少年の夢

　パチスロ必勝ガイドで10年やっていた連載「毒嫁食らわば下皿まで」にもちょいちょい登場していたので少年と言えばピンとくる方も多いのではないでしょうか。俺には中学校二年生の息子がいます。幼い頃は将来の夢を聞くとパチスロの実機になりたいとか、マイケルジャクソンその人になりたいとか、かなりぶっ飛んだ感じのことを言う子供だったのですが、チン毛が生え、声変わりし、コリをほぐす以外の用途が電マにあることを知るようになると、現実が見えてくるようで、最近はなにになりたいかでなく、なにになれるかを考えた上で将来の夢を語るようになりました。

　ただ、中二ですから言うことはガストの日替わり定食くらいコロコロ変わります。少し前は新日本プロレスのエースになりたいと言っていました。実際、毎日筋トレを行ったり、棚橋選手と同じ迷彩柄のパーカーを着たり、学校の友達にテキサスクローバーホールドを掛けて校長室に呼び出されたり、エースになるための努力は怠りませんでしたが、俺に膝十字を掛けられて泣いているようではエースなど夢のまた夢、プロレスラーになるという夢は旭川醤油よりもアッサリ諦めたようです。

　年末年始はパチスロライターになりたいと言っていました。どうやったらパチスロライターになれるのか、パチスロライターはいくら稼げるのか、誰に媚びれば仕事がもらえるのか、そしてどの女性ライターが枕営業をしているのか、そんなことを根掘り葉掘り聞かれたので、スロライターの現実を知ってもらうため八百屋報道という超絶面白動画を観せたら、案の定「やっぱりやめる」と言い出しました。あんなだらしない大人にはなりたくないとも言っていました。

　という話を行きつけのホモバーのマスターにしたところ、塾長が甘やかしているからすぐに夢を諦めてしまうようなダメな子供になってしまったんだと、何故か俺が怒られました。そして何を思ったかマスターが突然「打ち子させなよ」と言い出したのです。

職業に貴賎なし。息子の人生は俺が決めるものではありませんから打ち子も確定申告した上で税金を納めてくれれば問題ないと思うのですが、俺の仕事を考えると正直オススメはしたくありません。

「ウチでちゃんと鍛えるから大丈夫」

　一瞬、マスターがなにか拾い食いでもして頭がおかしくなったのかと思いましたが、マスターがバーテンダーとはみたいな話を始めたところで、ようやく理解しました。打ち子させなよがウチ来させなよであることを。はい、おしまい。