クソ負けアベンジャーズとフェアリンを救いたい
記事一覧へ公開日: 2022/04/20
量産型整形前フェイス
たまたま読んだ雑誌かwebコラムに、サカナクションの山口一郎さんのオススメ作品として挙げられていたからというとんでもなくサブカルクソミーハーな理由がキッカケで、穂村弘さんの歌集やエッセイにハマった時期がありました。
古本屋が多いからという理由(いくつかある理由の中のひとつではありますが)で住む街を決めるくらい、穂村さんは読書愛が深い方でして。幼少期から膨大な数の本を読まれていて、エッセイでもいかに本に救われたかについてが書かれていました。
穂村さんだけでなく、これまで小説家やその他文章を生業にしている人のエッセイやインタビューで、幼少期において本の世界に逃げ込むことでいかに救われたかを語る場面を何度か拝読してきました。どうやら物語は誰かを救うらしい。お恥ずかしながら私は、その感覚が未だにあまりピンときておりません。
何かから逃げ出したり、どこかに籠もりたくなるほどの辛い経験が乏しかったおかげかもしれませんし、小さな頃からロマンもへったくれもない筋金入りの現実主義な性格のせいかもしれません。物語の世界に逃げ込むことで救われるという感覚は、今後もピンとこないまま、きっと私は棺桶に入って焼かれて埋められたり海に撒かれたりするんだと思います(白浜か片男波の海に散骨してほしいです)。
ただ、それとは別のベクトルで物語に救われた経験ならあります。それまで物語の登場人物に自分をオーバーラップさせ、その世界に没頭できた試しこそありませんでしたが、大学生の時に町田康さんの「夫婦茶碗」を読んだ時、やっと物語に救われる感覚が理解できました。
冷蔵庫の卵の並べ替えに神経質になる主人公の描写に、初めて物語の中に自分を見つけた感覚を抱いたのです。私はだいたいのことに対しては大雑把な、典型的かつ量産型のO型ですが、どうでもいいことにこだわったり神経質になってしまったりするところがあります。
例えば、色鉛筆を必ずグラデーションにして並べないと気持ち悪く感じたり、パーソナルの出玉は交換ギャップの有無に関わらず、必ず250玉で割り切れる数字にしておかないと気が済まなかったり。だから卵の配置に神経質になる主人公の気持ちがよくわかるのです。
同じようなことを考え、同じような辛い目に遭い、同じような生き方をしている人の、存在そのものが心の支えになる感覚。その「同じ」がどれだけ些細なことだったとしても、広い世界で何かしらの「同じ」を共有する人がいる安心感や、孤独感が払拭されていく感覚は、“救う”という仰々しい表現をもってしても決して大げさではないと思います。
「負けているやつ、聞け」「パチンコで負けている人を救いたい」−−−−。
シバターではありませんが、私には救いたい人がいます。おそらくだいたいの人が既に存在を忘れているであろう、クソ負けアベンジャーズのメンバーです。最悪だった昨年を上回るペースでマイナス収支を叩き出し続けている負け組の面々、成田ゆうこ・大水プリン・工藤らぎ(30)、その人たちでございます。
そもそもクソ負けアベンジャーズとは、こよなくパチンコを愛しているのに報われない、つまりは負け過ぎているパチンコライターたちの集まり。ヒキ弱なうえにどこか私生活でも損をさせられたり、あえて自分から損を選んでしまうこともある生粋の負け組です。小沢健二のようにハツラツと「愛し愛されて生きるのさ」とは到底歌えない、かわいそうな人間の集団でもあります。
負けているという「同じ」を共有する者同士、互いのヒキ弱を励まし合うことで、これまで各々が各々を救ってきました。
どうやら私はもう、誰のことも救えません。
ただこれだけは言えます。
ハンドル固定はダメ、絶対!
なんて言うなら、パチンコメーカーは今後出すパチンコ台のハンドルを全部『エヴァ15』のスマートハンドルにして下さい!! あれは、いいものだ・・・(2022.04.20 レ・オコ)。
PS.明日は我が身。ハンドル固定は絶対にせぬよう、一層気持ちを引き締めてSNS投稿に勤しむ所存です。
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