帰ってきた映画の虫
記事一覧へ公開日: 2025/01/14
先月、ジョーカー2を映画館で観てから僕の映画熱が上がっている。週一ぐらいで映画館に行くようになってしまった。そもそも僕は映画が好きだった。20年前、上京したばかりの頃は、月に1、2回のペースで映画館に足を運び、朝から晩までずっと映画を観ていたものだ。前もって休みの日を決めて、それまでに結構な量の原稿を片付けて、早起きして立川駅周辺の映画館をハシゴしていたのだ。少なくても3本、多い日は4本。メジャーな作品からインディーズ映画まで。渋谷のレイトショーに行くこともあった。
映画を観る時は一人がいい。上映後、駅に向かって無言で歩きながら、映画の内容を反芻するあの感じが好きなのだ。ぶっ通しで4本も観るとグッタリするし、全ての作品が自分の好みのワケではないからガッカリもするんだけど。それも含めて映画が好きだった。
子供が産まれてからは映画館に行かなくなった。別に行く時間はあったけれど、なんとなく一人で映画館に行くことに罪悪感を覚えるようになったのだ。ここ12、3年、映画館に行くのは子連れでドラえもんかクレヨンしんちゃんかミニオンを観に行くみのだった。別にそれが嫌だったワケでもないし、観たい映画もなかった。気になる映画はレンタルショップで借りるか、サブスクで公開されるのを待てばいい。夜、子供たちが寝静まった後や移動中に視聴する。それで何の不満もなかった。
ただ、こうして再び映画館に行くようになって思い出したことがある。僕はそもそも観たい映画を観に映画館へ行っていたのではなかった。その時に映画館で上映中の作品の中から、しいていえば観たいものを選んでいたのだ。そりゃあそうだ。じゃなきゃ日に4本も映画を観るワケがない。映画が好きなのは好きだけど、それ以上に映画館の椅子に座ってジッとしているのが好き。そういうことだ。なんだろう。あの外界から遮断された空間が良いんだろうか。わかる。強制的に連絡が絶たれるし、SNSで嫌な情報を見ることもないから。あの時間はとても贅沢だ。とてつもなく。だからこそ、僕は罪悪感を覚えていたのだろう。
今はもう罪悪感もない。パチスロを打って、早めにやることがなくなったら上映中の映画を検索して、最寄りの映画館(行動範囲内に4つある)の席を予約しながら電車で向かう。ジュースを買って、ポップコーンは買ったり買わなかったり。終わったらまっすぐ帰る。最高だ。最高のインプットだ。そう、最近はインプットを怠っていた。思えばアウトプットばかりで、僕はすごくつまらない人間になっていたかもしれない。人間を面白くするのはインプットだ。何でもいいから手あたり次第に吸収して、血となり肉となしなければ。そうか。若かりし頃の僕はインプットに飢えていたのか。だからあんなに映画を観まくっていたのか。納得。アウトプットの場や種類が増えた昨今、これからもどんどんインプットしていかないと。
パチンコ屋と映画館の複合施設が近所にできないもんだろうか。昔、宮城にはあったんだよなぁ。ほぼ同じ敷地内だった。今はもうないらしいけど。遊技中でも上映時間になったら休憩を取って観に行ってOK、そんなハウスルールがあったら最強なんだけどな。関東じゃあ厳しいかな。まあ別に電車で映画館に向かうの好きだから良いんだけどね。
さーて次は何を観られるんだろうな。
by HYO.
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