奇跡の誕生日

7月14日、この日は新作ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の公開が開始された。

予告編もCMも宣伝もナシ、試写会も公式HPもナシ、そんな異例のスタイルをとっているこの作品。そのせいもあってか、私は公開直前までこの新作映画の存在すら知らなかった。

情報化社会といわれる現代社会で、逆に情報をシャットアウトする宣伝しない宣伝という戦略。果たして、吉と出るか凶と出るか、気になるところだ。

さて、そんな運命の7月14日だが、もうひとつ大事なことが起きたのは知っているだろうか。「7月14日 何の日」と検索すればすぐに判ると思うが、そう、何を隠そう私スロカイザーの誕生日なのである。

スタジオジブリは7月14日公開に際してSNS上で「常識の範囲内で、自由に使ってください」と様々な画像をアップしたが、

もはや、どれも私の誕生日を祝っている気しかしない。いや、間違いなく祝っている。というよりも、『君たちはどう生きるか』は私の誕生日に合わせて公開された説すらある。

さてさて、そんな記念すべき7月14日。私はどう生きたかというと、いつも通り朝からホールへ向かった。「誕生日なのだから、もっと誕生日らしいことを…」と思う人がいるかもしれないが、そこは私だって社会人だ。公私混同して仕事を疎かにすることはできない。

ただ、誕生日に負けるのは嫌なのでいつも以上に情報をリサーチして、万全の準備で挑むことにした。そして、導き出された都内の某ホールと狙い台。少し遠いが足を伸ばす価値は十分にあった。

もちろん、その台に座れる保証はない。「自分の狙い台は他人の狙い台」というのが常識だ、全ては抽選次第。当該ホールは行列のできる人気店故に激戦は必至。いつもの私なら弱気になるところだが、

「今日は私の誕生日、きっと奇跡が起きる」

その想いが私の背中を押してくれた。

電車が遅延。

…。
……。
………。

「抽選に間に合わないじゃんっ!!」

急遽予定を変更して途中下車して違うホールへ向かった。お目当てのホールほど強くはないけれど、十分に高設定に期待できるところだ。

抽選結果は88番、末広がりの“八”が2つ並んだ縁起の良い数字だ。ちなみに後ろから3番目ぐらい。

「ダメじゃん、全然ダメじゃん!!」

と心の中でツッコんだのはここだけの秘密だ。

まず1台目は『カバネリ』で序盤こそ挙動は良かったが、次第に「これ違くね⁉」となったので台移動。

すでに投資が膨らんでいたので、一発逆転を狙って手付かずだった荒々な機種に触れてみたが超絶なミミズモード。良くも悪くもミミズなので大きく負けることはなかったが、それよりも何よりも時間を大幅にロス。

もう逆転は諦めた、せめて気持ちよく当てたい…と最後に良さげなジャグが空いていたので打ってみたら、ノーボーナスで大ハマリして傷口を大きく広げてフィニッシュ。

結果、－69000円と歴史的大敗。

足取り重く帰路に就く。自分への誕生日プレゼントとして、

以前ネットで購入したコイキングのおもちゃ（ピチピチとはねる）が駅の宅配ロッカーに届いていたので回収。帰宅後にワクワクしながら開封してみると、

全部メス（ヒゲが白）だった。

詳しい封入率は知らないけれど、きっとオスとメスの比率は1：1で稀に金のコイキングが出る…と思われる。

ということは、約50％を5連続で引いたということだ、なんという薄っ引き。まさしく、誕生日だからこそ起きた奇跡といえるだろう。

「こんな奇跡はいらねーっ!!」

そう心の中で叫んだ7月14日だった。

『君たちはどう生きるか』

少なくとも私はこんな感じでダラダラと生きている。