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名波誠

ジャージ事件

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公開日: 2018/02/25

中学一年生のときなので、今から35年ぐらい前の話になりますかね。

北海道札幌市の中学校だったのですが、ある日、ボクのクラスに一人の転校生が入ってきたんです。

名前はサイトウ君。父親の転勤にともなって本州から札幌に引っ越してきたのです。本州では私立の中学校に通っていたらしく、ちょっと頭の良い人でした。

小さな町の小さな中学校であれば「内地(ないち=本州方面)から転校生がキタ!」と大ごとになるのかもしれません。しかし、ボクが通っていたのは1クラス40人以上で、1学年だけで10クラスまであるような大きな中学校です。すぐにサイトウ君もクラスに溶け込み、転校生であることなど誰も気にしないまま時間が流れていきました。

 

事件が発生したのはサイトウ君が転校してきてから一ヶ月ほど経ったときのこと。

体育委員を任命されていたサイトウ君が「帰りの会」で手をあげ、体育の先生からの連絡事項をみんなに伝えるため発言したのです。

 

サイトウ君『明日の体育の授業はバスケットボールなので、忘れずジャージを持ってきてください』

 

その瞬間、クラス中に大爆笑が沸き起こりました。

サイトウ君はキョトーンとしています。

 

ほんの数人だけがクスクス笑ったのではなく、クラス全体が瞬間的にドッと湧く大爆笑ですよ。

 

なぜ笑いが起こったのか。

それは、サイトウ君の「ジャージ」の発音があまりにもナマっていたからです。

 

 

あの、頭の良いサイトウ君が、超おもしろいイントネーションで「ジャージ」と発声した、そのギャップ。

その直後からサイトウ君のあだ名が「ジャージ」になりました。

 

 

その後、ボクはサイトウ君とは違う高校に進み、高校を卒業したあとは1年間浪人した末に北海道を離れて関西地方の某大学に進み、大学を卒業したあとに入った会社では東京勤務になり、さらにいろいろあって今は東海地方の岐阜県で暮らしています。

 

 

そしたらボク、気づいちゃったんです。

 

 

 

 

本州に住んでいる人たちの多くがサイトウ君と同じイントネーションで「ジャージ」を発音していることに!

 

つまり、「ジャージ」を言うときにナマっていたのはサイトウ君ではなく北海道のほうだったんです。「ジャージ」を超おもしろいイントネーションで発声していたのは北海道のほうだったんです。

 

あの大爆笑は何だったのか。

サイトウ君がキョトーンとしたのも当たり前ですよね。

 

あれから35年。

(´・ω・`)
きみまろさんのネタじゃないよ

 

いま、北海道出身者で構成されている女子カーリングチームの「そだねー」が話題になっていますが、道産子の多くが「そだねーが北海道弁だったなんて知らなかった」「そもそも、そだねーが標準語なのか方言なのかなんて考えたことすらなかった」と思っているのをご存知の方もいらっしゃるでしょう。

これは道産子の多くに共通する傾向なのですが、ふだん自分たちが使っている言葉について「たま~に単語が違うだけで、東京とほとんど変わんないっしょ」と思い込んでいるフシがあるのです。ボクも若い頃は、そうでした。

 

もちろん、津軽弁や土佐弁などの強豪に比べれば北海道弁なんてカワイイものだとは思いますけど。

 

それにしても、まさか「そだねー」という普段使いの安いお茶碗のような、ごくごく平凡な言葉が流行語大賞にノミネートされるかもしれない事態になるなんて信じられません。世の中、なにが起こるかわからないものですね。

 

 

あ、ちょっとまた思い出しました。

15年ぐらい前、東京の新宿区にあるパチスロ雑誌の編集部を訪問したときのこと。編集部員やライターなど10人ぐらいが集まっている場所で、ボクの発した「高田馬場」のイントネーションが超おもしろかったらしく、ほぼ10人全員が爆笑したという事件がありました。

(え?なになに?どこが面白かったの?)

サイトウ君の気持ちになった瞬間です。

 

もしも皆さんの知り合いに道産子がいたら、「幼稚園」「ジャージ」「5枚」「キャラメル」「コーヒー」「さくらんぼ」などの言葉を言わせてみてください。

「自分は標準語のイントネーションでしゃべってるんだ、と信じて疑わずに堂々とナマっている人」を見ることができますよ。

もちろんボクも、そのナマっている人間のひとりです。

(´・ω・`)

 

 

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