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公開日: 2025/02/28
おひとり様三万以上する高級鮨店は確かに美味い。なんとなく美味いと言わないとバカ舌だと思われてしまうから美味いと言っている部分も少なからずありますが、既にご承知のように私の職業はパチスロライター見習いです。ヒエラルキーの最下層に位置するパチスロライター見習いに高級鮨店はどう考えたって似合わないし、そもそも身の丈に合っていません。国後島で夏季オリンピックが開催されるとか、中武先輩の食べるスピードが赤ちゃんより速くなったとか、そういっためでたいことがあったときにワンランク下、おひとり様二万くらいの鮨店に行くのがちょうどいいように思います。
※以前、コロナを伝染してしまったお詫びに松未満竹以上の鮨をご馳走させてもらいましたが、鮨はアツアツじゃないからでしょう。五歳児くらいのスピードで食べていました。
かつて少年は目の前になにがあるかでその店のランクが分かると言いました。目の前に皿がある店は梅、魚がある店は竹、なにもなく、なおかつ利き手の方向、要は左効きであれば「ノ」の字に握りを置く店が松だと言いました。中学生の時点でこれに気付いた少年はなかなかの逸材だと思いますが、個人的には目の前にショーケースがあってその中にいくつものネタが並んでいる竹クラス、即ち大衆鮨店がいいというか好きというか、ひとり一万の予算で足りるので一部の後輩に財布呼ばわりされている私としては非常にありがたい存在です。
※私が最も好きな鮨ネタは小肌ですが、最初に小肌を頼むと多くの職人は構えるそうです。
大衆鮨店ですからあまり多くは望めません。握りは口に放り込む前に自ら醤油を付けねばなりませんし、ワサビも職人が分量を間違えると涙がちょちょぎれる練りワサビですし、もしかしたら野良猫を撫でた手、ハイライトを吸った手を洗わずに握っているかもしれません。ただ、そのあたりはこちらも分かっています。どこからともなく流れてくる八代亜紀の悲しい演歌を聴きながら、炙ったイカを肴にコーラをチビチビやるというのも粋じゃないか。今日はモンキーで四万負けたことだし大衆鮨店で許してもらえないだろうかと、高級鮨店行きを一歩も譲らぬ少年に言ったところ、練りワサビも八代亜紀も好きじゃないからそれなら行かないと言われ、結果、高級鮨店に行く羽目になったのですが、もしかすると練りワサビであれ、八代亜紀であれ、サビに涙するのは真っ平ごめんということだったのでしょうか。
※手で食え、手で。このバカタレが。
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