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【新春特別インタビュー】「 大衆の中の孤独 」 オオキ建築事務所 大木啓幹代表

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2025/01/01

業界の未来や存在意義を問う機運が高まっている今こそ、パチンコが持つ本来の魅力や価値を深く考える必要がある。ホール建築の第一人者、オオキ建築事務所・大木啓幹代表はそれを「大衆の中の孤独」と表現する。

◇ ◇ ◇

大衆の中だからこそ人は孤独感を癒せる

──大人たちが集まり、遊技台に向かって楽しむ姿。ファン離れが指摘される昨今だが、今も昔も変わらぬ光景だ。なぜ、人はパチンコで遊ぶのか。その本質とは何だろうか。

「パチンコの本質的な魅力、価値とは、人の孤独感やストレスなどを癒してくれることだと思います。仕事で疲れたり、何か悩みを抱えていたりするときに、ちょっと一人になりたいと感じるのが人間です。ただ、完全に独りになりたいかといえばそうではなく、どこかに人の気配や温もり、賑やかさを感じていたいという一面を持っています。多くのレジャー施設は一人では入りづらいものです。しかしパチンコは、一人なんだけど大衆の中にいることで孤独感を忘れさせる空間であり、まさにこれが本来の魅力、価値ではないでしょうか」

──例えば居酒屋やカフェなども一人になれる空間だ。しかし、ある企業の調査では、公務員や学校の先生、看護師などのストレス度の高い傾向にあるといわれる人たちほど、パチンコ・パチスロのユーザーに多いという結果が出ている。

「人によってストレスを発散する場所や対象は異なりますが、パチンコもそうした人たちの救い、受け皿になっているのは間違いないと思います。そういう意味でパチンコホールは、一人になりたいけど孤独になりたくないという人々の欲求を満たしながら癒しを提供する、すごく価値のある場所なのです。人によっては度を越してそれにハマリ込んでしまうこともあるでしょうが、それはどの対象でもあり得ることです。多くの人にとって、パチンコから得ていること、助けられていることのほうが大きいはずです」

──海外にもパチンコホールのような施設は存在するのか。

「パチンコのようにズラっと並んだ台に、みんなが向き合って並んで遊ぶような場所は日本だけだと思います。日本人が持っている独特の感覚、気質にマッチしているのかもしれません。ただ大人を癒す施設という点では、ディズニーランドに近い気もします。ディズニーランドは子ども向けの施設と思われていますが、もともとは『大人も子ども時代に戻れるように』というウォルト・ディズニー氏の想いで作られた施設だと言われています。ディズニーランドでは誰もが童心に帰ることができ、日常のストレスから解放されます。それに近いものを得られるのがパチンコですし、そうしたパチンコ本来の良さをもっとアピールしてもよいと思います」

Ooki Hiromoto
オオキ建築事務所代表。一級建築士。大型複合施設・商業施設・ホテル施設・温浴施設・住宅等の建築デザインを手掛ける。海外での建築賞を多数受賞。コロナ禍ではパチンコ店の換気性能の高さを内外に向けて提言した。

本質的な魅力や価値を伝えることが共感を得る

──折しもファン人口が大幅に減少したというショッキングな統計データが発表された。今ほど、業界の将来と真剣に向かい合う時期はないかもしれない。

「パチンコは全てのお客さんが勝つことができませんし、負ける人のほうが多いのが事実です。多くのホール企業も売上や利益を追求しています。飾られた言葉で業界を表現するのではなく、大衆の中で孤独や不安を癒してあげられること、あるいは雇用を生み出し、従業員教育を行い、災害時には地域の避難場所として開放していることなど、実際に役立っていることにもっと光を当ててアピールするのがよいと思います」

──パチンコが持つ本質的な魅力や価値に目を向けて、それを広く伝えていくことが社会からの共感やブランディングにつながる、と大木代表は強調する。

月刊GREENBELT2025年1月号にも掲載中。

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