「30パイ」は間違いか?
記事一覧へ公開日: 2015/03/08
パチスロ用語・旅打ち用語の基礎知識シリ~ズ。あいうえお順の第11回目は「さ」から始まる言葉です。
さんじっぱいこいん・さんじゅっぱいこいん【30パイコイン】
いわゆる「沖スロ」に使用されるコインで、直径30mmです。昔は沖縄県と九州地方の一部ホールでのみ見られましたが、近年は全国的に沖スロ設置店が増える傾向にあり、特別な存在ではなくなりつつあります。
ちなみに30パイコインと大きさが似ているような気がする500円硬貨の直径は26.5mm。思ったほど大きくないですね??
さて、インターネットを使ってアレコレと検索をかけてみると、『沖スロのコインを「30パイ」と呼ぶのは間違っている』という意見に遭遇することができます。
そうした意見を主張する人の多くが『「パイ」ではなく「ファイ」が正解だ』と説明しています。
Π・π(パイ)=円周率=3.14159…のことだから円の直径とは関係ない??
Φ・φ(ファイ)=円の直径のこと??
ところがすっとこどっこい
「Φ・φ(ファイ)」について詳しく調べてみると、「ファイ=円の直径を表す」というわけではなさそうなんです。
機械の設計図を書く場合など、いわゆる製図の世界では円の直径を表す際に「○に斜め線(スラッシュ)を加えた記号」を使うのですが、それはファイではなく「まる」と呼ぶのが正解のようなんです。
φ30=「まるさんじゅう」と読みます。もともとJIS(日本工業規格)でも、そう定められています。ちなみに30φ(さんじゅうまる)という書き方(読み方)は、しないようです。
円の直径を表す「まる」は本来はΦ・φ(ギリシャ文字のファイ)とは別モノですが、パソコンで正確に表記させることができないので、似ている文字のΦ・φ(ファイ)で、仕方なく代用しているってのが本当のところのようです。
※↑この文章も、本来は「○にスラッシュ」とすべきところをギリシャ文字で代用しています。
しかし、パソコンを使って仕事をするのが当たり前になった現代社会においては利便性を考えて(?)、直径記号の「まる」のことを「ファイ」と呼ぶのもOKだとされています。
※2008年に改訂されたJIS(日本工業規格)から『円の直径のことを「まる」だけでなく「ファイ」と呼んでもヨシ』となりました。
ということは、やっぱり沖スロ用のコインのことを「30パイ(コイン)」と呼ぶのは間違いで、正しく「30ファイ(コイン)」「直径30ミリのコイン」「まるさんじゅうのコイン」と言わなければならないのでしょうか?
どうやら、これもノーのようです。
なぜなら、水道の配管工事をする職人さんや電気工事の職人さんなどは、工事で使う配管の直径や電線の直径について、現場で「パイ」と呼ぶのが当たり前になっているからです。
なぜ現場のプロが直径記号をパイと呼ぶようになったのかについては諸説あって、コレダ!という正解はありません。
しかし現実に、現場のプロが円の直径のことを50パイとか100パイなどと呼んでいるのだから、沖スロのコインの直径についても「30パイ」と書いたりするのは問題ないと思います。
《まとめ》
ボクが調べてみた限りにおいては、沖スロのコインを「30パイ」と表記するのはアリです。しかし「30Π」「30π」と書くのは間違いですね。
あと、「30パイは間違いで、30ファイと呼ぶのが正解だ」という主張も違和感があります。2008年からのJIS規格で直径記号のことを「ファイ」と読んでもヨシとなったとはいえ、厳密にはファイは円の直径を表す言葉ではないからです。φ30=厳密には「まるさんじゅう」であり、しかも現場のプロはφ30を「さんじ(ゅ)っぱい」と呼ぶのが当たり前になっているからです。
「30πと書くのは間違いで、30φ、あるいはφ30と書くのが正解だ」という主張であればセーフでしょうか。
つまり、ものすごく簡潔に一言でいうと…
「ファイ」はナイわー
ってことです。むしろ「パイ」はアリ。
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