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公開日: 2022/02/14

 

誰にでも、何にでも、必ず始まりは存在する。暇さえあればホールに行き、ATMとの往復を欠かさない私もパチ・スロの始まりはあった。

 

あなたは初めてホールに入った日を覚えているだろうか。私は鮮明に覚えている。あれは高校生のころだ。

 

当時は地上波の人気TVバラエティ番組でも定期的にパチンコを扱っていた。パチンコを題材にしたドラマもあった。その影響もあってか、当時の私はパチンコに対して興味津々だった。

 

年齢的にパチンコが打てないことは知っていたので、打つことができる日を楽しみに待っていた感じだった。

 

だが、18歳になる前にホールに入る日はやって来た。

 

私は我慢ができなかったのだ。高校生の自分が入ってはいけないと頭で理解していても、我慢ができなかったのだ。私は本能に負けてホールに入った。

 

そして、一直線に…トイレに向かった。

 

そう、トイレを借りるために初めてホールに入ったのだ。ヤンチャとは真逆の生活をしてきた自分にとって、ホールに入ることは勇気のいることだった。可能なら避けたかったが、他にトイレを借りれそうな場所がなかったのだ。

 

もし、高校生であることがバレたらどうしよう。そんなドキドキ感を覚えながらトイレに向かった。TVで見たことがある液晶画面を横目に足早にトイレに向かった。

 

トイレを借りただけなのに、ものすごく悪いことをしている気分になった。トイレを借りただけなのに、ちょっぴり大人の気分も味わえた。

 

背伸びしたい年頃の自分にとって、この経験は快感以外なにものでもなかった。

 

特に何も問題が起きず用を足せたことに味を占めてか、当時のカイザー少年は「トイレを借りる」という理由でホールに入ることが多くなった。色々なホールに入ってはトイレで用を足した。

 

「俺ってワルだな」なんてことを思っていた。

 

今でもトイレを借りるためにホールに入ることがある。というか、つい先日も用を足すためにホールに入った。あのときの自分と違って、トイレのあとはひと勝負することにしている。感謝の気持ちを込めてひと勝負。

 

レバーを叩くたびに蘇る、当時の記憶。あのときは若かったなと笑ましい気持ちにもなった。この気持ちはプライスレス。収支は-2万円。

 

「私ってバカだな」

 

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