木村魚拓のガチ日記
特集一覧へ更新日: 2015/06/02
パチスロの神様が降りてきて、欲しいものをひとつだけやると言われたら、果たして何をリクエストするか。
キミは金か? サンドに好きなだけぶち込めるだけの金か? それともヒキか? どうでもいいところでしか引けぬチャンス役を絶好のタイミングで引けるようになるヒキか? あるいは知識か? 携帯サイトで調べずとも遊技方法や設定推測材料がパッと出てくるだけの知識なのか?
今の私はそのどれでもない。パチスロの神様に所望するもの、それはガッツである。
現在、私の主戦機種はハーデスだ。ライス国務長官の食卓にパンが出てくるぐらいの頻度で、星矢であるとかモンハンであるとか目ぼしい新台を触ることはあるが、2月末の導入以降、ただひたすらに目の前にあるハーデスを打ち続け、トータル収支はぼちぼちといったところである。下唇をギュッと噛めば我慢できる程度の負債額で済んでいながら、勝率はあらビックリの2割強。負けて負けて負けて負けて諦めかけたその頃に、大きく勝って胸を撫で下ろすという刺激が強すぎる毎日に、神経をすり減らしているというわけだ。
打ちたい、でも怖い、今日こそやっつけたい、でもまたヤラれそうで怖い…。ハーデスのシマを通り過ぎ、ただ逃げるためだけにひとっつも興味のないジャグラーへと向かいそうになったとき、私は決まってあるコンパニオンを思い出す。
通常、スロ屋を巡回するコンパニオンはこうである。
またはこんな感じである。
手足がスラっとしていてウエストの細い、スタイルのいい女子と相場は決まっているものだが、いつだったかとあるホールで見たコンパニオンは門番だった。ダンジョンの入口に仁王立ちする門番のようだった。
推定身長175センチ、体重は90キロ。縦のみならず横にも大きく、セパレートの衣装からはみ出した肉は文字通りの三段腹になっていた。
「みなさ~ん、アタシと写真を撮りたい方はいつでも声をかけくださいね~」
ここはアミューズメントパークではない。子鹿のような女子ならまだしも、門番と写真に収まりたい物好きがいるかいなと、手を振りながらバックステップする女子を見るともなく眺めていると、別積みしてあったドル箱に足を引っ掛け、派手にひっくり返した上に本人もすってんころりん。その転がりようは身体のみならず心にも傷を負いそうだった。たとえ身体が無事であっても恥ずかしさに耐え切れず、顔を押さえて控室へと走ってもおかしくはないというのに、門番は何事もなかったように立ち上がり、再びマイクを握ってお客さんにこう語りかけるのだった。
「みなさ~ん、アタシと写真を撮りたい方は…」
彼女のあだ名もはや門番ではない。ガッツである。ひるむことなく仕事をまっとうする姿はまさにガッツの塊。私もあそこまでのガッツがあればハーデスにひるむことはないのにと彼女を羨む反面、溢れんばかりのガッツをどうしてダイエットには向けられないのかと、首をひねりながら今日は4万負けてきたのでした。