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塾長

みんなのために

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公開日: 2023/09/22

 

 街を歩いていて知らない人に声をかけられたり、パチ屋に行ったときにパッと人が集まってきたりすると、まるで芸能人にでもなったかのような錯覚に陥ります。そしてあまり頭のよろしくない方は調子に乗って「みんなのために」とか言い出します。そういうバカを私はいつも否定も肯定もせず、外野スタンドの三階席でメモを取りながら半笑いで眺めています。

 

 きっと気持ちがいいのでしょう。みんなのために的な発信をすることで、あまりよく分かっていない人たちに「凄い」とか「さすが」と言われて、悦に入るのがたまらないのでしょう。みんなのためにの、その先のプランはひとつも決まっていない、或いは抽象的だったとしても、とりあえずアドバルーンを上げた時点で熱狂的な支持者はそれを追及しませんから。このあたりは公約をひとつも実現しない現職国会議員の選挙運動中の街頭演説と重なります。

 

 

※皆様が幸せになりますようにと祈りを捧げているというのは嘘。部屋のWi-Fiが直りますようにと祈りを捧げているのです。

 

 

 分からなくはありません。こういう仕事をやっていると割とチヤホヤしてもらえるので、ついカッコいいことを言いたくなっちゃったり、つい自分を良く見せたくなっちゃったりするのは分からなくありません。実際、私も賞金の懸かった実戦番組で「賞金は恵まれぬ子どもたちのために」と発言してみたり、クラブイベントを開催して収益金をNPO法人に全額寄付したりして「偉い」とか言われると悪い気はしませんから。ただ、これって裏を返せば自分が気持ちよくなりたくてやっているとも取れなくないので、みんなのために感を見せるのは違うのかなと今さらながらに思っています。

 

 

※セブンスピリット、オケの練習風景

 

 

※こちらはセブ島にあるスラムです。

 

 

 先日、少年と田中と私の三人でセブ島にある海沿いのスラムに行きました。スラムに到着するとどこからともなく子どもたちがやってきて田中に「ヒロ、ヒロ」と声を掛け、気付いたら数十人の子どもたちに囲まれていました。別に金をせびりにきたわけでも、スマホを盗みにきたわけでもありませんし、俺のソーセージを食いにきたわけでもありません。聞けば、彼ら彼女らは田中が理事長を務めるNPO法人セブンスピリットに通っている子どもたちとのこと。よほど好かれているのか、スラム視察中も子どもたちは田中から片時も離れようとしません。

 

「まあでも、自分のためにやってますから」

 

 みんなのためになにかをやっている人は結果、みんなのためになっているだけであって基本的には自分のためにやっているのでしょう。そんな話をリアル不動の田中から聞くとやはり例の「みんなのために」は否定こそしないものの、こっちのほうがカッコいいなと個人的には思います。って、知らんけど。

 

 

※ホールで騎士団に囲まれる女性ライターとスラムで子供たちに囲まれる田中、どちらも素敵ですが格の違いは感じました。

 

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