やめたいけどやめられないのは病気

　ヤメたいけどなかなかヤメられないものと聞いて真っ先に頭に思い浮かぶのは浮気です。痛い思いをしたからもうコリゴリとか、今後の自分の人生は家族に捧げるとか、浮気がバレたときは沖海よりも深く反省するのですが、そういう人はひと月も経たぬうちに新しい愛人とのツーショット写真を頼んでもいないのに見せてきます。浮気に関してはヤメたいけどヤメられないではなく病気、不治の病と割り切って考えたほうがいいと思いますが、念のため言っておくとこれは開き直りの決意表明ではありません。私はしません。多分。

　しゃぶしゃぶもそうだと聞きます。執行猶予中にうっかり食べてしまい速攻でムショに送られたり、ムショから出てきてすぐに爆食いしてまた臭いメシを爆食いする羽目になったりする人が多いのはヤメたいけどヤメられない人が多いから。ただし、こちらはしっかり治療して、その後、社会復帰されている方も多くいらっしゃるようなので、周囲の献身的なサポートがあればヤメられることもあるのでしょう。もっとも、社会復帰してチュウシャ違反取締監視員になったとか、ドラッグストアで薬剤師をやっているといった話は耳にしませんが。

　会社も同じです。肉まんみたいな係長とそりが合わないとか、酔った勢いでうっかり抱いてしまったドブスがしつこいとか、そもそも居場所がないとか、会社をヤメたいけどヤメられないという悩みを抱えている方は存外多いのではないでしょうか。特にアラフィフ以上になると特別なスキル、例えばガザ地区に平和をもたらせるとか、仲間内で指導者と呼ばれているとか、なにか特別なスキルでもない限り再就職は難しいですし、よしんば再就職できたとしても今以上の待遇は望めません。そう考えると会社はヤメたくてもヤメられないの筆頭かもしれません。

　さて、いよいよ本題です。モンキーターンでこさえた負債が帯半分を突破しました。寝ても覚めてもモンキーターンのことしか考えていないからでしょうか。玄関を出るとき、階段を上るとき、電車やスケに乗るときなど、視界が切り替わるタイミングで必ず「モンキーターン」との声がどこからか聞こえてくるのです。ヤメたいけどヤメられないのは完全に病気、現在の私は重症患者だと思うのですが、さらに厄介なのはモンキーターンをヤメるためには違う病気に罹って二週間の隔離生活を送る以外に方法がないと思い始めたことだったりします。