制御不能

　基本的にはディスクアップを打った後の仕上げ。その日を総括する感じで忌々しい綱取物語を打っているわけですが、あれは二週間ほど前でしょうか。生まれてはじめてお座り1回転で当てる快挙を成し遂げました。それもこれもドンキホーテこと谷村ひとし大先生のおかげだというのは、すんません、言わずとも嘘ですが、ほぼ毎日打っているからでしょう。二週間前の出来事が遥か遠い昔、戦後ヤミ市の角砂糖を舐めていた頃の話のように思えます。

　例によってこの日もバカみたいにアツくなっていました。スタートにはポコポコ入るのに玉が黄色い盃の役物になかなか乗らず、ステージからハズレ穴に直行というパターンが多く、始動口への入賞は2千円で1回程度と、正直、かなりストレスの溜まる展開です。って、ストレス解消のための綱取物語なのにストレス溜めてどうすんだって話ではありますが。

　投資は1万円まで。1万円で当らなければ潔くヤメよう、いつもそう思って座るのですが、残高が千円くらいになると台が俺のヤメようかなという雰囲気をそれとなく察知するのでしょう。実戦上、9千円目くらいで必ずハズレリーチが掛かるのです。こうなるとどうしたってもうひと勝負したくなりますから、投資の上限を2万円に設定。そうするとまた残高千円くらいでリーチが掛かって3万円といった具合に投資の上限を徐々に釣り上げていき、最終的には感情を理性で制御できなくなって青天井。まさに制御不能な日本人、ロスインゴブレナブレスデハポンです。

　行司に腕ひしぎ逆十字、或いは脇固めを掛けて右腕を脱臼させてやろうか。いや、頭上のカウンターが20を優に超えている点に鑑みて、もしかすると行司でなく悪徳レフェリー、阿部四郎の可能性なきにしもあらずですが、もうここまでくると引くに引けませんというか、当てるまでは帰るに帰れません。

　結果、37回当りなし。この日の所持金72本すべて持って行かれたわけですが、トランキーロ、あっせんなよ。前日は35回当りなしで60本。2日間で72回当りなし、132本持って行かれているとなると、さすがの俺もそろそろ真剣に考えなくてはいけません。綱取を打つ際は毎回50万持って行くかどうかを。