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名波誠

経験者は語る〔4〕お弁当製造工場のバイト

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公開日: 2023/09/28

というわけで短期集中連載(?)の第4弾は、お弁当製造工場のバイトです。

ちょうど今(2023年9月)、とある会社の作った駅弁が原因と思われる大規模な食中毒がニュースになっているところですけれども。

ボクが大学生のときに経験したのは、主にコンビニ向けの弁当・おにぎりを製造している工場のバイトでした。

 

今回は〔1〕~〔3〕に書いたような「ガクソー」で紹介してもらったものではなく、ほかのバイト先で知り合った大学生からダイレクトに紹介されたやつになります。

「深夜の時間帯で時給のいいバイトがあるんだけど、人手が不足してるから入りたいときに入れるよ」と。

昼や夕方だけでなく早朝4時~6時に工場から出荷する弁当・おにぎりを作る必要があり、ほぼ24時間で稼働していたのです。

いわゆる「3交代制」みたいな感じだったと思います。

どのシフトで入っても必ず1食、まかないのお弁当が支給されるのもナイスでした。

 

会社が用意した白衣に着替え、髪の毛が製品に混入しないよう、あたま全体を覆う帽子などもキッチリかぶります。白い長靴も履きましたっけねえ。

 

いちばん最初に命じられた仕事は「ピラフの上にグリンピースを3コ乗っける係」でした。

ベルトコンベアーで流れてくるピラフ弁当に、ただひたすら黙々と、グリンピース×3コを乗せていくのです。

2コでも4コでもなく、なにがあっても絶対に3コでなければダメだと言われました。

しかも1コ1コ、ほどよく距離をとって、バランスよく置かなければいけません。

 

最初のうちは、うっかり2コとか4コとか置いちゃうこともありましたけどね(すぐに修正すれば問題なし)。10分とか15分も経てば、ほぼノーミスでできるようになってきます。

さらに30分も経てば、よそ見をしながら盲牌(もーぱい)でもできるようになってきます。当たり前ですけど。

さあ、ここからが大変。

 

いったん作業をマスターしてしまうと、ぜんぜん時間が進まなくなるんですよ。

最初は必死にやってるから目の前の作業だけに没頭できますが、マスターして余裕ができると時間の経過が気になってしまいます。

25分から30分ぐらい作業したような気がするんだけどな~と思っても、ふと時計を見たら実際には15分ぐらいしか進んでなかったりなんかして。

その日、そのラインで、どれぐらいの数の弁当を製造する予定になっているのか。分からないっすからね。

底が固いのか、やわらかくてズブズブなのか、よく分からない沼に足を踏み入れるような不安です。

何日間か経験すれば、ある程度は分かってくるんでしょうけれども。

初めてなので、さっぱりです。

 

と思ったら。

ベルトコンベアーの上からピラフ弁当が姿を消しました。

青いシャツを着た社員さんが駆け寄ってきて「お疲れ様です、これで終了でーす」って。

 

ふぃ~~

助かった~~~

 

で、えーと、この、余ったグリンピースは、どこかの冷蔵庫にしまうんでsy…

 

青いシャツの社員さん「じゃあ、次はチャーハン弁当が流れてキマース!引き続き同じ作業をお願いシマース!」

 

20230928-1

ですよねー
まだ終わりじゃないっすよねー

 

 

 

さらに某日は、「鯖(サバ)の押し寿司の上に、うっす~く切った昆布を乗せていく係」でした。

いわゆる「バッテラ(寿司)」の製造ラインです。

 

はい?
バッテラ??

 

恥ずかしながら、このバイトをするまで「バッテラ」を知りませんでした。

関西地方ではメジャーな食べ物らしいですけどね。

今では「恵方巻き」とともに、かなり全国的に知られる存在になっているのではないかと思われます。

 

深夜の1時頃からスタートして、4時頃までの約3時間。ただひたすらに、黙々と。うっす~くカットされた昆布を1枚1枚、乗せていくわけですけれども。

 

このカット昆布がですね、結構な割合でくっ付いてるんですよ。

1枚1枚、うっす~くキレイに剥がすのが手間でして。

ああ、なるほど。こりゃ~機械化できない作業だわなと。

 

で、15分おきぐらいに、イ―――ッ!

ってなるんですよ(にがわらい)。

 

 

さらに、深夜の時間帯を何度か経験したあとの某日でした。

青いシャツを着た社員さんから「◯月◯日は昼間の時間帯の人手が足りひんから、昼間も入ってくれへん?」と言われまして。

昼間に炊く白米のラインに入ることになりました。

 

深夜と違って昼間の現場には、いわゆる「パートのオバちゃん」がたくさんいます。

たまにチラホラと男性のパートさんもいましたけどね(着ている服が白いので、社員じゃないことが一目でわかる)。

9割以上は女性です、しかもほとんどが、やや年配の。

 

そんな白米のラインに、ちょっと若い女性(とはいえ30歳ぐらい?)がひとり、いらっしゃいまして。

年配のベテラン女性から、あれこれと指導されながら作業していたので、おそらく「新人さん」だったんだろうと思います。

 

あまり要領の良いほうではなかったらしく、年配のベテラン女性から、ややキツめの言葉で指導されている場面もありました。

ボクは心の中で「そりゃ新人さんなんだから、作業が遅かったり、間違えたりすることもあるでしょうよ」と思いながら見ていました。

ベテラン女性の口調が、あまりにもキツすぎるんですよ。

 

そうこうするうち、年配のベテラン女性が新人さんに対して放った言葉がコチラ

 

そんな仕事をさせるためにウチに来てもらってるんじゃないのよ!

(※もう少し関西弁混じりだったと思うけど正確に再現できない)

 

 

 

その直前に何があったのか。

ちょっと分からなかったんですけどね。

そんなことはどうでもよくてですね。

 

聞き捨てならないのは「ウチに来てもらってるんじゃないのよ」の部分ですわなあ。

 

もしもし、ベテランパートさん?

あなた、この会社の経営者?

じゃないでしょう。

青い服を着た社員さんでもないでしょうに。

 

長く勤めていると、そっち側に立ちたい気持ちになるのも分からないわけではありませんが。

超えてはいけない一線というのも、やはり、あるのではないでしょうか。

 

この日の仕事終わりの食堂(休憩室)で、まかないの弁当を食べているときでした。

とある男性パートさんが教えてくれたんです。

「あのオバハン、たまに若い新人が入ってくるとイケズしよんねん、困ったもんやで」と。

(※イケズ=意地悪、困らせる、ハラスメント)

 

 

そりゃ~人手不足にもなりますわな。

会社としては、デキるベテランさんのおかげで仕事が回せてるというのもあるんでしょうけど、その、ベテランさんのせいで、若い人が定着せずヤメていってしまうってのもあるのではないでしょうか。

 

今日のところは以上ですキャップ。

(´・ω・`)
テッテレー

 

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