エナ

午後からの取材来店情報は地獄です。優良店であればあるほど地獄です。だって考えてみてくださいよ。優良店にはプロ気取りの上手い人が集まるわけで、そんな上手い人が掴んだ高設定を捨てるなどまずもってあり得ないというか、彦麻呂が刑務所の臭い飯を食って「味の宝石箱や」と絶叫するくらいあり得ない話です。ですから、午後から突撃して空いている台は低設定の烙印を押された台、言い換えるなら村一番のゴミ台の可能性が極めて高いというわけです。

　辛うじて可能性があるのはボーナスタイプのマシン。ジャグやハナはAT機で掴めなかったドヘタというか同士のセーフティネット的な位置付けですから、午後になっても高設定が空いている可能性は高い。なので、俺も午後からの取材来店情報は、大怪我をせぬようこの手のマシンを攻めることが多いのですが、いやはや、この日は散々でした。

　ニューパルDXのカド台がウンともスンともヤバーイとも言わなかったので、常連と思しきご婦人がドル1箱お持ち帰りしたニューパルSPのカド台に移動したところ、投資1本で上段GOD揃いときて持ちコインで右下がりGOD揃い。ボーナス確率も設定8のそれを上回ったとくればブン回して然るべきなのですが、ここで問題がひとつ。俺がGODを揃えるたび、後ろから舌打ちが聞こえてくるのです。

　舌打ちの主は先ほどまでこの台を打っていた常連と思しきご婦人。いや、罪のない俺に対し舌打ちしてきたわけですから、ここはあえてババアと呼ばせてもらいます。そのババア、俺が飛び込みビッグを揃えたらこう抜かしてきたわけです。その台、さっきまでアタシが打ってたんだけどねえ、と。

　こうしたケースでは無視をする、苦笑いをする、横っ面を引っぱたく。3つの選択肢があるのですが、先ほども申し上げた通り、この日は取材来店情報です。仕事で来ている以上、横っ面を引っぱたくはあり得ないので、とりあえず「すいませんねえ」と言って苦笑いしたのですが、よくよく考えてみるに私が最初に打っていたニューパルDXのカド台でビッグを連チャンさせているのは一体誰なんだと、ババア、お前だろとも思うのです。はい、おしまい。