経験者は語る〔3〕時代劇のエキストラ
記事一覧へ公開日: 2023/09/26
緊急企画「経験者は語る!」シリーズの第3回目になります。
1回目と2回目が連続してダメだこりゃ~な内容になってしまったので、今回は少しホッコリするやつにしてみようと思います。
前述した通り、学生相談所(ガクソー)で紹介・斡旋される仕事には「人気があって抽選になってしまうもの」と「人気がなくて敬遠されがちなもの」があったわけですけれども。
人気があったほうの仕事のひとつに「時代劇のエキストラ」がありました。
今と違って、まだ当時は時代劇がたくさん作られていましたからね。
とくに秋頃になると「年末年始!スペシャル時代劇!」みたいなやつも加わり、東映の撮影所では多くのエキストラを募集していたのです。
みなさんもよく知ってる京都・太秦(うずまさ)の撮影所です。
ただし、拘束される時間を考えた場合のバイト代としては高くありませんでした。
時給にしたら600円とか650円とかだったんじゃないですかねえ。
それでも人気が高かったのは純粋に面白かったからです。
撮影当日になるまでどんな作品に参加させられるのか分からないっていうのも、ガチャみたいな感覚があって飽きませんでしたし。
エキストラといえども、まあまあちゃんとしたヅラをかぶるんですよ。ちょんまげ付きの。
「俳優会館」と呼ばれている建物の中に「結髪部(けっぱつぶ)」という部屋があり、そこでヅラをかぶせてもらいます。
不自然にならないよう、おでことか、もみあげ付近に何かを塗ったりなんかして(何なのかは知らんけど)。
で。
ふと、となりのイスに座ってるオッサンを見たら、まさかの里見浩太朗さんでビックリっすよ奥さん。
(´・ω・`)
すでに助さん役は引退してたから水戸黄門じゃなかったっぽいけど
そんなこんなで某日のエキストラは「暴れん坊将軍」。
映画村のオープンセットを利用して撮影が行われました。撮影がないときは一般の入場者も立ち入ることができる場所です。
名波アマは「大工さん」の設定で大工道具が入ってるテイの木箱を持たされ、路地の陰で出番を待ちます。
要するに「通行人」ですわな。
何度も何度も歩かされました。
んで。
ひととおりの撮影が終わって、さあ帰ろうと思ったら。
「アナタちょっと居残って」
エキストラのやりくりを担当している人からの残業指令でした。
引き続き「暴れん坊将軍」の撮影に参加しろと。
今度は「そば屋」の店内です。
名波アマが要求された動きは「そばを食べ終わり、(お代はココに置いとくよ的なフンイキで)お金をチャリンと置いて店外に出ていく」というもの。
ちゃんと普通に美味しいお蕎麦(あたたか~いやつ)が用意されていて、ちゃんと食べるんですよ。
いやいやいや、これ、まあまあのやつですやん。
通行人と比べたら、めっちゃムズいですやん。
主役の松平健さんと某女優さんがそば屋の店内で、ただならぬ会話をしているときに、助監督のGOサインに反応して「(お代はココに置いとくよ)」です。
さすがにセリフはありませんけど。
ハーイ本番!
(ただならぬ会話……)
ハーイカットぉ!
どうやらNGが出たみたいです。
始めからやり直しです。
ボンヤリして再開を待っていたら、助監督が駆け寄ってきて
「あんなに大きな音を立ててそばをすすったらアカンで(ちょい怒り)」
と。
え?あ?そうなの?
おどおどしていたら、近くのテーブルに座っていた”プロの年配エキストラさん”が、こうやって食べれば音が出ないんだよと、やさしく教えてくれました。
(´・ω・`)
感謝の言葉しかありません
いちおう、名波アマのそばすすり音はNGと関係なかったみたいですけどね。ビビりましたよ。
ちなみにチャリンと置いた「お金」は現代の10円玉×2枚です(にがわらい)。どうせハッキリとは映りませんからね。
なんだかんだで撮影は無事に終わったのですが、このときのオンエアを1回も見てないんですよねえ。
たまに再放送を見かけるたびに、あのときのゲスト女優さんが出てたときの回じゃないかな~って確認するんですけどね。違うのばっかりなんすよ。
さらに某日は年末年始の時代劇特番でした。
タイトルは全く思い出せません。
主役の俳優さんのWikiを見てみたけど出演リストに載ってませんでしたし。
いつものようにヅラをかぶせてもらったあと、太秦からロケバスに乗り、30kmか40kmぐらい走ったところにある園部町(現・南丹市)で撮影が行われました。
神社の参道の両側に楽しげな屋台が並んでいる、村祭りのシーンです。
どこからともなく「ケンカだケンカだ!」という声が聞こえてきて、声のする方向に村人たちが駆けつけてみると、そこには絶賛ケンカ中の主人公がいて…
(´・ω・`)
食パンくわえるやつ並みにベタな掴み
この時代劇特番についてはオンエアをしっかり見ることができまして。
名波アマは「村人G」みたいな感じだったんですけどね、遠巻きにケンカの行方を見守っている村人たちが映し出された瞬間……
ちょっと誇張しすぎた気もするけど、とにかく、頭ひとつ抜き出ていて、すぐにわかったんすよ。
身長180cmありますから。
(´・ω・`)
ヅラが似合わねーんだわ
ほかにもいくつかの作品に参加しましたが、長くなってしまったのでこれぐらいにしておきます。
特別にエキストラ事務所に登録するとかではなく、日雇いバイトとして直前に応募するだけで気軽に撮影に参加できた時代があったんですよ、というお話でした。
ちなみにちなみに。
「必殺仕事人」は東映・太秦ではなく、松竹系の「京都映画撮影所」というところで制作されておりまして。
そっちのほうはエキストラをほとんど募集していませんでした。
(´・ω・`)
いや、ただそれだけ
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