とにかく笑えれば
記事一覧へ公開日: 2019/11/13
どんな大きな負けを喫しても、どんな負け方をしても家に帰るときは平常心。入り口付近で深々と頭を下げ「ありがとうございました」と挨拶するブスな女性店員にイラッとくることもありますが、そういうときこそ平常心を保たねばいけないと考えているので、ちょっと無理してにっこり会釈してみたり、微笑みがえしを歌ってみたりします。恐らく目は笑っていないと思いますが。
以前はそうじゃありませんでした。俺の来店や収録に同行したことのあるディレクターならご存じだと思いますが、ゴミみたいな店に呼ばれゴミみたいな台を打たされ、遊びにきてくれた読者や視聴者の方に俺はひとつも悪くないのに「負けちゃったか、ごめんね」と謝らなければならないようなゴミホールで実戦を終えたときは、安易に仕事を請けてしまった自分に罰を与えるべくクソッタレと叫びながら便所の柱にヘッドバッドを何度も何度も、それこそ血が出るまで叩き込みましたし、ディレクターの「事務所に挨拶を…」に対してもヤダヤダとまるで子供のようにゴネたと記憶していますが、無論、そこは仕事なので事務所に入ればニッコニコ。先のブスな女性店員以上に深く頭を下げ、元気よく「ありがとうございました、またよろしくお願いします」と挨拶してから店を出ていました。これが業界で有名な五島の掌返しです。
そんな俺が平常心を心掛けるようになったのは年齢もありますが、田中の存在が大きいように思います。彼はどんなときも平常心、感情を露わにしたのはライター仲間に「田中君の文章はつまらない」とディスられ、泣いてしまったあの一回のみ。ネオプラネットでバカみたいにハマっても平常心だし、中国人女性にウンコしながら身体を洗われても平常心だし、もしかすると田中は感情というものを持ち合わせていないのかも知れませんが、少なくとも彼の平常心は周囲に、中東に、そして世界に平和をもたらします。
ひと回り下の後輩がいつも平常心なのに俺は一体なにをやっているんだ…。居心地がいい以外になんの取柄もない新宿三丁目のキッタネエスナックでウルフルズの「笑えれば」を歌う田中の姿を見ていたらなんだかそんな気になりまして、以降、多少イラッとしてもにっこりするよう心掛けています。
なので、先日、バジ絆で6万負けたときも平常心。こちらの等身大パネルに深々とお辞儀して店を後にしましたが、恐らく目は笑っていなかったと思います。
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