売って打ってた日々

とある初回限定盤のCDを探すため、中古CD屋巡りをした。

今はフリマorオークションサイトを活用すれば、限定版だろうか絶版だろうが大体のモノは手に入る。ただ、その値段は定価よりも高いプレミア価格となっていることが多く、もちろん、人気があればあるほど値段は上がっていく。

自分が欲しかったCDの定価は2000円前後で、サイトを見てみると定価の1.5～2倍ぐらいで取引されているのが目立った。定価の1.5～2倍といっても、元がそれほど高くないので問題なく手が出せる範囲だ。

だが、私はサイトに頼らず、己の足を使ってお目当てのCDを探した。その理由は、転売屋から買うのが“しゃく”だったからだ。

もちろん、サイトを利用している人が全て転売屋ではない。純粋に手放したいと思っている人も少なくないのだが、両者を正確に判別することはできないので今回は自力で探すことにした。

最近は音楽も漫画もDL購入するのがメインになっているので新鮮な気分だ。CDを買うのは何年ぶりだろうか。

まずは近場の店を片っ端から探したが、残念ながら通常盤しか置いてなかった。通常盤ならどこにでも売っているので、わざわざ他人の手垢がついている中古ではなく新品を買う。

仕方がないので足を延ばして都内に向かった。都内なら店も多いので、きっと見つかるだろう。

電車に揺られ揺られてカーニバル。車窓を眺めていると、ふと、足繁くリサイクルショップに通っていた頃を思い出した。今から20年ぐらい前の話だ。

何かお目当てのモノを探すためではなく、売るために通っていたあの頃。売っては打ち、勝ったら買い戻し。そんな生活をしていた時期を思い出した。

そういえば……。

お金がなくて、泣く泣く手放した限定生産の某アニメのCDがあったな。たしか、定価は4000円ぐらいとそこそこ高価だったが、買取価格は800円だった記憶だ。

今思うと売る店を間違えたかもしれない。アニメ系に力を入れている店だったらもっと高値に…もしかしたら定価以上になっていたかもしれない。

まぁ、仮にそうだったとしても当時の私は店を選んでいるほどの余裕はなかった。納得のいく買取価格ではなかったが、それでも私は手放した。それぐらい、私はお金に困っていたのだ。

幸い、今はCDを売らなくても生活ができている。なので、折角、中古CD屋巡りをするのなら、ついでに当時手放したモノを買い戻してみようか。

私が800円で手放した、限定生産の某アニメのCDはいくらになっているだろうか。もし、プレミア価格が付いていたらショックだ。タイムマシンで過去に戻って「売るんじゃない！」と当時の私を叱るかもしれない。

「作品名 限定生産 CD」で検索。

きっと、どこかの中古CD販売のサイトに引っ掛かるだろう。とりあえず、そこで現在の相場を知っておこう。

プレミア価格以前の問題だった。1000円で買えるということは買取価格は……。

当時は800円と安値で買い取られたので「足元を見られた」と思っていたが、適正価格だったかもしれない。

残念ながら都内のショップにもお目当ての初回限定盤のCDはなかったが、私の勘違いに気付けたのでこの日は大きな収穫があった。

ちなみに過去に手放した限定生産のCDは、特に価値がない&いつでも簡単に買い戻せると判ったので買うのを見送った。