僕らのスニーカー列伝 1
記事一覧へ公開日: 2020/05/26
ヴァージルやトラヴィスも悪くはないけれど、見るだけで心踊るようなスニーカーは、10代の頃に憧れたモデルに多い気がします。
バイトが終わればすぐにパチ屋に駆け込み、大花火やキンパルの札台が空いていればそれだけで勝てた簡単な時代で、勝ったカネは『GET ON!』の隅に載っているスニーカーショップの通販へと消えていく。
とはいえ安月給の中で家賃や食費といった生活費だけでなく、彼女とのデート代まで捻出しないといけないもんだから、本当にレアなスニーカーは指をくわえて見ているだけというのがほとんどでした。
2000年代初頭、僕の中で最も勢いのあったスニーカーは、NIKEのエアフォース1。
90年代半ばにストリートを席巻したハイテクスニーカーの人気は90年代後半になるとだいぶ落ち着きを見せており、ノースウェーブやジャックパーセルといったローテクの台頭を経て、再びNIKEが脚光をあびるようになったのがこの頃だと記憶しています。
SBをはじめとするDUNKシリーズの人気も高かったけれど、supremeやstussyとのコラボにハイネケンやスプラッターなど、この頃のDUNKは今でもプレ値で取引されているほどの「名作」が非常に多く、夕方からキンパルの6をツモるくらいじゃなかなか手を出せないモノばかりでした。1500枚くらい吐き出したらストック切れるし。
しかしDUNKほどのプレ値こそついていませんが、フォース1の名作もまた、この時期に多く輩出されています。
代表的なのが、2018年の復刻が記憶に新しい『白ヘビ』と呼ばれるモデル。当時はフォース1の中で唯一DUNKと同等かそれ以上のプレ値がついており、ニセモノも多く出回っていました。
白ヘビのあとに『黒ヘビ』が発売され、こっちはまぁ、白ヘビほどのプレ値じゃなかったので、初代サラリーマン金太郎で9千枚出した時に購入したのを覚えてます。
福岡に買い物行ったついでに駅前のホールにフラッと寄ったら、ガラガラのサラ金のシマに「社長」だの「部長」だのって札が刺してあって、素直に「会長」に座ったら6だったという、アホなパチ屋でした。今は当然潰れています。
他にも、ウエストインディーズにウィートMid・Lo、エイコーンにアトモス別注と、この頃のフォース1は、今でも素直にカッコイイと思えるモノばかり。ウィートのMidにマスターピースのスラブデニムという組み合わせには憧れたなぁ。
あの頃は、「キムタク着」よりも「窪塚着」のほうが破壊力ありましたからね。
そんな名作揃いの2000年代初頭フォース1ですが、なんとこの度、先述したモデル達に勝るとも劣らない一足、『プエルトリコ』が復刻されるとのニュースが飛び込んできました。
プエルトリコよ、プエルトリコ。
あのプエルトリコ。
あまりの人気にNIKEが調子に乗ったのか、2〜3年の間に4作もリリースされたという伝説を持つ、あのプエルトリコよ。
その初代がついに復刻されるのよ。
これこれ。こういうことなんですよ。
ヴァージルコラボも悪くない。
ディオールジョーダンだって魅力的。
ただね、大の大人が揃いも揃って
「そろそろプエルトリコ復刻する?」
「え〜、今の若者、知らないでしょ」
「いや、逆にそれがイイんだよ。わかる人だけわかる、的なさ」
「逆に?」
「そう、逆に⤴︎⤴︎⤴︎」
みたいな会議をおこなっているかと思うと、もうそれだけでワクワクしちゃう。
今やスニーカーはブームではなく、一つのカルチャーとして市民権を得ています。だからこそ、誰でもわかるレアなモノばかりではなく、好きな人だけが飛びつくようなモデルもリリースしてほしいなと思うわけです。2018年の白ヘビも、去年復刻された96ヘビも、驚くほど簡単に買えましたからね。
毎月のように金欠に悩まされたあの頃と違い、今は好きなスニーカーを買えるくらいにはなりました。『BOON』や『COOL TRANS』など古い資料を集めつつ、青春の一足がリリースされるその日を待ちたいと思います。
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