サ道 17
記事一覧へ公開日: 2020/08/18
サウナなんて熱さを我慢するところだとそう思っていた頃は、サウナ室にテレビがないと暇すぎて間が持ちませんでしたが、サウナの気持ち良さを覚えてからは、騒がしいテレビなど必要なく、むしろ邪魔クサイとすら感じます。
百歩譲ってBGMならまだ許せますが、それも、まるで森のせせらぎを音にしたような、思わず眠りに落ちてしまうくらい癒しと安らぎを与えてくれるBGMでなくてはなりません。
皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか。『サ道11』で紹介した、極上のセルフロウリュが堪能できるのにBGMが残念なサウナを。
適材適所という言葉があるように、決して奥田民生がダメなわけではなく、イージューライダーは完全にドライブソングであり、サウナ室で流す音楽としては疑問符がつくのです。
とはいえ、あのセルフロウリュは捨てがたいし、あの日はたまたま有線のチャンネルをしくじっただけかもしれないしということで、先日、再訪してきました。
サウナ室に入ると先客はおらず貸切状態で、相変わらずのシャングリラ。これで無音、もしくはBGMが僕好みであれば言うことナシなのになぁなんて思いながら、一杯二杯とセルフロウリュをして、ふぅ〜と深く息を吐きながら目を閉じると
〜♫
前回のイージューライダーとは打って変わって落ち着きのある、それでいてどこか懐かしさを感じさせるイントロが聴こえてくるではありませんか。
そうそう、そういうのでいいんだよ。ノリノリで口ずさむドライブソングではなく、頭に残るほどではないけど微かに耳に届く、瞑想のアシストをしてくれるようなBGMでいいんだ……
あのちぃ〜へい〜せぇん〜〜♫
いやいやいや、ラピュタて。
合唱コンクールやん。
たしかに合唱団のステージみたいなつくりだけれども。
イージューライダーからすれば大きな進歩ではありますが、なんでしょうね、この惜しさ。落ち着くBGMには違いないんだけれど、サウナ室に相応しいかと問われれば答えはノー。ラピュタに合唱コンクールと、曲から浮かび上がる情景が多すぎて、瞑想に適してはいません。
ジブリは悪くない。先日、地上波で17回目の放送となる『となりのトトロ』が16.5%という高視聴率を記録したように、キャラクターもストーリーも、そしてBGMも秀逸で、誰からも愛されているジブリには何の責任もないのですが、違うんだよ。だったら無音でいいんだよ。
サウナ室のBGMに求められるものは、癒しと安らぎ。誰もが口ずさめる名曲よりも、心地の良い、それでいて聴き流せる曲のほうが適しているのになと思いつつ、ラピュタの次に流れてきた千と千尋の神隠しのテーマソングを聴きながらサウナ室をあとにしました。
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