作業着

　地方のホールに行くと上下グレーのスウェットにベンサンという、だらしない格好、いや、だらしないは言い過ぎましたごめんなさい。ゴミ捨てに行ったついで、或いはコンビニにアイス買いに行ったついでにホールに来ちゃいましたみたいな格好の若者をよく見かけます。そう、ゆるゆるのケツポッケから今にもブランドモノの長財布が落ちそうな彼らのことです。

　この手の格好をしている方は専業に多く見られるのでグレーのスウェット上下は作業着だと考えれば理に適っているというか、工場であれ、刑務所であれ、作業着の基本はグレーですから正装と考えられなくもないのですが、朝イチの並びで寒さに凍えながらエメラルドマウンテンで暖をとる彼らを見ているとこう言いたくなるのです。風邪を引くからもう少し暖かい格好をしてきましょうよと。

　ホールは同僚も経理のボインもいない仕事場なのでオシャレをする必要はまったくありません。ですが、医療現場も逼迫していることですし、ここはひとつウルトラライトダウンを一枚羽織るとか、母さんが夜なべして編んでくれた手袋するとか、なんならブルーシートを身体に巻き付けて教会の炊き出し（豚汁）に並んでみるとか、暖を取る方法はエメラルドマウンテン以外にもあると思うのです。

　私のオススメはプルオーバーのパーカーなどでよく使われる裏地が起毛のスウェット。タオル地のそれよりも格段に温かい上、とにかく動きやすい＝ホール内を巡回しやすいのでハイエナにも向いています。その下にヒートテックを1枚着込んでいればなおよし、マルハンアラスカ店の7が付く日の朝イチ抽選にも耐えられます。多分。

　いま流行のアイドル店員の気を引きたくてちょっとオシャレな感じを醸し出したいということならカシミアのニットは如何でしょうか。保温性は抜群だし、肌触りだって湘南美容外科クリニックでしっかり脱毛したメコスジくらい良いです。難点は実際に触ってみないとカシミアだと分からないという点。そう考えるとアイドル店員に気付いてもらうためのハードルは極めて高いと言えますが、大丈夫、彼女はなにがあっても絶対にヤラせてくれないから安心してください。

　私は仕事であれ、プライベートであれ、この時期は起毛のパーカーかカシミアのニットを着ていくことが多いように思います。昨日も現場が長野県だったのでカシミアのニットの下にヒートテックを着込んで準備万端で向かったのですが、額に豚汁をにじませながらゴミみたいな哲也を打って気付いたことがひとつあります。それはなにかというと寒い地方のホールは総じて暖房が効きすぎて死ぬほど暑いという点。朝イチの寒さを我慢してでも上下グレーのスウェットにベンサン、これが最強との結論に達しました。

※ザ・ノンフィクション的