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日遊協 第30回総会における課長講話

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2019/06/19

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一般社団法人 日本遊技関連事業協会(庄司孝輝会長)618日、ハイアットリージェンシー東京において、第30回通常総会を開催。途中、午後5時に山田好孝課長が来場、総会を中断して山田課長による講話(25分間)が行われた。依存防止対策を最優先課題としたなお一層の健全化を要請した。
(1)ぱちんこへの依存防止対策(ギャンブル等依存症対策推進基本計画)

自己申告・家族申告プログラム、18歳未満の入場規制、ATM等の撤去等、出玉規制を強化した新規則機の普及、依存対策の調査、啓発週間の取組

(2)射幸性の抑制に向けた取り組み

(3)検定機と性能が異なる遊技機の問題

(4)遊技機の不正改造の絶無

(5)遊技機の流通における業務の健全化について

(6)ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3(賞品買取事犯について、賞品の取りそろえの充実について、適切な賞品提供の徹底について)

(7)広告・宣伝等の健全化の徹底について

 ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課長の山田でございます。

 皆様方には、平素から警察行政の各般にわたり、深い御理解と御協力をいただいておりますところ、この場をお借りして御礼申し上げます。

 ぱちんこ業界の皆様におかれましては、東日本大震災や熊本地震の発生以来、継続して取り組まれている復興支援活動をはじめ、昨年は、西日本での豪雨災害における被災地支援活動に取り組まれたほか、北海道胆振東部地震に伴う電力不足による節電要請につきましても、迅速かつ真摯に対応していただいたと承知しています。加えて、低炭素社会実行計画に基づく節電・省エネルギー対策等の社会貢献活動にも積極的に取り組まれている事に対しましても、改めて敬意を表する次第であります。

 さて、ぱちんこは、我が国の代表的な娯楽産業の一つとして親しまれておりますが、依然として、ぱちんこへの依存問題のほか、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝等が後を絶たず、健全化を阻害する要因がいまだ多く存在する事も事実であります。

 貴協会を始め、業界の皆様におかれましては、業界が置かれている厳しい現状について危機意識を共有していただき、適切かつ着実に取組を進めていただきたいと思います。

 


 さて、本日はお時間をいただきましたので、業界の健全化を推進する上で特に必要であると考えている事を何点かお話をさせていただきます。
 ぱちんこへの依存防止対策についてお話しします。

 ぱちんこを含むギャンブル等への依存問題については、ギャンブル等依存症対策基本法が昨年10月に施行され、本年4月には基本法に基づき、ギャンブル等依存症対策推進基本計画が閣議決定されました。この基本法においては、ギャンブル等依存症に係る国、地方公共団体、そしてぱちんこ営業者の皆様を含む関係事業者等の責務が明らかにされたところであり、この事業者がその事業活動を行うに当たってはギャンブル等依存症の発症・進行および再発の防止に配慮するよう努めないとならないとされたところであります。このような責務を前提として基本計画では、ぱちんこ業界が自主的に取り組むべき対策が定められました。

 具体的には、

・広告宣伝に関する全国的な指針の策定

・ぱちんこへの依存問題への発生抑止につながる知識への普及啓発への推進

・自己申告プログラムの周知徹底、本人同意のない家族申告による入店制限の導入等の推進

 


18歳未満の可能性あると認められる者に対する身分証明書による年齢確認の原則化

 


・ぱちんこ営業所のATMおよびデービットカードシステムの撤去等の推進

 


・出玉規制を強化した新規則機の普及の推進

 


・自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援

 


・安心パチンコ・パチスロアドバイザーによる依存防止対策への強化

 


・一般社団法人遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の立入検査

 


 などの取り組みが掲げられているところであります。

 


 そして基本計画では、基本計画に定める目標については、その達成状況を調査し、基本計画の進捗状況を把握し、その効果の評価を行う事とされています。従ってぱちんこ営業者が依存防止に係る責務を負う中で、各種依存防止対策が実行に移されるかが、業界に問われる事になる訳であります。この点に十分留意いただき以下、いくつかの取り組みについてさらに申し上げたいと思います。

 


 まず、自己申告・家族申告プログラムについては、現在約2300店舗が導入していると承知しています。しかしながら、同プログラムの実効性を担保するためには、導入店舗数をより一層拡大していく事が重要です。一部大手のホール経営企業においては全店舗への同プログラムの導入をするなど、導入店舗数拡大の動きは承知していますが、同プログラムの導入の有無が各営業所における依存防止対策への取り組み姿勢をメルクマール(目印)の一つとなりうる事を認識し、貴協会におかれましては、同プログラムの更なる普及を図っていただきたいと思います。加えて、貴協会が中心となって進めていただいている本人の同意がない家族申告よる入店制度について、本年度中に導入する事とされておりますが、その制度設計の検討にあたりましても家族が申告しやすいものとするなど、制度導入後にしっかりと機能するようしていただきたいと思います。

 


 また、18歳未満の者の営業所内への立ち入らせについては、基本計画においてぱちんこ業界は平成31年度中に18歳未満の可能性があると認められる者に対する身分証明書による年齢確認の原則化する事となっております。こうした取り組みが行われなかったために、客として18歳未満の者を立ち入らせた事実が認知された場合には、適切な取り締まりを行う必要があるものと考えています。改めてお願い申し上げます。

 


 次に、営業所のATM等の撤去等についてであります。ATM等については、その設置が民間事業者間の契約関係に基づき、行われているという現状に注意する必要があり、ギャンブル等依存症対策関係者会議においても業界関係者から、『事業者と事業者で契約をしている事自体でATM等の撤去は非常に難しい』との発言がされておりますが、一方で、同会議においては、ATM等で上限額が設定されているとの説明がなされてもなお、複数の委員から『ATMを撤去してもらいたい』、具体的には『依存症との関係が無いから無くせませんという事にはならない』ですとか、『どうしてもぱちんこをやっている状況の中でそこに設置されていると非常にお金を使いやすくなると、外からはそのように思えますので、やはり社会の理解を得るという事も含めて業界の中で啓発を深めていっていただきたいと思います』。あるいは『ATMは撤去していただきたい』。また『依存症の方々を救うという面から言いますと、事業者の利益や利便性のためにその方々を踏み台にしてまで設置しておく必要はないのではないかと思います。なので、ATMの撤去の件を実効性ある検討をしていただきたいと思います』。こういった発言がなされております。こうした関係者会議での議論を業界として基本計画に基づく推進するようお願いします。

 


 次に、出玉規制を強化した新規則機の普及については、昨年2月に施行された改正規則に基づき、出玉規制に係る旧基準の遊技機経過措置が終了する令和3年春までに全ての遊技機を新基準に適合するものに入れ替える必要があるところですが、その事が改めて基本計画にも盛り込まれているところです。業界におかれましては、全日本遊技事業協同組合連合会がいわゆる旧規則機の撤去を業界全体として推進するための取り組みを決議したところですが、引き続き計画的に旧規則機の撤去等を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 


 さて、そもそもギャンブル等依存症対策の目標は、ギャンブル等依存症により、不幸な状況に陥る人を無くし、健全な社会を構築する事であり、対策の実効性を最大限に確保するため、徹底したPDCAサイクル(Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善))により計画的な取り組みを推進する事が重要であるとされています。そこで今般、まもなく行われる事になる一般社団法人遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の実施状況調査等を通じて、各ぱちんこ営業所における取組の実施状況についてPDCAサイクルの中で的確に把握し、適宜改善を促進してもらいたいと思います。

 


 基本計画には警察が行うべき取り組みが記載されています。それはぱちんこ営業所に対する立入等を通じて依存防止対策に係る措置が適切にとられているかの確認を随時行う事とされておりますので、ご承知おき願います。

 


 さらに基本法においては、毎年514日から同月20日までをギャンブル等依存症問題啓発週間と位置付けているところ。本年は、初日の514日にパチンコ・パチスロ依存フォーラムが開催され、多くの方が参加されたと承知しています。また、期間中の啓発等についてもポスターやリーフレットの配布の他、Webサイト等も活用して積極的に取り組んでいただいたものと承知しています。来年以降引き続き、ギャンブル等依存症問題に対する関心と理解を深めるという啓発週間の趣旨に相応しい取り組みがなされるようお願いします。

 


 以上、ぱちんこへの依存問題への対策についてお話ししましたが、4月に開催されたギャンブル等依存症対策推進本部の幹事会の場で、首長である官房副長官より、特に基本法の付帯決議にある関係事業者に対し、依存症の予防等に可能な限り配慮するよう求めている事を踏まえ、広告宣伝に関する全国的な指針の策定やアクセス制限の強化といった関係事業者の取り組みをしっかりと実行に移していただきたいとの発言がありました。皆様の業界としての取り組みが注目されているという事を強く認識していただき、業界全体で基本計画に掲げられた各施策について真摯に対応していただきたいと思います。

 次に射幸性の抑制に向けた取り組みについてお話しします。射幸性の抑制に向けた取り組みとして業界挙げて新基準に該当しない遊技機の撤去に努められた結果、平成2912月を期限に定められていた削減目標値については、営業所全体としては、その目標を達成されたとの事ですが、その後昨年4月、全日遊連においては特に高い射幸性を有すると思われる回胴式遊技機の設置比率を本年131日までに15%以下とする削減目標を定められていたところ、その期限が延期されたと承知しています。ぱちんこへの依存問題等により、ぱちんこ業界に対し、国民から厳しい視線が向けられる中、自主的に設定した削減目標が着実に達成されるよう業界全体として取り組みを進められる事を期待しています。

 次に、検定機と性能が異なる遊技機の問題についてお話しします。

 


 誠に残念な事ですが、営業所において遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、いまだに継続して発生しております。これまでにも、そのような事案は射幸性の適正管理を侵害する厳しく取締等を行う必要があると考えています。貴協会においては、業界全体をリードしてこうした問題の絶無に向けて積極的に尽力される事を期待しています。

 次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。

 


 近年の不正改造の手口を見ると、不正改造された主基板に他の遊技機から取り出した主基板ケースやかしめを組み合わせる事で、主基板ケースやかしめに不正改造の痕跡を残さず、外見上不正改造の発見を難しくしたとみられる事案、不正改造した遊技機の設置場所が変わっても当該遊技機の位置を特定するためにGPSを付加するといった事案、払い出される遊技メダルを不正に増加させるため、払出しに係る信号を誤認識させる不正な基板を主基板に取り付けたとみられる事案、こうした事案が発生しているなど、ますます悪質巧妙化しています。このように悪質巧妙化している不正事案に対処するため、ぱちんこ営業者、遊技機製造業者という垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策をより一層推進していただきたいと思います。

 


 また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、もはや業界の健全化に欠かせないものとして、その役割の大きさを皆様も実感されているところではないかと思います。活動開始以来、立入検査店舗数が昨年度末までに29千店舗を超え、また、検査台数も約20万台を上回り、昨年度中における検査の結果は良好であったと聞いております。他方、未だに不正改造等の容疑が認められたとして、都道府県警察に通報があった事案が散見されますので、業界として引き続き、緊張感を持って、不正改造の絶無に向けた取り組みの推進をお願いします。

 


 加えて、立入検査を独自に実施する団体等に対する助成事業や平成276月から実施されている遊技機性能調査についても、業界の健全化を進める上で、有意義な取組の一つであり、さらに、先ほど申し上げましたぱちんこ営業所における依存防止対策の実施状況調査についても今後行っていただくものと承知しています。業界にあってはこの調査が早期かつ実効性をもって、実施されるよう推進機構の支援等をお願いします。このように、推進機構の果たす役割はますます重要性を増してきているところです。推進機構の活動が効果的に行われるためには、推進機構に対する各営業所の理解が不可欠であります。遊技機の不正の減少は推進機構の活動が抑止効果という面で成果を上げているという証左だという証左を認識していただき、引き続き、業界全体で推進機構の活動を支援するなど、不正改造の根絶等を目指す気運を高めていただきたいと思います。警察といたしましても、今後とも、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進して参りたいと考えております。

 次に遊技機の流通における業務の健全化についてお話しします。

 


 遊技機の流通については、その過程において型式の同一性が担保されるよう「製造業者遊技機流通健全化要綱」等が制定されて以降、業界における制度の理解も促進していると伺っています。引き続き、遊技機の流通に携わる関係者が正しく制度を理解するための取組を継続していただきたいと思います。

 


 平成284月以降に販売された型式の遊技機については、部品交換の際、変更承認申請に係る保証書の担保として、遊技機の性能が検定機と同一かどうかの点検確認を遊技機製造業者等が一台一台実施する事となりました。加えて遊技機の営業所への設置時や部品交換時に行う遊技くぎの点検確認は、これまで目視で行われていたところ、昨年2月以降に型式試験申請されたぱちんこ遊技機については全ての遊技くぎを対象とした「くぎ確認シート」が使用されていると承知しています。こうした取組により確認の精度も向上し、遊技機流通の健全化も進むものと考えています。運用を通じて更に改善を進めていただくようお願いいたします。なお平成28年に制定された遊技機製造業者の業務委託に関する規定において、ぱちんこ営業所の管理者を遊技機管理員とみなす事とされていた経過措置については、平成31331日をもって終了したものと承知しています。これ以降、特定部品以外に関する部品交換後の点検確認業務を指定営業所に委託する場合には取り扱い主任者の資格を有する遊技機管理員が同業務を行う事となっているものと承知していますが、適切な点検確認業務を徹底していただくようお願いします。

 次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題についてお話しします。

 


 まずは賞品買取事犯の根絶についてです。

 


 賞品買取行為の規制違反は、未だに継続して発生しています。貴協会におかれましても、今一度、この事を営業者一人ひとりにまで、賞品買取行為の規制はぱちんこ営業と賭博の一線を画する重要な規制であるという事を周知徹底していただきたいと思います。

 


 次に、賞品の取りそろえの充実についてです。

 


 平成18年にぱちんこ営業者関係5団体による「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」ついて、今一度、この決議の重要性を認識し、そうした意識が業界の共通認識となるよう貴協会が業界をリードしていただきたいと思います。

 最後に、適切な賞品提供の徹底についてです。

 


 ぱちんこ店における賞品の提供については、等価交換規制が設けられている事は皆様も当然ご承知の事と思いますが、今一度、各ぱちんこ営業者にあっては、自身の営業所の賞品が等価交換規制を遵守したものとなっているかについて確認し、遵守できていない疑いのあるものは排除していただくようお願いします。

 


 最後に、広告・宣伝等の徹底についてお話しします。

 


 広告・宣伝等の規制については、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をそそるものや、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案が未だに発生しており、非常に残念に感じています。こうした広告・宣伝を行う事は、現在業界で進めているぱちんこへの依存防止対策に逆行する行為にも当たるのではないかと思います。このような違法な広告・宣伝等については、今後も指導・取締りを行っていきますが、健全化が警察の指導・取締りによってではなく、業界自らの取組によって進められるよう努めていただきたいと思います。

 


 加えて、広告・宣伝については、依存防止対策の観点からもその在り方が問われており、基本計画においては、ぱちんこ業界は広告・宣伝がぱちんこへの依存問題の発生の抑止に資するものとなるよう本年度中に広告宣伝に関する全国的な指針を策定し、公表することとされている他、同指針には、注意喚起標語の一定の大きさや時間の確保などを盛り込む事を検討する事とされています。業界として基本計画における取組を着実に推進していく上で、こうしたぱちんこへの依存防止に資するような広告・宣伝の在り方についても、検討していただきたいと思います。

 


 以上、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で、留意していただきたい点を申し述べました。

 ぱちんこ産業は、遊技人口が減少傾向にあるとはいえ、なお、非常に多くの方々が参加している娯楽産業であります。ぱちんこへの依存防止対策等の各種課題は山積していますが、業界が一丸となって、一つ一つ迅速かつ真摯に対応していただきたいと思います。その実現なくして、ぱちんこは健全な遊技たり得ないと考えます。

 


 先般、喫煙専用室の設置にかかる手続きについて、貴協会から要望をいただき、警察庁から一定の場合には事後の届け出とする取り扱いをお示ししたところですが、健全化を含む各種課題に真摯に対応する皆様の要望等があれば我々も真摯に耳を傾ける所存であります。結びに、貴協会のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。

 


 御静聴ありがとうございました。




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