「白い手」
記事一覧へ公開日: 2019/09/09
8月が終わり9月に突入したが、まだまだ暑い日が続いている。なので、今回はそんな暑さを吹き飛ばす、「本当にあった怖い話」でも語ろう。
これは昔、誌面企画のため『SLOT魔法少女まどか☆マギカ』の実戦をしていたときの話だ。
朝から打ち始めて、昼過ぎ。打ち始め早々に直撃ARTを引いたので高設定を期待したのだが、その後の挙動はイマイチ。打てども打てども、高設定らしさが現れてこない。
下皿モミモミ状態が続いて「これはもう、直撃ARTはたまたま引いただけと解釈したほうが良いかもしれないな…」と、キリが良いところでのヤメを考え始めていたときに“それ”は起きた。
ぬっと私の下皿に向かって、右から色白の手が伸びてきたのだ。
*)写真はイメージ。私の手なので色白ではない。
「コインがとられる!」と思ったので、咄嗟にその腕を力強く掴んでみると…冷たかった。まるで、冷え性の女性の腕を掴んだような感じだった。
*)冷え性に限らず女性の腕を掴んだことがないので、あくまでイメージ。
腕の主は本当に女性だった。私の右隣に座っていた、色白でロリ顔、ちょっぴり胸が豊かな女性だった。綺麗というよりもカワイイ、そんな雰囲気のある女性だった。
私はドキリとした。こんな経験がないので(女性の腕を掴んだことではなく、目の前で出玉を盗まれそうになったこと)、下半身は暴走寸前。
腕を掴まれた彼女は口を開いて何かを言ったが、ホール内ゆえに上手く聞き取れない。だが、なんとなく「コインが欲しい」的なことを言っているのは伝わった。
きっと、ボーナス確定画面でコインが尽きたのだろう。それならそう言えばいいのに、どうして私の下皿の出玉をとろうとしたのか。
店員に突き出しても良いが、あまり事を大きくしたくない。なので、「今回は大目に見るよ。コインは貸してあげる」的なことを身振り手振りで伝えると、彼女は私の下半身を刺激するかのような満面の笑みを浮かべた。
そして、私の下皿から10枚ほどコインをギュッと握りしめて持っていった。
「いや、多すぎだろ」と思ったが、「どうせなら違うところを握ってほしい」と思ったが、彼女の笑顔に免じて許した。だが、次の瞬間、私は目を疑った。
彼女の台では、まどかたちが買い物をしていたのだ。そう、もろ通常時だったのだ。
マジで意味が判らない。どうして、彼女はコインを欲していたのだ。「本前兆中なのか」とも思ったが、彼女の手つきは完全にパチスロ初心者だったのでその可能性は低い。
私は考えた。彼女がコインを欲していた理由を考えた。そして、導き出された答えは「彼女はコインが欲しかったのではなく、私と話すキッカケが欲しかった」だ。いやはや、モテる男はツラいぜ。
きっと彼女は「お礼にことあと食事でもどうですか」的なお誘いをしてくるハズだ。うーむ、どうしようか。実戦データを採らなければいけないが、据え膳食わぬは何とやらだ。
私は心を鬼にして、下半身を膨張させながらその時を待った。
数分後、
ぬっと私の下皿に向かって、再度、色白の手が伸びてきた。
下半身に向かってきた手なら私は拒まなかったが、下皿なら話は別だ。再び私はその腕を掴んだ。
彼女の微かな温もりを感じてリビドーが暴発しそうになったが、それを抑えつつ「さすがにこれ以上はダメ」と首を振りながら伝えた。
すると、色白でロリ顔、ちょっぴり胸が豊かで告白されたら二つ返事でOKしたくなる彼女は、寂しそうな表情で席を立った。私は既に勃っていた。
結局、彼女は何がしたかったのか全く理解できなかった。
興味本位でホールに入って、遊び方が判らなかったのだろうか。それとも、何か悪巧みがあったのだろうか。
実は左隣の客とグルでスキを突いて何かを盗もうとしていた…ということも考えたが、被害は彼女に渡したコイン10枚程度のみ。謎は深まるばかり。
彼女が隣から去ったあと、しばらくすると店員が私の元に来た。
「隣の女性は連れだったか」、「何かされたか」、「彼女は遊技していたのか」などなど、色々と訊かれた。
彼女が何者だったのか、何が狙いだったのか。それは今となっては判らない。だが、僅か数分間の出来事でもしっかりとチェックしていた、そんなホールの監視体制に安心感を覚えた。
さて、ここまで読んでくれた賢明な読者諸君なら、こう疑問に思ったハズだ。
「これって怖い話か?」と。
先週は『必勝本男』のライブがあり、思い出話は山ほどある。また、『SLOT劇場版まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』がリリースされたばかりなので、そのネタもいっぱいある。
それなのに今回のブログでは、このネタをチョイスした。そんな己のセンスに恐怖を覚えるのだ。怖い、怖い。
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