信じられない

　黄ばんだ便器を見て信じられない、赤オーラ単発を食らって信じられない、あまりの暑さに信じられない、街で虫眼鏡を持った探偵に出会って信じられない、荒川の土手で荒谷二中の不良に囲まれて信じられない。最後のふたつに関しては分からなくもないというか、信じられないを通り越してあり得ないといった感じですが、なにかにつけてこの「信じられない」を口にする友達未満、知り合い以上がいます。

※北九州出身のシゲに「助さんうどんは柔らかすぎる、病院食かよっ！」と言ったら何故か「ウケるー」とひと言、返ってきました。

　政重の「ウケる」とかガル憎先輩の「パイーン」みたいな感覚でしょうか。とにかく事ある毎に信じられないと言うものですから彼に真剣な話をされても、相談事をされてもついつい信じられないと返してしまいたくなるのですが、恐らく本人は無意識。指摘したところで治るものでもなかろうと、これまでずっと放置してきましたが、ちょっと首を傾げたくなるような話を聞かされまして、とりあえず食事中の方、特にソーセージやソータケシ、ソーシゲルといったところを食べている方は一旦箸を置く、或いは食後に読むことを強くオススメ致します。

※昔話や自慢話、説教をするようになったら人間おしまいだからスケベな話をするんだよという高田純次の言葉に共感を覚えました。

　端的に言いますと、彼にはブスなセフレがいて、そのブスと錦糸町のバリアンに行ったらしいのですが、何故だかその日はセフレがあまり乗り気じゃなかったと。それでも、走り出したら止まらないのは土曜の夜の天使だけじゃない、俺もだと半ば強引にバリアンに連れ込み、アワセをしようとキッスを迫ったところでようやく彼女がいまひとつ乗り気でない理由が分かったというのです。

　どうやら彼女は七日目。八日目の蝉なら特に問題ないけど、まだ完全に終わっていないからできないと。生理中はめちゃくちゃ性欲が強くなるから本当は凄くしたいけどできないと、そう言ったらしいのです。ちなみに、どこにでもいる普通のカップルの話のように聞こえるかも知れませんが、実のところ、彼は妻帯者。北は北越谷、南は南越谷から「信じられない」との声が聞こえてきそうですが、そのセリフを言っていいのは奥様だけなので、とりあえず外野はすっこんでいましょう。

　致したそうです。なし崩し的にかなり激しいのを後ろから前から致したそうです。分からなくもないというか、そうなるであろうことは予め分かっていたので特になんとも思いませんでしたが、問題は致したあとです。彼がタコツボからすっと竿を抜いてチリ紙でタレを拭いているとなにを思ったか、突然、彼女が竿に鼻を近づけて「クッサ！　信じらんない！」とひと言。そう言われてショックでなにも言い返せなかったと。あのときなんて返せばよかったのかと私に聞いてきたのですが、クッサの原因が七日間熟成されたタコツボにあることは火を見るより明らか。ここであれを言わないでどうすんだ、マジ信じらんねえって話です。

※ご清聴ありがとうございました。