違法!? パチンコにおける固定ハンドルと一般的な方法
特集一覧へ更新日: 2021/06/07
パチンコにおける固定ハンドルとは?
固定ハンドルとは、「ハンドルに何らかの器具を据え付けて固定し玉を打つこと」を指します。
何のために固定ハンドルを行うのでしょうか。
1つには、ハンドルを固定すると、していない時よりも“楽に打てる”から。
固定ハンドルをしないときは、手でハンドルをグッと握りこんで玉を打ち出しますが、これを長時間続けるとかなりの疲労感を覚えます。
メーカーごとでハンドルの造りは違いますし、人によっては手のサイズとハンドルが合いやすい・合いにくい、ということもあるでしょう。疲労度は様々と言えますが、一般的に固定しないで打つと疲れてしまうものです。
ハンドルを固定すればそっと触れるだけで玉が飛ぶようになり、疲労もかなり軽減されます。
そして固定によるもう1つのメリットが、“玉を飛ばすコース=ストロークが安定する”こと。
機種のゲージ構成や台ごとの個体差によっては、ストロークが変わるとデジタル回転率に影響がでてしまいます。
台の回転率が良くなるストロークを続けることがベストですが、打ち手自身のコントロールでは、どうしたってブレが生じてしまうもの。
回転率が高くなるストロークで安定するように、固定ハンドルを行う打ち手は一定数以上いるのです。
世間に知られている一般的な方法
ハンドルは台枠と結合し、根元となる回転しないパーツと、回転させることで玉が飛ぶ可動パーツの2つに分かれます。
そしてハンドルを固定するには、この両者の隙間に何かを挟み込むのが基本。ということで、続いては固定ハンドルの手法として用いられる(用いられた)器具を説明していきましょう。
●コイン
1990~2000年代中盤まで、パチンコ台と言えばどんなメーカーでもハンドル部分に硬貨を挟める造りをしていました。
挟める硬貨の種類は、パチスロのメダル、5・10・50・100・500円硬貨など(1円硬貨だとスペースが余るくらいのハンドルも)。無理なく挟め、遊技者の多くが固定ハンドルをコインで行っていました。
後述しますが、固定ハンドルが以前より厳しく注意される現在では、ほとんどのメーカーのハンドルで硬貨を挟む余地がありません。
可能な場合でも、1番薄い1円硬貨でギリギリ・しかもかなり無理をして…というのが現状です。
●カード
CR機が登場した1990年代中盤、残高のない使用済プリペイドカードを折って挟み込むケースも、2000年代中盤ぐらいまで固定ハンドルによく見られた光景です。
現在では玉の貸し出しにプリペイドカード購入の必要性がなくなったこともあり、あまり見られなくなりました。
ちなみに、不要になったICカードや会員証などを切り、小さいサイズにして挟む猛者もいたのだとか。
●紙
ある程度の厚みがある模造紙・ボール紙などを折って挟むケースもあります。 こちらもある程度まで小さく切り、2つ折り~4つ折りでハンドルに固定。
●バッグクロージャー
食パンの袋を固定するプラスチック器具のバッグクロージャー。そのまま使用すると大きいため、これを切り出したり削ったりしてハンドル固定に用いる人も。
ハンドル固定は違法! その背景とホール事情
固定ハンドルに用いるアイテムとそのやり方を説明してきましたが、そもそもハンドルを固定することは法律で禁止されています。
ただし前述の通り、2000年代後期くらいまで固定ハンドルは黙認されていました。
そのため、ハンドル自体が固定しやすい構造のままだったり、ホール自体が紙など固定用アイテムを用意したり、といったケースが多かったのです。
しかしその後、警察庁からパチンコ店への強い指導もあり、固定ハンドルはより厳しい目でチェックされることに。ホール内で店員さんに注意されるシーンは、今でもしばしば見られます。
では、法律で固定ハンドルが禁止される理由はどこにあるのでしょうか。
●違法になる理由
パチンコ店の営業を管理する法律、いわゆる「風営法」には以下の決まりがあり、その中で固定ハンドル禁止となる根拠が複数存在します。
具体的にご紹介すると…
●風営法第四条 許可の基準
「著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして同項の国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊技機を設置してその営業を営んではならない」
→固定ハンドルで客が楽をして打つと賭博性が高い=射幸心をそそる行為となるので違法とみなされる
●風営法第九条 構造及び設備の変更等
「風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。第五項において同じ。)をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない」
→固定ハンドルを行う際の器具使用が、「設備の変更」にあたる行為なので違法とみなされる
●風営法施行規則第八条 著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準
ぱちんこ遊技機「客が直接操作していないにもかかわらず遊技球を発射させることができる遊技機であること 」
→固定することでハンドルを操作せず玉を飛ばしていることになるため違法とみなされる
というように、上記3つの条文から固定ハンドルが禁止行為にあたると考えられています。
●過去に営業停止になったホールも
2000年代後半からは、固定ハンドルを行う人のいるパチンコ店が、営業停止処分となるケースも増えてきました。
それだけに、今までなかったホールスタッフによる注意が増え、時が経つにつれ厳しさを増していったようです。
営業停止はホールにとってはもちろん大ごと。固定ハンドルを止めるように店員から注意を受けるのは、今や当たり前といっても過言ではありません。
最悪のケースとしては、店から出入り禁止を言い渡されたり、損害賠償として民事訴訟されることもあり得ます。
“固定ハンドル 営業停止”などで検索すると過去の事例が表示されるので、1度チェックしてリスクを確かめてみてください。
まとめ
ハンドルに何らかの器具を付けて固定し玉を打つ「固定ハンドル」。
楽に打てるうえにストロークも安定するなどメリットも大きいですが、同時に大きなリスクを背負うことになります。
過去には緩く扱われていましたが、現在では確固たる違法行為として注意されるケースがほとんど。
その多くは「ヤメてくださいね」の一言ぐらいと思われますが、そのまま固定を続けていれば、出禁や訴訟も考えられます。
読者の皆さんは、くれぐれも固定ハンドルを行わないよう気をつけましょう。