歯茎むき出しのハナオジサン

　今日このシマで、この店で、このエリアで一番出したい…。スキルが伴っているかどうかはさておき、パチンコ、パチスロをはじめたときからこっち、私はいつもそう思いながら打っていますので、同じ店にいる客全員を敵と見做すその気持ちは分からなくはありません。いや、私も過去に隣の台のアツアツリーチに「ハズれろ」の念を送ったことは何度もありますし、昨日だってそうです。中武先輩の打つ『バーサス』にリーチ目が停止するたび「バケが無理ならパケでお願いします」と祈っていましたから、そう偉そうなことを言えた話ではないのですが、いい歳して見ず知らずの他人に対し敵意むき出し、チンポむき出しというのはどうかと思うのです。

※先輩にビッグの連打が訪れたとき、カメラに向かって「裏切り者」と言ったこと、訂正は致しませんが軽くお詫び申し上げます。

　あれは愛知だったか、新潟だったか。いつだったのかもちょっと覚えていないのですが、『ハナ』を打っていたときのことです。メッシュキャップにメッシュチョッキという山中湖でフェラ鮒釣りに、もといヘラ鮒釣りに興じている釣り人みたいな出で立ちの推定後期高齢者が私の隣にフラリと座りまして、なにを思ったか、突然、歯茎むき出しでこう言ってきたのです。「ほまえにはでったい負けん」と。

　恐らくお前には絶対に負けないと言っていたのでしょう。年齢が年齢なので戦時中の鬼畜米兵か、俺はと思わず突っ込みを入れそうになりましたが、蕨のヤンキーならいざしらず、会ったこともない人に、いや、厳密に言うと店に呼ばれ仕事でやって来ている私に対しいきなりケンカを吹っ掛けるというのは常識的に考えてあり得ない。スケベな仕事をした後にサンポールでうがいする風俗嬢くらいあり得ない話です。

※かつて蕨最狂と言われたヤンキーの現在の姿がこちら。携帯二台を器用に操っておりますが、まさか飛ばし携帯じゃ…。

　しかも、皆様ご存知の通り、私が朝イチから『ハナ』に座ることはまずないので恐らくは逃げハナ。他の暴れ機種でチンチンにヤラれ時間潰しのため仕方なく、本当に仕方なく『ハナ』に座ったであろうことは容易に想像が付きます。であるにもかかわらず、歯茎むき出し口角泡を飛ばしまくりで宣戦布告。強烈なビンタをお見舞いされても文句は言えないシチュエーションというか、私がウィル・スミスじゃなくてラッキーだったと思うのです。

※車上荒らしはビンタも止む無し。いや、実刑も止む無しです。

　きっと神様が見ていたのでしょう。これを機にビッグの連打で出玉をもりもり増やす私とハマってバケ、深くハマってバケバケバケを繰り返すオジサン。自らの狼藉を悔いたのか、私が帰る支度をしているとこの世の果てみたいな顔して「とぅよいな、負けた。歯が立たねえや」と言ってきたのですが、そりゃそうだろうよと。だってオジサン、アンタ歯がないんですから。

※餃子の無人販売所がとてもよく似合う中武先輩ですが、本文とは一切関係ありませんので念のため。