チンポ出さずに金を出す

　プライベートに関して言えば後輩や年下、女性の分は出す。ブスは一瞬躊躇うけど最終的には出す。そしてチンポは絶対に出さない。私は父親にそう教わりましたので、若い頃から今に至るまで飲み食いしたら当たり前のように出してきました。無論、無理して出す必要はないというしみったれた意見がある、いや、そうしたいわゆる、しみったれ派がマジョリティであることは重々承知していますが、もうずっとそうしてきたからからでしょう。私としては無理してでも出すのが当たり前というか、金がなければ身に着けているエルメス風を大黒屋に持って行くとか、ジャラン浅草店の床に目を光らせるとか、最悪、駅前で歌うとかして作らねばならないと考えています。

※この人は酔っぱらうと知らない人の分まで出すそうなので、飲食店で見掛けたらたとえ嫌いでも声を掛けてみましょう。無銭飲食の大チャンスです。

　かっこいいと思われたい気持ちがないわけではありません。粋でいなせな男を演じたいだけかも知れません。ただ、これが良くも悪くも東京下町の文化らしく、地元の人たちは自分がそうされてきたからそうするみたいなところがあるようです。らしいとか、あるようですとか、どこか他人事なのは私が地元のメンドクサイ人付き合いを一切しない協調性ゼロのシティボーイだからに他なりません。友達はいない、いらない、作らないがモットーですので。

※中武先輩は私が一方的に仕事仲間以上、友達未満だと思っている数少ない男性のひとりです。もう蜃気楼なのかも知れないけど。

　先日、少年とその友達らしき数人が家の前でウンコ座りして、頭の悪そうな演者の実戦動画よろしくオチもない、しょうもない、クソつまらない話をしていました。私に気付かぬ様子だったので声を掛けたところヤバッみたいな感じで小さく「こんばんは…」と挨拶されたのですが、実のところ、少年の友達に私はとても怖い人だと思われているらしく、多分、プーチン大統領以上に嫌われています。なので、そのあたりのイメージを払拭すべく全員にラーメンをご馳走することにしました。

　ここでカッコつけなくてどうする家康です。券売機に一万円札を入れ、なにを食べても構わない、トッピングも自由、どれでも好きなボタンを押してくれと言ったらほぼ全員が味玉チャーシュー麺のボタンを押したのですが、天然なのか、古事記なのか、少年だけは返却ボタンを押しました。

※常套句は「人の金で食うメシは死ぬほど美味い」です。