経験者は語る〔7〕料理旅館・皿洗いのバイト
記事一覧へ公開日: 2023/10/05
そんなこんなで、ここ3回ほど連続してダメだこりゃ~気味なバイト経験談になってしまいましたが。
実は今回も、どちらかと言えばダメだこりゃのほうになります。
1日だけのド単発バイトだったのですが、「料理旅館の皿洗い」をやったことがありまして。
例の「ガクソー」(学生相談所)のやつです(経験者は語る〔2〕の冒頭参照)。
21:00~翌9:00の12時間拘束で、実働は7時間ほどだったと記憶しています。
実働部分は21:00~1:00(4時間)と6:00~9:00(3時間)です。
夕食の皿洗いと朝食の皿洗いですね。
まあまあ大きな建物で、老舗の料理旅館でした。
京風懐石料理がウリの「宿泊できる料亭」みたいな感じです。
そんな立派な施設なのに、なぜド単発の学生アルバイトを雇ったのか。知るよしもありません。
こちらとしては、言われた時間に言われた場所に行き、言われた仕事をやるのみです。
本格的な皿洗いは全くの初体験だったのですが、なんと、その日、皿洗い担当の人間はボクひとりだけ。
え?
マジっすか?
誰かベテランさんがいて、そのサポート役をするわけじゃないんすか?
最初に簡単なレクチャーを受けたあと、業務用の(?)食器洗い洗剤とスポンジでゴシゴシと皿を洗っていきました。
一口に皿といっても大きいやつ小さいやつ、丸いやつ四角いやつ扇形のやつ、セトモノから漆塗りの器から、さらには箸置きみたいな極小なやつまで。じつに多くの種類の食器がありました。
なんせ懐石料理がメインですから。
で、しばらく経った頃、洗い場の近くをスタスタスタ~っと歩いていた和服の年配女性(仲居さんなのか旅館の女将さんなのかは不明)がピタリと足を止め、こちらの方向をジィ~と眺めること数秒。
そして…
ちょっとアンタもっと急ぎなさい!
モタモタしてたら終わんないわよ!
(※もっと関西弁だったはずだけど再現できず)
ひぃぃぃぃ
ガツンと言われてしまいましてん。
あのときは「ハイっ! すいません!」ってな調子でバカ素直に頑張りましたけどね。
今にして思えば、初めて呼ばれたド単発の現場で不安な気持ちで働いてるバイト学生に対するものとしては、まあまあな態度っすよねえ(にがわらえません)。
しかもです。
今度は和服の年配男性(どういう立ち位置の人なのか、やはり不明)が足を止め、こちらの方向を…
名波アマ「(はい? なんか用ですか?)」
そない、せかんでよろし!
その皿なんぼするおもっとんねん!
(そんなに急がなくていい! その皿が、どれだけ高価なものかわかってんのか!)
(´・ω・`)
これまでに紹介した現場でもそうだったけど、みんな揃いも揃って、なんでそんなにエラそーな態度なの?
ここで使ってる食器類は、お前が思ってるより高価なものばっかりなんだぞ、とのことでした。
だから、もっとゆっくり丁寧に洗えと。
(´・ω・`)
んもぉ~どっちやねん
いぜれにせよ、キッチリと確立された洗い場マニュアルのようなものが存在していないのは明らかでした。
たどたどしい手付きで作業している新顔アルバイターの姿を見て、とりあえず(上から目線で)なんか言っておかねばと思っただけなんじゃないでしょうか。
んで、深夜1:00頃に前半戦が終了。
「じゃあ明日の朝まで、こちらで寝てください」
案内されたのは木製の2段ベッド×2つが置かれた6畳ぐらいの小部屋でした。
要するに“バイト部屋”ですな。
それがですね、直視できないくらいに汚い部屋でして。
飲みかけの缶ジュースやらカップ麺の食べ残しやらタバコぎゅうぎゅう詰めの灰皿やら表紙カバーを紛失している古いマンガ単行本やら。
布団も薄汚れてるし。
なんか複雑なニオイが漂ってるし。
い~や、無理っス無理っス無理っス。
っていうか、高級な料理旅館の建物の中に同居してちゃイカン環境でしょコレ。バイトの人間しか立ち入らないエリアとはいえ。
「絶対に絶対に明日の朝、遅刻しないでまた来てくださいよ、絶対にですよ」
担当者から念を押されつつ、例外的に、いったん自宅アパートに帰らせてもらいました。
2~3時間しか寝れないことになっちゃいますけどね、さすがに無理でしたから。
で、翌朝は遅刻することなく、ちゃんと出勤して再び皿洗い。無事に単発バイト終了です。
立派な建物の、戦前からやってる老舗の料理旅館だったんですけどねー。
その外観からは想像もつかない裏の部分を見てしまったな、というお話でした。
(´・ω・`)
今から30年以上前の話です、必ずや現在は改善されているであろうと思いたい
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