ヘルゾーン

　4日は長崎で仕事の予定でしたが、台風7号の接近に伴い、当日入りができなくなる可能性があるからと代理店の方に言われ、急遽、3日の最終便で長崎の佐世保に前乗りすることになりました。

和式便所、バケに次いで嫌いな前乗りは俺にとって苦痛以外のなにものでもありませんし、苦痛という意味ではオカダカズチカのコブラクラッチ以上と言っても決して過言ではありません。予算の関係もあるでしょうからスイートルームとは言いません。せめて、ぐっすり眠れる部屋を用意して頂ければそれで充分との願いも虚しく、俺にあてがわれたのは田舎の学生が東京に出てきて最初に暮らす四畳半一間のボロアパートみたいな部屋。もう完全にかぐや姫の神田川の世界です。

地獄と呼ぶに相応しい部屋ですからもはや寝る以外の選択肢はありません。到着後、部屋で寛ぐことすらせず、すぐにベッドに入り目を瞑ったのですが、それと同時に隣の部屋からトントントンと金槌で釘を叩いているような音が聞こえてきました。フロントに苦情の電話を入れようかとも思いましたが、隣人が頭のイカレた野郎だった場合、包丁片手に部屋に殴り込んでくる可能性もあります。それだけはマジ勘弁といったわけで、結局、夜中の3時まで我慢したのですが、よくよく考えてみるに丑三つ時まで続いたということは藁人形に釘を打ち込んでいた可能性も否定できません。だとしたらこの部屋というかホテル、地獄レベルは相当なものです。

翌日は台風接近ということもあり朝から激しい雨が俺を洗う、激しい風が俺を運ぶ、激しいビートが俺に叫ぶ感じでしたが、特に渋滞もなく予定時間の少し前にホールに到着。最近、お気に入りのディスクアップに腰を下ろし、早速、打ち始めたのですが、ビッグ中のビタ押しを一度も失敗しなかったのにDJゾーンはすべて30G以下。ドットに23Gと表示されたときは昨日始まった地獄が過去形でなく現在進行形であることを確信しましたが、結果、収支はプラスだったので終わりよければすべてよし。地獄を忘れさせるに足る力を有している金は凄い、地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものです。はい、おしまい。

という、しょうもないオチを用意していたのですが、夕方以降、長崎発の飛行機は全便欠航。仕方なく車で2時間掛けて福岡空港に移動したものの、やはりほとんどの便は欠航で結局家に着いたのは午前0時を回っていたとなれば、もう地獄も地獄、地獄少女でも打って地獄のフルコースを味わえばよかったなと後悔頻りでございます。はい、ホントにおしまい。