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ノスタルジック☆裏

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公開日: 2020/09/28

 

 

歳を重ねると、不意に昔が懐かしくなるときがある。

 

先日は、まさにそんな日だった。昔は足繁く通っていたが、今はほとんど訪れないホールにふらりと寄ってみた。

 

短めのエスカレーターを上がって入店。当時はバラエティコーナーまでびっしりと埋まる人気店だったのだが、今は“それなり”のホールに変わっていた。

 

パチスロ人気の低迷の影響か、それともホールの状況が変わったのか、理由は判らないが空き台が目立っていた。

 

さて、何を打とうか。迷ったが、とりあえず、

 

 

 

 

この機種を打つことにした。

 

十字架

 

 

 

 

……ではなく、『イミソーレXX』だ。

 

一時期は“怪しい”連チャンとハマリを繰り返すということで話題になったが、最近はてんで“怪しい”噂は全く耳にしない。何年か前に一度打ったことがあったが、そのときもごく普通の“どノーマル”な機種だった。

 

きっと目の前にある台も期待している出玉は得られないだろう、そう思っていたが、万が一の可能性も考えて着席してみた。

 

 

 

 

こんな凱旋のようなスランプグラフだったら鼻息荒く1万円札を投入するのだが、データ表示器に映し出されるスランプグラフは、疑いようがないほどの“どノーマル”。

 

では何故、私はそんなごくありふれた機種かもしれないイミソーレXXを打つことにしたのか。

 

それはこの店に通っていた頃、私はハイビスカスに魅せられていたからだ。解析値を超えたハマリと連チャンを繰り返す、そんな謎めいたハイビスカスの虜になっていたからだ。なので、つい昔を思い出してハイビスカスに惹かれてしまったのだ。

 

ノスタルジックな気持ちでレバーを叩く。すると、投資1千円でピピピっと告知音が鳴って

 

 

 

 

ハイビスカスが点滅。そして、BIG当選。

 

早い初当り、この時点で“どノーマル”が濃厚だ。だが、幼少期に生まれて初めて購入したビックリマンチョコでブラックゼウスに当たったぐらいの幸運が訪れて初当りを引いた可能性もある。

 

ちなみに、ブラックゼウスの価値を知らなかった当時の私は、ゴミみたいな大量シールと交換してしまった。いわゆる、シャークトレードの餌食になった。

 

閑話休題。さあ、もし私の期待しているイミソーレXXならここからがアツいハズだ。怪しげな連チャンが起きてもおかしくない。でもまぁ、ダメだろう。

 

そう8割以上諦めていたが、ボーナス後、僅か10Gでピピピッ!!

 

まさかまさかのボーナス当選。当選したのはREGだったが、私の胸は高鳴る。これは不整脈ではない、興奮しているのだ。

 

いやいや、1回連チャンが起きただけで期待するのは早計すぎる。そう私の中の大人は冷静さを保とうとするが、私の中の子供は大はしゃぎ。

 

もしかして、もしかして、もしかして……!?

 

この期待感、このワクワク感、この高揚感、全てが懐かしい。私は叩いた、当時を思い出しながらレバーを叩いた。

 

ホールは常にどこかでドル箱タワーが築かれていたな。自分がそのタワーの主になったときは、誇らしげに肩で風を切りながら長い階段を下りて帰路についたものだ。

 

…。

……。

………。

 

あれ、長い階段?

 

来るときにはそんなのはなかったぞ。エスカレーターしかなかったぞ。

 

REG後は特に何も起きずに出玉は全ノマレ。その後もしばらく打ち続けるも、100~300Gぐらいでのボーナスが繰り返され、たまに浅いところで当たって連チャンが発生した。

 

「まごうことなき、“どノーマル”だ」

そう確信したとき、

 

「ハイビスカスに魅せられていたホールはここじゃない」ということも確信した。

 

また、「というか、そもそもここのホールに思い出なんか何もないぞ」ということも確信した。

 

長い階段ではなく短めのエスカレーターに乗って、私は帰路についた。

 

“浪費”この言葉が似あう1日だった。こうやって人は歳を重ねていく、無駄に過ごして歳を重ねていく。

 

ああ、しっかりと昔を覚えていた頃が懐かしい。

 

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