ハワイの勝ち

　ハワイに行くと先送りにしている仕事やメンドクセエ人間関係など、嫌なことは全部忘れます。どこまでも青い空と海、燦々と照りつける太陽、頬を撫でる心地良い風、虹を見るとうっとりすると同時に北斗転生で大負けした忌まわしき記憶が蘇りますが、基本的にハワイに行けばすべてリセット。なにかこうとても前向きな気持ちになれます。ヨシ、明日はトマホークステーキ1本丸々食ってやろうみたいな。

　旅行会社で添乗員をやっていた頃の渡航も含めるともう100回くらいは訪れているでしょうか。これだけ行っていると中には天気に恵まれなかったり、風邪を引いて何日か無駄にしたり、友人が行く先々のレストランで寝てしまったり（※下写真参照）、残念なハワイもそれなりにありましたが、不思議なことにもう二度と行きたくないと思ったことはありません。旅行を終えて帰国すると何故かまたすぐ行きたくなるのです。

　ハワイの何がそんなにいいのか。もしや現地に凄いイソギンチャクの持ち主でもいるのかと訊いてくる方もいらっしゃいますが、大概そういう質問をしてくる方はハワイを訪れたことがありません。なので、そうした場合は迷わず行けよ、行けば分かるさバカ野郎と答えるのですが、よくよく考えてみるに物価は高いし、食事も日本のほうが圧倒的に美味いし、ブランドモノだって日本で買うのと大差ないし、具体的に何がいいのか、実のところ自分でもよく分からなかったりします。

　ただ、何がいいのかよく分からないにもかかわらず、年に二回も三回も訪れてしまうということは完全にハワイの勝ち。ハワイの掌の上で踊らされているということなのですが、もしかするとこれって地元のゴミ店と同じではないでしょうか。いつも決まって「二度と来るか、このダボがっ」と捨て台詞を吐いて帰る地元のクソホールと同じロジックなのではないでしょうか。帰国したその足で地元のゴミ店に出向いてダメなディスクアップを打ちながらそう思った次第です。