスの再現性が上げられそう」、これがステップ2です。

 

さらにステップ3として、「スマスロで有利区間ゲーム数の上限がなくなったことで、もっと再現度が上げられそう」となりまして、ここでもうある程度「満足のいくバトルボーナスになるな」というものが見えてきました。

 

 

誰もが夢見るレインボーオーラ
ここから二桁連するのか、はたまた…

 

世に出ている『スマスロ北斗』の形を最初から想定しながら作っていたんですが、開発当時の内規だと都合が悪いなっていう部分がいくつもあったのに、内規が変わるごとに不都合部分が取り除かれていったという感じになります。やりたいけれどやれない事情があったものが、どんどんと取り除かれていったという感じですね。

 

素晴らしい。そういうことだったんですね。

 

正直、運が良かったというところが一番かもしれないです。

 

ちなみに開発期間が2年半ってことなんですけど、サミーさん的にはこの2年半っていう数字は長めなんですか? それとも平均的なんですか?

 

2年から2年半ぐらいが一応目標としているスケジュールにはなるんですけど、この期間で収まるものは少ないと思います。6号機になった時のように、出玉の上限が設けられたり有利区間が搭載されたりと、パチスロの内規がたびたび変わってしまうので、変更を余儀なくされて開発期間がズレたりはします。

 

あとはテストプレイの結果、面白くないからもっとこう変えよう、ああ変えよう、演出を増やそうとかさまざまな理由でズレてしまうこともあります。

 

より良くするためにということですよね。

 

そうですね。ただ、『スマスロ北斗』に関しては初代『北斗』という大きな軸があったので、目標通りの期間で作ることができました。みんな打ってるし、作ってる側もイメージとできたもののギャップがあまりなかったんです。唯一あるとしたら、やっぱり「今の台と比べて演出頻度や液晶の動きがこんなに少なくていいのか」という部分。その不安は初期からありましたね。

 

だから「今の時代でこの数値設計の初代『北斗』を打ってみたらどんな打感になるだろう?」ということを確認する必要がありました。なのでわりと早い段階で、初代と同じぐらいの数値設計にして、バトルボーナスで約110〜120枚ぐらいが66%以上でループするという出玉感を体験してみました。

 

20年ぶりに初代と同じ数値設計で打ってみた感じはいかがだったんでしょうか?

 

シンプルだけど今の時代の感覚では逆に新鮮味もあるし、「なにより『北斗』らしさが出てるからいけるんじゃないか」とテストプレイをした人の意見は一致しましたね。

 

 

初代モードにすると遊技性が変わる!?

 

 

◆初代モードにしか出現しない演出

 

次の質問なのですが、通常モードのみでしか出ない演出はたくさんあると思います。では、初代モードでしか出ない演出はあるのでしょうか?

 

実は元々、通常モードを「初代復活」として作っていたんです。初代モードはそこから新規演出部分を削り、演出バランスをより初代に近づけたものになるんですよ。

 

なので、初代モードにしかない演出というのはないです。なぜかというと初代『北斗』にあった演出は、通常モードにも全て搭載されているからです。

 

 

レア役対応の服破り演出
レア役否定時は前兆中のシナリオ演出として使われている

 

 

追加部分を削ぎ落としたのが初代モードということなんですね。

 

ただ、実は初代モードに切り替えると遊技性が変わる要素がいろいろ仕込まれています。

 

少しマニアックな話になるんですが、バトルパートが始まる時にBGMが切り替わるタイミング。初代以外の後継機ではバトルパート開始のレバーオンでBGMが切り替わるんですけど、初代だけはラウンド画面から切り替わるんですよ。初代モードにすると、そこも初代と同様のタイミングに切り替わります。

 

そう。ラウンド画面の映像が出た瞬間からですね。

 

で、それによってどんな影響が出るかというと、ラオウ昇天の時に、昇天の映像が流れる前に先バレするっていう。第3停止を離した瞬間にBGMがフェードアウトするというのを、あえて初代モードだけ再現してたりします。

 

そんな細かいところまで再現してるんですね。

 

あとは文字で書いちゃうとあんまり変更ないなと思うかもしれないのですが、楽曲変化が通常モードだと5連以上継続時の約3分の1となっています。それが初代モードだと10連以降でしか起きなくなるので、かなり打感は変わります。

 

あと、バトルパート中の台詞掛け合いパターンとか、北斗七星が出るチャンスアップとかも、初代モードでは一切出なくなるので、実は違う台として楽しめるぐらいの違いがあるんですよ。

 

 

 

確かに知ってるともっと楽しめる要素ですね。ちなみにお三方は、どちらのモードで打たれることが多いですか?

 

残念ながら通常モードでしかほぼ打たない(笑)。

 

バトルボーナス中は、絶対通常モードですね。

 

たまーに初代モードで通常時を打つことはあります。でもバトルボーナス中は通常モードですね。

 

みなさん基本は通常モードなんですね。

 

今の時代に合う新要素を含めて仕上げたのが通常モードですからね。初代モードは、初代『北斗』が復活したことをいかにアピールすることができるかが一番重要で、我々としてもプロモーションする際に、「初代復活」を大きく謳っていたのはご存知かと思います。

 

そういう形でアピールした以上、余計なものがあるとどうしても「こんなの初代じゃない」という話に流れてしまうと思うので、最初にサミーチャンネルで公開した解説動画に関しても、初代モードのみで説明するという形にしました。

 

そういう意図があって、初期は初代モードのみの動画だったんですね。

 

「通常モードを遊んだらこんなのがあります」っていうのを最初に見せちゃうと、どうしても「この演出は初代にはなかった!」と思ってしまう方もいるので。

 

なので、初期の段階はいかに初代を再現しているかというのを知ってもらうために、本当に初代と同じものしかないことを認知してもらいたいという狙いがありました。

 

一番最初に公開した動画に関しても初代『北斗』の要素以外は見せないでほしいというのをオーダーして、その結果「初代北斗が帰ってきた!」という反応がすごく多かったので、私たちも安心しました。

 

僕もサミーチャンネルの動画を見た時に、ひとりで「初代じゃん!」って思わず叫んじゃいました。

 

そこからいろんな動画が出ていく中で、最後の方にやっと「Vストック」とか「共闘バトル」などを公開していったんですね。新しい要素は通常モードで楽しめるよということを説明させてもらいつつ。なので導入してすぐは、まず初代モードを選んで遊んでくださるユーザーが多かったと思います。 久しぶりにパチスロを打ってみるかというきっかけになったのは、やはり初代が復活したということを強くアピールして、それが届いた結果だと思います。

 

私も最近よく打っているんですけど、隣にくる方がスマスロのサンドが分からなくて、「これどうやって打つんですか?」って聞かれたりとか、店員さん呼んでる方とかいたりします。すごく久々にホールに来たという方も多くて。

 

ちょっと離れてしまった休眠ユーザーを呼び戻すための間口、プロモーションとしての初代モードっていう位置付けなんでしょうか。

 

役割としてはそれが一番大きかったのかなと。やっぱり20年前の演出頻度で遊んで本当に面白いかって言われたら、そこは全員が全員面白いとは言ってくれないと思います。

 

戻ってきてくれたユーザーには初代モードで懐かしんで打ってもらいつつ、慣れてきたら通常モードでより楽しんでもらう。初代を知らないユーザーも通常モードのバランスなら、きっと楽しんで打てるはずだと予想していました。仮に、本当に初代モードしかないような形で今回の『スマスロ北斗』を作っていたら、今みたいな人気にはならなかった可能性は高いのかなと思います。

 

僕らも「初代復活だから余計なことをなるべくしない、けれどいい意味で味付けをしないといけない」という難しい中で、今の時代に初代『北斗』を打っていた人たちが不満に思わないように、どこまで味付けできるかという、とても難しい課題でした。

 

こういうのはどうやって決めていくんですか?

 

開発中は、「これがあったらいいよね」みたいなものを追加していく作業がすごく多いんです。ただ、いざ検討してみると「これを入れちゃうと初代って思ってもらえなくなるよね」ってことで、却下することは多かったです。

 

初代モードにした時に、新しく味付けした部分が邪魔にはなってほしくなくて。新規で搭載した「Vストック」とかも、裏では行っているけれど演出としては見せないようにして、初代っぽさを損なわない工夫をしています。

 

 

 

 新要素の「Vストック演出」
初代モードでは演出としては出現しない

 

 

そういうこだわりに、すごく初代への愛を感じます。最近では通常モードで打たれている方も結構多くなってきてる気がしますけどね。

 

おそらく初代モードを楽しんだ人たちが、「たまには通常で打ってみるか」となった結果、「あれ通常モードも結構面白いじゃん」と、だんだん通常モードを選ぶ方も増えていったのかなと思います。

 

比率としてはどんどん通常モードを選択されてる方が増えてるなというのは、設置台数が多いお店に行って見ていても感じます。

 

意外と今みんなが初代モードを選んでないのは、こっちとしてはある意味うれしいというか。基本的に通常モードは今回の『スマスロ北斗の拳』として、最高の調整をしたつもりで作ったので。初代モードの方が全然面白い、と言われていたら少し悲しかったですね。

 

「なんのためにお前ら作ったんだ」みたいな(笑)。

 

そんなことないです(笑)。

 

 

 通常モードでしか出ない「メッセンジャー演出」
他にも「ゴンズ演出」や「お前はもう死んでいるカウントダウン演出」などがある

 

  

初代『北斗の拳』との変更点

 

今まで初代再現にあたっての話をお聞きしたんですが、今度は初代との変更点をお聞きしたいと思います。

 

先ほどのお話とも関わってくると思うんですけど、初代再現といいつつ、コマ数が1つ減っていたり、リール配列がかなり変わっていたりしていますよね。この辺は、そのまま再現というのが難しかったからなんでしょうか。それとも何か思惑があって、あえてこのような形になったんでしょうか。

 

難しかった部分と意図がある部分の両方があります。そもそも初代の時は4号機で、今はもう6号機のAT機ということで、システムが全然違うので同じ配列にするのは不可能というのが正しいです。

 

ただ、違和感なく打っていただけるようにできるだけ同じようにはしたかったので、停止型は可能な限り合わせていますし、それこそリプレイこぼしの形とか、そういうところは細かいこだわりとしてとして残しました。

 

 

 

 

あとは、例えば初代『北斗』の左リールには北斗図柄が2個あったのですが、5号機から打ち始めたユーザーだと、目押しができない(北斗図柄が2個あるとどちらかわからない)方が多いと思うんです。

 

中段チェリーが止められないと面白みに欠けちゃうので、そこはあえて違う図柄を置いて目押しをしやすくしました。

 

今回、左リールの「北斗・〇〇・7」っていう形を絶対に踏襲するかっていうのは、かなり議論を交わした部分ではあります。北斗図柄の下の中段チェリーっていうあの美しさを取るか、北斗と7のハサミ目の美しさを取るかっていうところで、どっちを優先するかでかなり悩みました。

 

私は5号機の途中から打ち始めて、特に目押しも不要な台とかがかなり多くなった時期からスタートしたので、目押しがしやすいのはとてもありがたいです。

 

僕も5号機世代なので、同じ図柄が2個あったら自分が打てないなって。正確には打てなくはないんですけど、時間がかかるのはちょっと嫌だな、気持ちよく打ちたいということで。

 

私みたいな人間にも優しい配列にしていただけて、本当にありがとうございます!

 

 

幻の演出画像公開! 開発秘話

 

 

◆初代との関わり方について

 

次は残念ながら採用されなかった演出を含めた、完成形に至るまでの試行錯誤について。これは知りたいユーザーさんがたくさんいると思いますのでぜひ教えてください。まずは、開発メンバーの方たちの、初代との関わり方について教えてください。

 

自分は初代『北斗』からパチスロを始めた、いわゆる北斗世代と呼ばれて当時某掲示板で叩かれていた世代ですね。『北斗』からパチスロを始めたので。初万枚も初代『北斗』ですし、サミーを受けた時の面接でどれが一番面白いかって聞かれた時も初代『北斗』ですって答えたので。

 

…以上です。

 

ありがとうございます。Aさんはいかがでしょう?

 

私は初代『北斗』よりもう少し前から打ち始めていました。でも学生時代に台数が多かったし盛り上がっていたのも含めて、一番打っていたのがやっぱり初代『北斗』でした。

 

始めた頃に『獣王』もホールで打てたのですが、あの当時のサミーを一番印象付けてくれたのが『北斗の拳』というものだったので、この会社に入ったきっかけが『北斗』というのは確実にあるのかなと思います。

 

ありがとうございます。Cさんはいかがでですか?

 

僕は初代『北斗』の頃はまだ中学生だったので、パチンコ屋の前を歩いていて「アタッ!アタッ!」って聞こえたのを覚えているか覚えていないかって感じで…。

 

パチスロは完全に5号機からスタートした世代ではあったんですけど、5号機の『北斗』シリーズは全部触ってきました。それで、いざ初代を見た時に、自分が5号機で触っていた『北斗』とそこまで遜色ないというか、初代に味付けされたものを自分が打っていたんだなという風に感じました。

 

今回の『スマスロ北斗の拳』を作るにあたり、「初代再現」と言いつつも、いい感じに初代『北斗』とそれ以降の世代の『北斗』を融合させて作りたいなという気持ちがありました。

 

どちらかというと私とBは初代寄りで、いかに初代を再現するかを重要視していて、Cはその後に出ている『北斗』シリーズの中で良かったところをチョイスして、新しい演出をいくつも提案してくれました。却下したものもあれば、採用したものもたくさんありましたね。

 

そのバランスが良かった気はします。

 

「そんなの入れたら初代じゃねぇ」とか、「それならギリギリ初代再現と謳っても怒られないかな」とか言いながらでしたね。

 

あと単純に遊技性の幅が広がるところでいうと、初代『北斗』はバトルボーナス中にレア役を引いても、ただただ派手なザコキャラが出てくるだけで意味がないというのがあったので、さすがに今の時代「バトルボーナス中に中段チェリーを引いたのに意味なしはないよね」ってことになりました。

 

そこでレア役の恩恵として「宿命バトル」や「Vストック」、あとは過去作の『北斗』シリーズの要素もいくつか採用することにしました。その中でも個人的に好きなのが、ボーナス確定画面で「7を狙え」から7図柄がズレて北斗図柄に昇格するという、『北斗の拳 転生』であった要素ですね。

 

 

 7図柄を狙って揃わなければ北斗図柄へ昇格!

 

 

今の機種の流れだと、普通に作るとボーナスを揃える画面で疑似遊技にしてリール演出の中で見せるというのが一般的だと思います。

 

ですが、そこをあえて通常遊技にして、ベルの出玉増加やボーナス図柄がズレたりする要素を盛り込むことで、「ボーナスを揃えるまでちゃんと楽しんでもらう方がいい」ということをCが主張していたので、それを採用しました。

 

先輩方の初代への愛と、それを俯瞰で見て新要素を取り入れようという、いいバランス感覚で作れたということですね。

 

全員おじさんだったらこうはなっていないですね。

 

そういうキャッチボールはすごいしたと思います。

 

なるほどです。本当に初代を打って思い入れのある方と、初代を打っていない新しい世代の方との融合で、この台ができあがったということですね。

 

 

◆搭載しなかった演出や要素

 

先ほどもおっしゃっていたんですけど、開発段階にはあったのに最終的には入れなかった演出などがあれば教えていただけますか?

 

結論から言うと、今風になってしまうものは全部ボツになりました。たとえば北斗図柄になるかどうかというのをチャンスゾーンでやってはどうかみたいな話が出たこともあります。

 

自力で上げるみたいなことですか?

 

流れとしては、ボーナスが当たりました、プレミアムとかで告知されましたって時に、ボーナス確定画面ではなくいきなりチャンスゾーンが始まるんです。失敗しても赤7はもらえるけれど、成功したら北斗揃いですってことで、北斗揃いを勝ち取った感を出そうかな、みたいなものを作ろうとしていた時期がありました。

 

これは画像まで作ったかな?

 

なんなら1回実装もしましたよね。

 

打ってみて「絶対ないね!」ってなりました(笑)。

 

次の日くらいには仕様書から削除されました(笑)。

 

決断が早い(笑)。

 

 

幻の演出:「北斗の拳チャレンジ 」

開発初期に存在した、成功すれば北斗揃いに昇格するというCZ演出

※開発中のデータですので、図柄は仮となります 

 

他にも色々と作っては捨ててって感じでやっていましたね。ゲーム数の上乗せをやってみようかみたいな話もありました。継続時に「+30G」って出るところがあると思うんですけど、どうせ数字が出るならここで「+100G」って出してみたらどうかなって。

 

『北斗の拳 宿命』みたいに「小役パートが30Gじゃなくて100Gあるのはどうだろう」ってそんな映像を作ったような気がする…。

 

 

+30以外の数字が出ていた可能性もあった

 

 

一番議論したのが、今回バトルパートと小役パート中のレア役の恩恵を何にするかというところですね。

 

これもすごく難しそうですね。

 

最終的には「宿命バトル」からのVストック、またはバトルパート中の勝利書き換えプラス継続率の格上げ、さらに「無想転生チャンス」というものになっています。

 

ただ、そこにいき着くまでは先ほど言ったゲーム数で刻んでみようかとか、あとは共闘でレイが出てきて、そのワンセットだけ79%以上の継続率になるけど継続確定ではないので、レイが出てきたのに負けるとかですね。

 

 

 「レイ共闘」演出
継続濃厚となり「無想転生チャンス」や「レイ昇天」の可能性も

 

 

実は打っていただいた方はわかると思うんですけど、演出上レイって負けるんですよね。ラオウにパンチを喰らったり剛掌波を喰らったりして。マミヤが出てきて復活ってなるんですけど、あのまま負けて通常画面にバシューンって戻るパターンが最初の頃はありました。

 

社内でもクレームが多かったですね。

 

トキはさすがに負けてほしくないので継続濃厚にしておこうということで、トキのバトルパターンは負ける要素は元々ないんです。それで作ってみた結果、やっぱり「レイで負けるのも納得できないよね」と社内で打った人の意見が一致しました。

 

これはさすがにダメだとなって、レイの場合も継続濃厚にしました。そのうえで何かしら恩恵をということで、バトルの内容が「無想転生チャンス」への鍵を握っているという要素を入れました。なので、本来負ける必要がないのにレイの負けパターンが映像上用意されているのは、実は昔負けていたという理由からです

 

 

レイ復活の際にマミヤ復活ではなく
アイリ復活が出れば「無想転生チャンス」が濃厚に 

 

 

確かにあそこでレイが復活しなかったら、心が折れるかもしれない…。

 

普通に負けるよりも悔しいですよね。

 

このレイ共闘の部分もそうなんですけど、ゲーム数乗せとか、本来目標としている「継続させて出玉を伸ばす」っていうところ以外の要素は、極端にいうと全部消そうみたいな感じで最後整理しました。

 

本当に余計なものを全部削ぎ落としてシンプルにした感じですね。

 

そうです。初代に少しずつ肉付けしてはまた削ぎ落として、肉付けしてはまた削ぎ落としてというのを色んな要素でやりました。通常時はあまりなかったんですけれど、バトルパートと小役パートの内容はどういうものにするかかなり時間がかかりましたね。

 

案としては出たけれど、実際には取り入れられなかった要素っていうのがたくさんあるんですね。

 

でも他の機種に比べたら少ないと思います。初代『北斗』っていうベースがあるので、ボツになった要素でいったら、普段開発している他の機種に比べれば相当少ないほうだと思います。

 

初代『北斗』をコンセプトにしている我々がいうのもちょっと変ですけど、初代『北斗』そのままでいいじゃんっていう開発スタイルが嫌だったんです。何か新要素を上乗せしてみるかとか、さっきの「レイ共闘」もそうですけど、様々な要素を考えてバランスはどうかなって組むくらいまでは、色々と試しましたね。

 

 

◆無想転生バトルを搭載したことについて

 

 

 

 

今回新たな要素として取り入れた「無想転生チャンス」「無想転生バトル」は、捨てられずに残った素晴らしい要素だと思います。

 

これは開発初期の段階から、やっぱり89%継続よりも強いループが作れたらいいねっていうのがあって残しました。ただ、最初はもう少しループが弱かったのかな?

 

90%とか91%でしたね。

 

なにか1つ新しいプレミアム要素を追加しようと考えていたんです。獲得の仕方はレイやトキのバトルを経由したり、バトルボーナス中の内容だったりで、何か恩恵をつけたいっていうのはありました。

 

ただ、直接「無想転生バトル」がもらえてしまうと強すぎるということで、何かワンクッション入れようということになったのですが、正直チャンスゾーンみたいな煩わしいものはあまり入れたくなかったんです。

 

それでも「無想転生チャンス」を搭載したのは、バトルボーナス中の本当にうれしい要素として、「これが今日一番の大勝負だ」みたいな、ハラハラする場面は絶対にあった方がいいと思ったからです。結果的に「無想転生チャンス」は入れて良かったなと思っています。

 

「無想転生バトル」を誰か1人引いてるだけで、自分も引けるんじゃないかって思えますよね。

 

 

「無想転生バトル」突入をかけた15Gのチャンスゾーン
成功期待度
は約33%

 

 

わかります!

 

さらにツラヌキスペックを一番感じられるのが「無想転生バトル」になっているので、今までの6号機の有利区間の上限で必ずエンディングが出てしまうしがらみが、「無想転生バトル」を乗せたことによって現実的に取っ払われた見た目になっています。

 

あとは初代『北斗』を打っていた人でも、なんだかんだみんな昇天したことはギリギリあるかないかくらいで、どんなにがんばっても89%継続の限界ってあったと思うんです。

 

でも、「無想転生バトル」を搭載したことによって、久々に戻ってきてくれたユーザーの方にも「今回の『北斗』は初代よりも凄いらしい」となんとなく思っていただけてるようで、かなり重要な要素だったのかなと思います。

 

確かにあれはヒリつきますし、「これを取れたら今日はもう勝ち!」みたいな感じですよね。

 

僕らが開発している時よりも、実際のホールで打ったら「こんなにヒリつくんだ」とか、「こんなにうれしいんだ」っていうのが、自分たちで考えていたよりも数倍あったので、結果的に搭載して本当に良かったですね。

 

 

前編まとめ

 

前編はここまでです。

 

初代完全再現を目指して開発が始まり、『スマスロ北斗の拳』として完成するまでの紆余曲折は聞き応えがありました。

 

印象的だったのは、初代完全再現がベースにありつつも、初代そのままでいいという開発スタイルが嫌で、いろいろな新要素を試したというこだわり。若い開発メンバーの意見も採用しながら、今の時代に合う機種として結実させた開発者のみなさんの試行錯誤が、今の大ヒットに繋がっているんだと思います。

 

 

後編の内容をチラ見せ

 

 

後編では、知っているとさらに楽しみが広がる小ネタなど、よりディープな内容をうかがっています。 

 

近日公開予定ですのでお楽しみに!

 

 

《開発者に直接質問が送れる「サミー開発ボイス」》

 「スマスロ北斗の拳」開発ボイス


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執筆者:ヒポたま

■出生地:東京都

■誕生日:8月4日

■ X:@kabakabasansan

 

ライターを目指してパチンコ・パチスロ業界の門を叩き、編集部員に。安定した毎日を過ごす中、不安定という刺激が欲しくなり、40歳を前にフリーライターへ転身。ライターの他に撮影のディレクターやカメラ、編集もこなすマルチプレイヤー。

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