ボートレース
記事一覧へ公開日: 2016/12/14
あれは今から3〜4年前くらいのことでしょうか。
その日は翌日の仕事のため鈴虫さんと2人で福岡県に前乗りで、ちょうど2人ともオフだったものですから、早めに向かって福岡で遊ぼうという話になっていました。
ところが、当日まで特に予定を立てるわけでもなく現地に着いてしまいましたので、さてどうしたもんかと2人で途方に暮れていると、鈴虫さんがポツリとつぶやいたのです。
「やっているぞ。今日。ボートを」
福本漫画ばりの倒置法で何を言い出したかと思ったら、ボートとはとどのつまりボートレース。福岡競艇場でレースが開催されているというのです。
僕はぱちんこ・パチスロ以外のギャンブルを一切やらないのでボートはからっきしダメですが、幸い鈴虫さんはボートに関してはベテランの域に達してますし、僕もモンキーターンは全巻読んでましたし、まぁ波多野もしくは榎木さん的な選手に賭ければ大負けはしないだろうと、むしろ中洲での飲み代を捻出できる可能性だってあるぞと鈴虫さんの案を採用したわけですが、これが地獄の始まりでした。
明日明後日と福岡での実戦を控えていたため、大きな勝負は避けようというのが僕らが最初に定めたルール。1レースあたり2人で千円以内の賭け金におさえることができれば最終レースまでやったところで負け金はたかが知れていますし、ひとつ大きいのを当てるだけでプラスになる可能性だって十分にある。素人である僕は鈴虫さんの予想に乗っかるカタチになるから、ノリ打ちならぬノリ賭けで勝負に挑むことにしました。
がしかし、ベテランの予想が全くもって当たらない。ボートレースは基本的に最初のコーナーを過ぎたあたりでほぼ勝敗が決するため、熟考に熟考を重ねて導き出した答えがものの数秒ではいハズレですとなるその様は無情極まりなく、僕らの間には苛立ちと投資だけが積もっていったのです。
投資が嵩めば、「取り戻さなくては」となるのがクズ人間特有のギャンブル脳。最初に定めたルールは何処へやら、いつのまにか1レースに軽々と数千円をブチ込んでおり、それでも全く当たることのないまま最終レースを迎えました。
その時点でのマイナスは、2人合わせて6万円。 数時間前は、多少勝負に出たレースがあったとしても1人あたり1万円にも満たないマイナスで済むだろうなんて思っていたのに、なぜ僕らは6万円も負けているのか。あぁ、こんなことなら2人でヤフオクドーム見学にでも行ってりゃよかったと愚痴ったところで6万円は返ってきやしませんし、取り戻すためには最終レースに賭けるしかありません。
とはいえ、単勝に賭けたところでリスクはあれどリターンはナシ。かといってこれまで散々ハズし続けている三連単で勝負をかけても同じ結果になるのは目に見えています。
単はダメ。三もダメ。だったら残るは二しかない。二連単しかないじゃないかと、最後の最後で僕ら2人の意見が一致したレースは、幸い1着は一号艇がカタく、2着は二択、二号艇or三号艇といった具合だったのですが、あろうことか鈴虫さんはこの二択を僕に委ねてきたのです。
倍率はどちらも約4倍。取り戻すためには1人あたり1万円、つまり2万円を賭けてドンピシャなら8万円が返ってくるわけで、そうなればこれまでの負債6万円と最終レースでの賭け金2万円がキッチリ戻ってくる計算になります。
1-2か1-3か、1-3か1-2か。
吐き気を催すほど頭をフル回転させ、僕が出した答えは1-2。赤より黒、蒲生さんより榎木さんだろと、1-2に2万円をブチ込みました。
…が、結果は1-3。
まったく見当外れな結果で終わるならまだしも、無情にも悩んで切り捨てたほうが正解だったのです。
その後、2人で安い酒を飲みながらバーのカウンターに置いてあった灰皿の上でハズレ舟券を燃やしたわけですが、この苦い記憶はパチスロモンキーターンを打つたびに思い出され、この頃はモンキーを打つ機会も減ってやっと思い出さなくなってきたかと思ったら、先日、モンキーターンIIIのリリースが発表されました。
楽しみな反面、またこの苦い記憶と戦う日々が戻ってくるのかと思うと、ちょっとだけゲンナリします。
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