またがなければ大丈夫、というミスリード
記事一覧へ公開日: 2021/05/11
つい今しがた、新型コロナの感染状況について伝えるテレビのニュースを見ていたら、またもや知事さんたちが
「県境をまたがないでください」
と。
専門家と呼ばれている先生たちも
「県境をまたがないことが大切です」
と。
そのように訴えたくなるのも、わからないではありません。
そのように訴える知事さんや専門家の頭の中にあるのは、おそらくこういうイメージでしょう。
もっともリスクが高いのは県境をまたぐ移動で、感染拡大の要因になる。
もっともリスクが低いのはステイホーム。
知事さんや専門家に限らず、こんな感じのイメージで捉えている一般の人も多いのではないでしょうか。
しかし、ボクは違います。
1年ぐらい前から当ブログに何度か書いていますが、ボクの見解は…
県境をまたごうが、またぐまいが、リスクはほとんど一緒。
「リスク中」の文字のところを「リスク高」に置き変えてもいいでしょう。とにかく、ほとんど変わらないということです。
「市町村境界」の文字のところを「町内会レベルの細かい境界」に置き換えてもいいでしょう。
とにかく、県境のことだけをあれこれ言うのは、あんまり意味がないという見解です。
町内会や市町村の境界はまたいでも大丈夫なのに、県境をまたいだ瞬間にだけ急に感染リスクが増大するなんてことある???
たとえ県境をまたがなかったとしても、町内会の境界や市町村の境界をまたぎ、行動に気の緩みがあって、なおかつそこに密な環境があれば、その場所の感染者数が、より増えるだけのこと(=日本全体の感染者数は、あんまり変わらない)。
と思っています。
感染拡大のごくごく初期の段階だったら、どこかに線を引いて、移動や経済活動を制限することにも意味があるのかな、とは思いますけどね。
とっくの昔に、そんな段階は終わっています。
誤解している人がいるかもしれないので念を押しておきますが、ボクは「県境をまたいでも大丈夫だ、どんどんまたげ」なんて一回も言ってませんよ。
岐阜県の美濃地方と飛騨地方の感染状況をもとに、ボク独自の見解として「県境は、あんまり関係ない」と思い、それをそのまま書いてきました。
「県境をまたぐ移動が感染を拡大させていることを示す、わかりやすいエビデンスがない」というようなことも書きました。
エビデンスがないのに、どうして専門家ですら「県境をまたぐな」「県境をまたぐ行動は感染者を増やす」と言い続けるのか。
どうして市町村の境界については、ほとんど触れられないのか。
感染者が多いとされている東京都内や大阪府内であっても、市町村単位で感染率に大きな差があるのに。
かたくなに「県境」にだけこだわり続ける理由は?
ネット上をあれこれ探してみると、たしかに、全く存在しないこともないんですよ。「県境をまたぎがちな人のほうが感染率が高い」「県境をまたぐ行動が感染者を増加させている」みたいな調査結果や意見のようなものが。
しかし、ちょっとあやしいのです。
「県境をまたぎがちな人」と「県境をまたがない人」を比較する際、「県境をまたがない人」の中にステイホームの人(あるいは買い物など最低限の外出しかしない、ステイホーム寄りの人)を含めてしまっているのです。
そりゃ、ステイホームの人は県境をまたがないに決まってるでしょう。
ステイホームの人(あるいはステイホーム寄りの人)が含まれてるグループのほうがトータルでリスクが低く、トータルで県外に感染を拡大させない傾向になるのは当たり前。
↓県境をまたぐ、またがないを比較する場合は、このように分類するべきかと。
このように分類した上でBとCを比較して、「明らかにBよりもCのほうがトータルの感染者数を増やしている、リスクが高い」と言えるエビデンスがあるのかどうか。
Bをさらに細分化、Cをさらに細分化するのもアリでしょう。
もしエビデンスがあるんだったら、経済を犠牲にしてでも「県境をまたがないでください」と、しつこく何度も、ことあるごとに訴えるのも納得できますけどね。
もう1年ぐらい待ってますよボクは。
わかりやすいエビデンスを専門家が出してくれるのを。
茶碗をチンチン鳴らしながら。
(´・ω・`)
鳴らすな
でも、一向に出てこないんですよ。
これだけ待っても出てこないということは、つまり、県境をまたぐ移動が日本全体の感染者数の増加を招いているというエビデンスが存在しないということなのでは??
かれこれ1年以上、イメージだけで訴え続けてる?
訴え続けた結果の今でしょ?
「確実にパチンコ店が感染拡大の元凶になっている! 常識で考えればわかるだろ! 自明の理! 不特定多数の人間があれだけ毎日、1ヶ所に集まってるんだから!」とイメージだけで断言していた1年前と同じ?
県境をまたぎがちな人に頼っている経済(観光業や飲食業、ほか)を必要以上に犠牲にし続けてる?
もし、わかりやすいエビデンスがないにもかかわらず「県境をまたがないでください」と何度も何度も、しつこく訴えかけているのだとすれば、それはむしろ、逆効果なのではないかと。
なぜなら
県境をまたがなければ大丈夫。
県内だけで行動するのであれば、ちょっとぐらい気を緩めてもオッケー。
そんな空気感が醸成されてしまうからです。
ミスリードです。
取り返しのつかないミスリードです。
今回、いちばん言いたかったのはコレです。
そんなミスリードの結果、気の緩みを誘発しているという意味においては……
このように、むしろ県境をまたがない人のほうが感染拡大リスクが高いという皮肉な状況になっている可能性があります。
「言われたことをきちんと守って都内、府内、県内、道内だけで行動してるもん。それで感染しちゃったら、もう仕方ないよね」という気の緩みがどこかにあるのではないでしょうか。
(´・ω・`)
そういうエビデンスがあるのかないのか知らんから断定はしないけど
繰り返しになりますが、ボクは「県境をまたぐ移動にはリスクがない」と言ってるんじゃないですよ。
県境をまたごうが、またぐまいが、リスクはほとんど一緒だと言ってるんです。あんまり関係ないと言ってるんです。
最近では、むしろ、県境をまたがないでくださいという呼びかけこそが気の緩みを誘発してるんじゃないかとすら思っているのです。
「県境をまたぐな」という言葉には「なるべくステイホームで」という意味が内包されていると言えなくもないので、1ミリも効果がないとは思いません。
でも、それだったら
「県境をまたがないでくださいといっても県境をまたがないのであれば気を緩めていいという意味では決してありません、人と接するときや2人以上で会話しながら飲み食いするときは県内だろうと県外だろうと関係なくマスクをしてください油断しないでください」
と繰り返し訴えなきゃダメですよ。必死に。
「またがないで」のほうではなく、むしろ「県内だからといって気を緩めないように」の部分の説明・訴えに重きをおいて、記者会見のときなど、より多くの時間を割くべきだったのです。
今さら言ったって遅いかもしれないけど。
(´・ω・`)
あ~あ、また書いちゃった
【参考】
これまでに書いた新型コロナ関連のブログ記事
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