ラストワン
記事一覧へ公開日: 2020/07/20
自粛期間から始まった私の“毎日、競馬生活”。だが、負けすぎたせいで、財布と通帳の断末魔が響き渡る結果となった。勝負事を控えざるを得ない状況に追い込まれた。
といっても、古人曰く「ギャンブラーが言う“引退”ほど信用できないものはない」。
流石に賭け額は抑えるようにはなったが、相も変わらずスマホをイジりながら馬券を購入している。特にWIN5には毎週頭を悩ませている。
WIN5を知らない人のために簡単に説明すると「指定された5レースの1着を全て当てる」という賭け方だ(1口100円から)。
一見すると難しいように思えるが、二見しても三見しても百見してもやはり難しい。なので、的中時の配当も夢の塊で、過去には4億7000円を手にした人もいる(上限は6億円)。
ただ、ゴリゴリの人気馬ばかりが1着になっていると、的中者も多くなって配当も低くなる。過去最低の払戻金は6050円と惨たらしく、当たったけれど素直に喜べないという複雑な気持ちになること請け合いだ。
それでもやはりWIN5には夢が詰まっていることには変わらないので、私は好んで買っている。まだ、一度も勝ったことはないが買っている。
先日、そんなWIN5で事件が起きた。
指定された5レースの一発目で、いきなり8番人気の馬が1着となったのだ。当日は662万9872票投票されていたのだが、1レース目の時点で的中する可能性がある馬券は12万7900票にまで激減した。ちなみに私はここで脱落。
続く2レース目は3番人気の馬が1着となって順当に1万7135票まで減ったのだが、3レース目でなんとビックリ15番人気の馬が勝ったのだ。
全16頭出走する中で15番人気の馬なので、当然、この馬に賭けている人は極めて少ない。結果、的中する可能性のある馬券は156票まで急降下。この時点で的中すれば、300万円近い配当を得られることになった。
もちろん、まだ2レース残されているので300万円近い配当で収まるわけがない。たとえ、残り2レースがゴリゴリの1番人気の馬が勝ったとしてもエラい金額になるだろう。
で、4レース目で1着に輝いたのは18番人気の馬だった。18頭出走している中で18番人気の馬だった。ドベ人気の超大穴だ。
WIN5は的中者がいなかったら払戻金が次回に持ち越される(キャリーオーバー)ので、私は「これは流石にキャリーオーバーだな。来週頑張ろう」そう思ったのだが、
WIN5の途中結果を見てみると1票残っていた。
この1票を手にしているのが何処の誰かは知らない。だが、私は応援した。基本、私は人の幸せを憎むタイプなのだが、こればかりは応援せざるを得なかった。
ここまで当てたというのもスゴい。それに、もし当たれば約4億6000円ゲットでハズれると0円。4億or0円、こんな状況になっている人を応援しないわけにはいかない。
8番人気
3番人気
15番人気
18番人気
これらの馬を買っていた人なのだから、きっと5レース目も人気薄の馬を選んだだろう。
荒れろ
荒れろ
荒れろ
私は願った。本気で願った。見ず知らずの人のために、ここまで願ったのは生まれて初めてかもしれない。
そして、運命の5レース目。16頭出走する中で一番最初にゴールに辿り着いた馬は
2番人気
「あれ、ヤバくね」
「3番人気も買っていたら可能性はあるかも」
「でもな…」
当たってもハズれても自分には何も影響がない、それなのに高まる胸の鼓動。いや、自分には何も影響がないから、この状況を楽しめていたのかもしれない。
どうなんだ、どうなんだ、どうなんだ。1票は生き残ったのかっ!?
0票。
右から見ても、左から見ても、そこに表示されていたのは0票。つまり、ハズれたのだ。つまり、0円になったのだ。
「心中お察しします」という言葉しか思い浮かばなかった。そんな状況になったことがないので察することはできないが、その言葉しか思い浮かばなかった。
もし、自分が当事者だったらどんな気持ちになっていただろうか。号泣していたか、それとも放心状態になっていたか。吐いていた可能性もある。心が折れて、本当に引退を考えたかもしれない。
“残り1人”
私は人生で一度も経験したことはない。だが、メンタルが豆腐レベルで脆いのでしないままのほうが良いかもしれない。
とりあえず、来週頑張る。
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