夏が終わっちゃう！

　毎年、お盆を過ぎたあたりからSNS上で「夏が終わっちゃう」的な内容の書き込みを頻繁に目にします。とりわけ、今年は平成最後の夏とあって意識高い系女子たちも相当気合が入っているようで、やれ海に行っていないだとか、やれナイトプール終わっちゃうだとか、やれ公園のトイレで一発やっていないだとか、思わずこちらが知らんがなと一発突っ込みたくなるような書き込みが散見されます。多くの女子が夏の終わりを一斉に告げる様はまるで夏の終わりのハーモニー、玉置浩二と井上陽水かって話です。

　夏が始まる的な告知はしないのに、夏の終わりだけはしっかり告知する。これは恐らく夏の終わりは夏休みが終わる8月最終日と分かりやすいのに対し、始まりはなにかこうぼんやりしていて分かりにくいからではないかと俺は推察します。特に今年は梅雨明けが全国的に早かったこともあり、告知するタイミングを迷っているうちに猛暑が訪れた。或いは夏の終わりを告知するのはロマンチストとの印象を与えるけど、夏の始まりを告知するのは単なるヤリマンだと思われてしまう、そんな感じでしょうか。ちなみに、浅草では夏の始まりは隅田川の花火大会、夏の終わりはサンバカーニバルと決まっていて、それ以降のビーサン、短パン、フルチンは条例で禁止されています。多分。

　ただ、正直そんなことはどうでもいいのです。俺が言いたのは、何故、そんなクソの役にも立たぬ情報を全世界に向けて堂々と発信するのかという点です。夏の終わりは人によって区々、勝手に決めてくれるなという人もいるだろうし、そもそも一年中ビーチタイムというTUBEみたいな人もいるのですから、そっと自分の胸にしまっておけばいいものを何故、自分の物差しで夏の終わりを決め、そしてそれを大々的に発表するのか。まったくもって意味が分かりません。どうせなら夏でなくピーチピンクフルーツフラペチーノが終わっちゃうとか人様の役に立つ情報を発信すればいいのにと俺は思うのです。

　誰かが落とした麦わら帽子が波にさらわれて夏が終わる、月はおぼろ遥か遠く空きが目覚めた、それは8月末の空のハナビみたいになど、毎年、夏の終わりは桑田佳祐にそれとなく知らせて欲しいと願っているのに、人の気を引きたくて仕方ない女子の趣もへったくれもない「夏が終わっちゃう」で夏の終わりを知るこの残念な感じ。マジでヤメて欲しいと俺が声を大にして訴えても、きっとヤメてはくれないでしょうから、もうこれ以外に手はないのかなと思うのです。

みんな、もう夏が終わっちゃうよ！