免許がない（ハンコ押してくれよ）

　車の運転が苦手です。年に同じ箇所を三回擦ったことは以前ここでもお伝えしましたが、もうこの年齢になると運転技術の向上は見込めないので、このまま死ぬまで右後輪の上部分を擦り続けそのたび数十万払うか、それとも首都高を逆走する前に免許を返納するか、私にはその二択しかないように思います。

※これくらいのスペースがあれば10分くらいで駐車できます。

　なので、基本的に車の運転は月に一度ないし二度。マルハン鹿浜か123東雲で収録があるときくらいしか乗らないのですが、よくよく考えてみたら少年は大学一年生。免許がない（ハンコ押してくれよ）ことが恥ずかしい時代ではないものの、普通免許を取得できる年齢であり、助手席にスケを乗せたり、運転席に座った自分の上にスケを乗せたりしたいはず。というか、本当に私の息子だとするならいい車に乗って、いい酒を飲んで、いい女を抱きたいという昭和の古い価値観は持ち合わせているはずです。

※ハワイの運転手ダニエル・K・トクナガ

　無論、少年が免許を取れば私にもメリットはあります。二丁目で緑茶ハイのシンナー濃いめを飲み過ぎてガンギマリしても電話一本で迎えにきてもらえるし、下着ドロの誤認逮捕で夜中に釈放されても迎えにきてもらえるし、最悪、司法試験に落ちてもデリヘルのドライバーとして働けます。ただ、問題がないわけではありません。それはなにかと言うとひとつは自動車教習所の費用を誰が払うのかという点、そしてもうひとつは本当に私の息子だとするなら恐らく運転センスはゼロ、即ち、私以上に車の修理費が掛かるのではないかという点です。

※もう6年、ヤンマーの車に乗っています。

　少年が免許を取得することで私にも多大なメリットがある点を考慮すると、教習所の費用はやはり私が出すのが筋のように思います。しかし、運転技術だけはどうにもなりませんので、去年、免許を取った大学生の息子を持つ高校時代の友人にそれとなく聞いてみました。お前んとこのバカ息子は運転に慣れるまでどれくらいかかったのかと。

「二台、いや、厳密に言うと二台半かな」

　なるほど、親子そろってバカか。友人は質問の趣旨をまったく理解していなかったようですが、ニュアンス的なものはなんとなく伝わりました。