収録日の朝は早い

　きっと誰も知らないと思うのでひとつ言わせていただきます。収録日の朝は早いです。やる気のない米農家の朝くらい早いです。特に俺の場合は集合の1時間前に目的地に着いて美保純喫茶の美味しいコーヒーを飲んで、それから収録に臨むようにしているので、そのあたりをすべて見越した上で当日の起床時間や出発時間を考えなければなりません。

　たとえば、葛西の将軍に9時半集合だとしましょう。俺の家から葛西までは電車で概ね25分なので8時半到着を目指すとなると出発時間は8時。共演する相手がキレイな女性であればチ〇ポは入念に洗っておきたいし、歯も歯茎から血が出るほど磨いておきたいので6時半には起きたいところですが、共演者がブス、いやいや、ブスではなく興味のない女性であれば話は大きく変わってきます。シャワーを浴びる必要はないし、歯も磨く必要がないし、さらに言うなら前日の晩に焼いたニンニクを致死量食べます。ビワコ、いつも臭くてゴメンな。

※このあと自分でアイロンがけ

　また、俺は衣装被りを避けるため、前日の夜に明日なにを着ていくかを考えます。詳しく説明すると多分元号が変わってしまうので簡潔に言いますが、基本、カメラにずっと映っているトップスは同じものを着ない。値札の付いているものを着るという俺ルールがありまして、それに30分程度費やします。それ以外にもなにを言って、どんなことをしてド派手にスベろうかということを5秒くらい考えますので、ある意味、収録は当日ではなく前日から始まっていると言えなくもありません。

　この日も入念に準備しました。横浜で収録とのことだったので朝5時半に起きて、マルジェラのカーディガンを着て、7時半に最寄り駅に到着し、近くの美保純喫茶でモーニングに舌鼓を打ちながらスポーツ紙に目を通し、集合の10分前にホールに到着。店の前にあったベンチで収録スタッフを待っていたのですが、電車が遅れているのか、ヘリが遅れているのか、それとも彼女の生理が遅れているのか。集合時間になっても誰ひとりとしてやってくる気配がありません。ただ、俺も50年に1回くらい遅刻するので、人の遅刻に対しては寛容です。ラララランドマークタワーでも眺めながら気長に待とう、ツムツムでもやっていよう。そう思ったのですが、開店時間の直前になってなお誰もやってこない。

　これはもう無期懲役。時代が時代なら首をはねているところです。俺が怒りに任せてラララランドマークをララララリアット1発でぶっ壊すんじゃないか、見たら絶対にそう思うような怒りのアフガンラインを収録担当者に送ったところ、まさかまさかの返信がきやがりました。

「その収録、来週ですけど…」

　きっと誰も知らないと思うのでひとつ言わせていただきます。俺は収録がない日の朝も早いです。