安心感

　オリスパのマッサージだとぐっすり寝てしまうのに海外、特にアジアで受けるマッサージだとおちおち寝ていられないのは何故でしょう。それは多分、素性の分かっているスケと一発やった後はそのまま寝られるのに、デリヘル嬢に一発抜いてもらった後は相手が帰るまで寝られないのと同じだと思います。ちょっと目を離した隙に財布から金を抜かれるかも知れない、テーブルの上に置いた実印をかっぱらわれるかも知れないという緊張感があるから寝られないというか、そもそも素性の分からないスケは芸能人がプロデュースしたカラコンくらい信用できません。

　逆に寝られる状況というのは絶対の安心感、これに尽きると思います。飛行機でぐっすり寝られるのは乗り過ごすことがない、まず落ちないという絶対の安心感があるから。終点まで乗る新幹線や特急も同じです。無論、公共の交通機関の場合、落ちない、事故らない保証はどこにもありませんが、その確率は脱走したチンパンジーが盗んだ自転車で逃走するくらいの確率なので、実際にはないと考えて差し支えないかと。ちなみに、私の運転する車の助手席で寝た人は家族も含めこれまでひとりもいません。いや、命知らずがひとりいました。

　酒もそうです。飲む相手が田中だったら致死量飲んで意識を失くしてしまっても問題ありませんが、鈴虫君だったらほろ酔いすら危険です。それは何故かと言うと寝てしまった私を起こすフリしてポッケをまさぐられる可能性が高いから。ボートレース関連の仕事で儲けているはずなのに、いつ会っても「金がない」と言う鈴虫君、もしかしてアメリカの大企業相手に裁判でもやっているのでしょうか。

　行く店も安心感がある店をチョイスする傾向にあります。服屋であれば私の体型や好みを熟知している店に行きますし、メシ屋であればこちらの顔と名前、好き嫌いまで覚えてくれている店に行くケースが多いです。私は高級なメシ屋で寝るようなことはありませんが、そう考えてみると衣食住、日々の生活において安心感の有無はとても大きいというか、安心感がすべてと言っても決して過言ではないように思います。

　美容院を十年以上変えていないのもそうした理由からです。これだけ通っていると担当が休みでも、他の美容師は私がどうしたいのかを全部分かっていますから、長め、短めだけを言えば大丈夫。イメージしているのは吉川晃司です、薄毛が目立たないようにしてください、ヅラっぽくしないでくださいはデフォなのでそれをいちいち言う必要がないのです。絶対に大丈夫だという安心感のもと四時間ほど寝た結果、できあがったのがこれ。吉川晃司というよりは志茂田景樹。安心感というよりはとんちんかんという、皆様にとってはどうでもいい報告でした。