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開け、才能花

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公開日: 2020/07/27

 

先日、街中を歩いていると小学生ぐらいの子供がマスク姿で童謡を歌っていた。タイトルまでは思い出せなかったが、聞き覚えのある懐かしい曲だった。

 

流行歌やアニメソングではなく、童謡。この光景を見るのは、何年、いや何十年ぶりだろうか。あまりにも懐かしかったので、少しノスタルジックな気持ちにもなった。

 

そういえば、童謡というと歌詞の中に深い意味が込められているものも少なくない。その中でも一番印象深かったのは『チューリップ』だ。

 

さいた さいた
チューリップの花が
ならんだ ならんだ
あか しろ きいろ
どの花みても きれいだな

 

初めてこの歌を聞いたときは特に何も感じなかったのだが、いつだったか学校の先生にこの歌に込められた意味を教わって感銘を受けたのを記憶している。

 

あか しろ きいろ
どの花みても きれいだな

 

花には様々な色があって、どれも美しい。そこには優劣なんかない。そして、これは花だけでなく人も同じこと。人それぞれ違った個性があって、どれもみんな素晴らしい。

 

短い歌だが、そこには優しさがあふれていた。

 

この歌詞の意味は実際に作詞者に訊いたのではなく、学校の先生が言っていただけなので本当かどうかは判らない。だが、たとえこれが後付けされた解釈だったとしても、幼い私の心に響いたことには変わりない。

 

さて、人の才能は「〇〇の才能が開花する」など、花に例えられることが少なくない。もちろん、どんな才能でも

 

どの花みても きれいだな

 

ちなみに私は『バットマン』の上乗セレクトを当てる才能、『おとめ妖怪ざくろ』の6択を当てる才能、『戦国乙女』のヒデヨシで勝利する才能があった。

 

 

 

 

 

これらのおかげでかなり懐が潤った記憶がある。そして、現行機だと『ブラックラグーン4(ブラクラ4)』で勝てる才能がある。

 

初打ちのときは、中段チェリーを引くわ、明らかに低設定なのに出玉は増え続けるわ、と負ける気がまったくしなかった。なので、「稼げるうちに稼いでおこう」という結論に至ったわけだ。

 

7月23日、4連休最初の日。

 

「4連休なのだから、ブラクラ4に設定4以上を4台以上投入してくるハズ」

 

私の才能がそう囁いてきたので、ブラクラ4を打たないわけにはいかない。善は急げと、ブラクラ4を4台設置しているホールに向かった。

 

 

 

 

ここまで4にこだわったのだから負けるハズはない。もはや、ブラクラ4の椅子に座った時点で私の勝利が確定と言っても過言ではない。ここからどれだけ出玉を増やせるかは、己のヒキ次第だ。すると、どうだろうか。

 

 

 

 

初打ち時同様に中段チェリーが降臨。ああ、己の才能が怖い。

 

その後も、私は打ち続けた、才能を思う存分活かしてレバーを叩き続けた。その結果、

 

 

 

 

 

 

ATには当たるが、上乗せが上手くいかずにイマイチ伸びないという苦難が訪れた。しかも、AT終了画面は基本パターンばかり。気付けば、投資額は3万円オーバー。

 

そこで私は察した。私はブラクラ4で勝つ才能があるのではなく、「初打ち時に絶好調のまま勝利すると、私はこの機種の才能があると勘違いする才能」があるのだと。

 

おそらく、多くの人が私の才能を見て嫉妬するかもしれないが、

 

どの花みても きれいだな

 

あなたの才能が私より劣っているわけではないので悲観する必要はない。

 

どの花みても きれいだな

 

才能に優劣など存在しないのだ。なお、私は心が折れて、泣きながら帰宅した。

 

余談ではあるが、私にはWIN5を的中させる才能はなかった。馬券は的中しないどころか、かすりもしなかった。秒で夢は終わった。

 

正直、初打ち時に絶好調で勝利すると、私はこの機種の才能があると勘違いする才能よりも、WIN5を的中させる才能のほうが……いやいや、何でもない。

 

どの花みても きれいだな

 

私の才能も綺麗なのだ。

 

 

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