マジ信じられない

　信じられない。座右の銘が「人を見たら殺人鬼だと思え」の私にしてみれば口癖とは言わないまでも割と頻繁に口にするセリフです。したがって、信じられないとなにかを疑って掛かることは私にとって呼吸をする、報道ステーションを観る、チンポとケツメドをしっかり洗う、カレーを出したらカレーを食べるくらい当たり前のことなので、当然、メーカー発表の機械割やイベント屋の公約、同業者の彼氏彼女いません、結婚していませんなどはひとつも信じていません。というか、端から嘘だと決めつけている節があります。

※少年は現在19歳。趣味はファッションとプロレス観戦で多分童貞です。いや、童貞だと思いたい。

　その遺伝子は息子である少年にもしっかりと受け継がれているようで、なにかにつけて「信じられない」を連発します。老舗のうなぎ屋で創業時からタレを継ぎ足し使っているという話をすれば即座に全否定。風俗嬢になったときから継ぎ足して使っているローションが存在しないのだから、うなぎのタレを継ぎ足して使っているなど信じられるはずがないと言いますし、私が今年に入ってまだ5回しか勝っていないと言えば、パチスロライターなのに信じられない、あり得ないと言います。ただ、これに関しては信じる、信じない云々の話でなく、紛う方なき事実であることだけは伝えておきました。って、ちょっと信じられないの種類が違うような気がしてきましたが、リライトする時間も根性も勇気もないのでこのまま最後まで駆け抜けます。

※棚橋選手が好きな人のポーズじゃない。

　また、少年は交通費を浮かすためバイト先の文京区から自宅のある家まで歩いて帰ってきたり、ブスが半数以上の飲み会（主にコーラ）では1円単位で割り勘にしたりする筋金入りのドケチでもあります。それ故、私が後輩に陰で財布と呼ばれているとか、ウシオはそのさらに上を行く枯れない金庫と呼ばれているといった話をするとかなりパンチの効いた「信じられない」を返してきますが、自分とは異なる価値観を否定してしまう気持ちは分からなくもありません。実際、私もスロット関連のTシャツを着て銀座を歩いている人を見たら、信じられないって言うだろうし。

※この後、どうなったかはもうお分かりでしょう。

　そう考えると、ひと瓶3千円以上する鳥取牛の高級コンビーフをネットで取り寄せた私に対し、渾身の信じられないを全力投球するというのは、少年の価値観からすれば当たり前のことなのでしょう。ですが、その高級コンビーフを「信じられない、マジ信じられない」と言いながらひと瓶ペロッと平らげやがったのですから、さすがの私もこう言いたくなります。信じられないのはお前だよ、と。

※信じられない美味さです。