危機的ホール
記事一覧へ公開日: 2023/01/23
人間よりも高度な知性を持った機械たちが人間の生活を脅かすようになる……そんな「機械の叛乱」はSF作品によるあるテーマだ。
だが、よくあるテーマだけれども所詮は絵空事、現実には起きることはない。私はそう思っていた。思っていたのだが、機械の叛乱が起きるXデイは近づいていると感じさせることが起きた。
これは先日の話。その日は高設定に期待できる日だったので、朝から某ホールに赴いた。数百人もの大行列ができており、残念ながら私は朝抽選で良番を引くことができず、ホールに入ることができたのは開店してから10分ぐらい経ったときだった。
当然、ホール内はお客でごった返しており、何を打つかではなく何が打てるかという状態。機種を選んでいる暇はなく、空いていたヴヴヴを見つけて慌ててキープした。お目当ての機種ではなかったが、とりあえず打つことができたので一安心だ。
さて、残り物には福があるのか、どうか。
いざ、勝負とレバーを叩こうとしたが、寒空の下でずっと並んでいたせいかギュルルと急に便意に襲われた。水を差された気分になったが、ここで漏らすわけにはいかないのでトイレに向かい個室に入って一息ついた。
壁に備え付けられているリモコンのボタンを押して洗浄シャワーを作動させ、ア〇ルに水流を噴射。気持ちイイ、本当に気持ちイイ。男は黙って「強」、洗浄シャワーの勢いは「強」一択。シャワー付きトイレを体感するたびに、日本に生まれて良かったと心の底から思う。
洗浄し終わってリモコンの「止」ボタンを押し、さあ、今日の戦いはここから始まる…と気合いを入れようとしたのだが、
止まらない。
洗浄シャワーがまったく止まらず、マーライオンが如く水を延々と吐き出していた。
ボタンを上手く押せていなかったのかなと思い、再度リモコンを操作してみるがシャワーは止まらない。接触が悪いのかなと思い、力強くボタンを押してみるがシャワーは止まらない。シャワーは私のア〇ルを刺激し続けていた。
いったい、どういうことだと頭の中はプチパニック状態。何が起きているのか判らなかったが、今、私が置かれている状況はかなりヤバいというのだけは理解できた。刺激が欲しかったので、洗浄シャワーの勢いを「強」にしたけれど、そろそろ気持ちイイを通り越しそうだった。ア〇ルが悲鳴を上げていた。
困ったときはインターネッツ、ア〇ルにシャワーを浴びながら、便座に座って「シャワー付きトイレ 止まらない」と打ち込んでスマホで検索。すると、
「洗浄シャワー作動中にリモコンの電池が切れた」
という回答が導き出された。なるほどと思いリモコンをよく見てみたら、たしかに電池が切れていた。
ものスゴく絶妙なタイミングで電池が切れたな、ハハハハ。謎は全て解けた、これで一件落着だ。
…。
……。
………。
で、これからどうすればイイの? 問題は全然解決していなかった。
今度は解決方法を調べてみたら、まず出てきたのが「リモコンを充電する」。
そうそう、電池が切れたんだから充電すれば…
って、できねーよ! ア〇ルにシャワーを浴びながら充電なんてできねーよ! 何、馬鹿なこといってんだよ! とインターネットに八つ当たり。
次の解決方法を見てみたら、「コンセントからトイレの電源プラグを抜く」。
何という力業。だが、これは確実だ。ようやく、ア〇ルシャワー地獄から解放される…と思ったのだが、コンセントは便器の真後ろにあって座りながらだと手が届かない。かといって、立ち上がったら今までア〇ルで受けていた「強」のシャワーが個室内にまき散らされることになる。
…ダメじゃん。まさに八方ふさがり。
私はこのままア〇ルが崩壊するのをただ待つことしかできないのか。そう諦めていたとき、奇跡は起きた。
洗浄シャワーは止まった、自動で止まった。どうやら、洗浄シャワーは5分ぐらい作動すると自動で止まるらしい。こうして、私のア〇ルの平穏は保たれた。
お判りになっただろうか。人類の英知、セーフティー機能が作動して一命を取り留めたが、もし、あのままア〇ルが刺激され続けたら、私は間違いなく機械によって“開発”されただろう。なんと、恐ろしいことだ。
機械は便利だ。だが、それに頼りすぎていると機械に(ア〇ルを)支配されてしまうかもしれないので過信は禁物だ。あと「お願いだから、トイレのリモコンの充電チェックは毎日してくれ」。
余談になるが、トイレについて調べ直してみたら最近のトイレは着座センサーが備わっているのが一般的で、便座から立ち上がると自動的に洗浄シャワーは止まるらしい。
私のア〇ルの危機は何だったのだろうか。ホールだけに。
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