
公開日: 2025/09/08
パチスロに出玉はなく、ただ投資があるのみ。
遊技の果てに残るのは、無情なる空虚。
その日、財布の底は音を立てて抜け落ちた。
次回、「大敗」。
ということで、只今連敗中。いや、歴史的な大敗中だ。9月に入ってまだ1週間しか経っていないが既に-30万円オーバー。もちろん、全敗。
高設定と思われる台も打ったがことごとく不発で、エナをしようが甘い台を打とうが、全て裏目に出て得られたのは僅かな出玉だけ。ここ1週間の最大獲得枚数は800枚ちょっととなかなかの危機的な状況だ。
本格的にパチスロを打ち始めて20年以上経つが、ここまで酷いスランプ、ここまで何もできないのは初めてかもしれない。
そんなどうしようもない理不尽に直面すると、己の性格というのが現れてくるものだ。ある者は苛立ち、ある者は破壊衝動に駆られ、またある者は嘆き悲しむ。私はというと自信喪失。
自分の立ち回り、自分のヒキ、自分の考え…などなど、全てが社会から否定された気分に陥ってしまう。だからといって、ここで自暴自棄になってしまっては傷口を広げるだけで何も解決にならない。
こんなときこそポジティブに、こんなときこそ気丈に振舞う必要がある…と頭では判っているが、実際に目の前で起きることが自分の理想とはかけ離れているので気持ちが折れてしまう。
このままではダメだ、このままでは心が腐ってしまう。そう危惧した私はアダルトDVD専門店に向かうことにした。
ホールから出玉を抜けないのなら、自分で抜くしかない。
懐かしい、全てが懐かしい。ガラケーからスマホに買い替えて、FANZA(当時はDMM.R18)と出会ったからというものほとんど訪れなくなったが、昔は本当に足繫く通ったものだ。
パチスロで大勝ちした日、近接するアダルトDVD専門店に入って吟味に吟味を重ねてまとめて作品を購入。そして、店から出たところで「スロカイザーさんですよね」とファンから声を掛けられて変な汗をかいたことがある、それぐらいよく利用していた。
FANZAのほうが安くて、品揃えは豊富、人目を気にせずに吟味できるから、自然とFANZAに頼るようになったが、今は悪い流れを変えるため、初心を思い出すためにあえてアダルトDVD専門店の門をくぐった。
さて、何を買ってナニしようか。
だが、ここでもパチスロで負った自信喪失が響き、「本当にこの作品で良いのか」と自問自答が止まらない。そんなとき、ふと目に止まったのが10枚1組でまとめ売りされていた福袋的なDVDセットだ。
1本あたり約150円と格安で何が入っているか外からは判らず、中身は店員の厳選チョイスだそうだ。パッケージには「マニアからビギナーまで大満足のラインナップ」とも書かれていた。
そうだ、自分に自信がないのなら他人の選択に全てを委ねれば良いのだ。
で、購入。帰路の間はワクワクが止まらなかった。きっと、自分では選ばないような作品が入っているに違いない。もしかしたらここで新た性癖を開拓し、新たなドアが開かれるかもしれない。そうなれば、この悪い流れも変わるかもしれない。
ただ、ひとつ不安があった。私が訪れたアダルトDVD専門店は、FANZAも取り扱っていない、ドが付くほどの特殊性癖にも対応しているところだったのだ。
もしそれらが入っていたら…。
そんな期待と不安が入り混じりながら帰宅して、すぐさまDVDの開封式を行った。
「13kmや」
私の神槍は期待に膨らませて伸びに伸びていた。そして、本能に駆り立てられるようにまるで衣服を破るかのようにパッケージを力強く、乱暴に開けると、そこに姿を現したのは
私にはまだ早すぎるレベルの高いドアだった。
残り9本も似たような作品ばかりで、タイトルだけで出演女優さんの平均レベルがエラいことになっているのが判った。
「マニアからビギナーまで大満足のラインナップ」とは何だったのか。これがこの店のビギナーのラインだったのか。謎は深まるが、とりあえず私はDVDたちを机の引き出しの奥のほうに封印した。
流れが悪いときは全てがダメだ。「自分が信用できないから他人に頼る」という判断も裏目に出てしまう。そのことを身をもって理解した。
ああ、私のスランプはいつ終わるのだろうか。
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