分かるんです。

　分かるんです。俺のようにパチンコ、パチスロ歴の長い人間にはそれとなく分かるんです。なんか写ルンですみたいだけど、とにかく30分も打てばいい台か悪い台か、それくらいは分かるんです。

 　この日のケンは見るからに体調が悪そうでした。この険しい表情から察するに恐らくは下痢、前日の夜に北千住のオイスターバーでラオウと一緒に食べたカキにでも当ったのでしょう。とにかく、ケンの動きを見てこの台は出玉に期待できない悪い台だと30分打ったところで確信しました。それとどうでもいい話なんだけど、ケンはお腹が痛いとき、やっぱりアタタタタタって言うんですかね。 

 　人の下痢を心配していたら、どういうわけか俺のお腹も痛くなってきました。最初は我慢して打っていたんですが、途中からウンコみたいな臭いの屁が出るようになりましてね。隣のお兄さんがちょいちょいこちらを見るようになったのでトイレの個室に向かったわけです。それとこれも全然関係ない話なんですが、なんで人の屁ってあんなに臭いんでしょうね。自分の屁はまるで臭いと感じないというか、温泉卵みたいな臭いの屁が出ると嬉しくなるのに。 

 　打ち始めて30分。トイレの個室で更新したツイッターがこれです。もう悪い台だと確信していましたからもっと堂々と呟けばよかったんですが、「多分」「村一番台」とあることからもお分かりのように、このときの俺は少しホールに配慮しました。村一番台とは村一番のゴミ台のこと。何故もっとハッキリ書かなかったのかと後悔頻りです。いや、ホールに配慮したこのときの自分を思い切りぶん殴ってやりたいです。

　ほどなくして、フォロワーの方々からたくさんのリプがつきました。実戦開始からまだ30分ということもあってか、そのほとんどは「見切るの早すぎ」とか「大器晩成型の可能性もありますって」とか、前向きな意見だったのですが、先にも申し上げたように俺には分かるんです。悪い台であることは30分も打てば分かるんです。しかし、根拠を示さぬことには納得してもらえないといったわけで、打ち続けた結果がこちら。 

　どうですか、俺の言ったとおりになったでしょう。やっぱり俺には分かるんです。このときはそう思いましたが、こんなオカルトじみた、下らないことを証明するために何万もドブに捨てる羽目になろうとは…。この点に関してはさすがの俺も分かりませんでした。はい、おしまい。