優越感

　上客しか立ち入ることが許されぬラウンジに通されたときや、お気に入りの女性ライターからこっそり実家の電話番号を教えてもらったとき、はたまた行きつけの牛丼チェーン店で「いつもありがとうございます、マリブ鈴木様」と名前を呼ばれたときなど、人はちょっとしたことで優越感を抱きます。

　中にはピンと来ないという方もいらっしゃるでしょうが、シマに1台しかない北斗SEの最高設定に座れたときや、難解なリーチ目で人知れずボーナスを察知したときなどにクソッタレとか、アッタマキタとか、アッタマキンくさっとか言う人はまずいません。普通、こうしたケースでは嬉しい楽しい大好きなはずなので小躍りしながら喜ぶのではないでしょうか。残念ながら、私はこれまでパチスロ人生でこの手の優越感を味わったことはないに等しいですが。

　これはパチスロ動画も同様。本来、あの手の動画は立ち回りやゲーム性を学ぶため、或いは女性ライターのサービスパンチラ目的で観ている方がほとんどですが、中にはそうでなく優越感を味わいたいがために観ているという方もいらっしゃいます。知識もスキルもない私みたいなド素人がパチスロを打っている動画を見て、そこは違うだろ、それ確定だろ、俺でも知ってるわ、ヤメちまえと誰もいない真っ暗な四畳半でパソコン画面に突っ込みを入れることを生きがいとしている方も多くいると聞きます。

　ただ、よく考えてみてください。そういうミスを見つけたとき、視聴者の皆様は「俺はパチスロライターより詳しい」と思うのではないでしょうか。つまり、俺の劣等感は皆様の優越感。皆様に優越感という極上のホスピタリティを提供するため、日々、凡ミスを重ねているというのは、勉強不足の言い訳としてはちょっと苦しいですかね。