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諸積ゲンズブール

サ道 7

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公開日: 2020/04/21

熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させることをロウリュといい、その立ち昇った蒸気をタオルなどを使ってあおぐ行為をアウフグースといいます。

そして、そのアウフグースをする人を熱波師と呼び、彼らは巧みな話術でサウナ室内の空気を和ませ、魔術師のようなタオルさばきで参加者を恍惚へ導く、我々サウナーにとっては司令塔のような存在です。
 
 
しかし、司令塔といってもジダンであったりプラティニであったり、あるいはルイ・コスタであったりと、サウナによって熱波師のプレイスタイルは様々。
トークはからっきしだけどここしかないという絶妙な位置に熱波を送り込む、寡黙な司令塔・中田英寿のようなタイプもいれば、熱いハートを前面に出して拍手を呼び込む、ラモス瑠偉のような司令塔もいます。
どちらにせよ、彼らは個の集まりであるサウナ室を統率することで、僕らが水風呂というゴールに気持ち良くダイブできるよう、尽力してくれているのです。
 
 
 
先日、東京都内のとあるサウナ施設を訪れた時のこと。
タオルは使い放題で休憩所にはハンモック、さらには人もまばらと、完全に僕の中でのオアシスの条件を満たしているサウナで、これはロウリュも期待できるぞと、立派なアウフグースに違いないと胸を踊らせながらサウナ室に向かいました。
 
 
 
待つこと数分。
ガチャッとサウナ室の扉が開き、カンダタのような屈強な熱波師がタオル片手にやってくるかと思いきや、入ってきたのはまさかまさか、カンダタどころかまるでブライ、熱波で倒れそうなよぼよぼのジジイではありませんか。
 
 
 
だ、大丈夫か…?
 
 
 
90度を超えるサウナ室の中でタオルを力一杯振り回すわけですから、熱波師は相当な体力を要する仕事です。
それがこのジジイにできるのか…。残念ながら、答えは火を見るよりも明らか、タオルを振り回した瞬間、熱波は自らを襲うメラゾーマとなり、ブライのHPはたちまちゼロになってしまうでしょう。
 
 
案の定、最初の挨拶もアロマオイルの説明も、ごにょごにょと小さい声で聞き取れません。
頼りない司令塔の登場に落胆した表情を浮かべる者もおり、サウナ室内のテンション、チームの士気が下がっているのを感じます。
 
 
 
はぁ…。せっかくいいサウナを見つけたと思ったのになぁ…。
 
 
 
僕も皆と同じようにガックリと肩を落としたその刹那、ジジイが手にしたのはタオルではなく大きな団扇。ブライの杖よろしく、団扇という名の武器を取り出したジジイは、先ほどとは打って変わって誇らしげに立っているではありませんか。ジジイ、その手があったか。
 
 
 
 
それでは始めさせていただきます。
 
 
 
 
これまた一転してよく通る、自信に満ちたジジイの声が聞こえた次の瞬間、手に持った団扇から大量の熱波が届き、先ほどまで落胆していた者達がみるみるうちに活力・生命力を取り戻しているのがわかります。
団扇を魔法の杖と化し、MPを削りながらもアウフグースで我々を回復させてくれる、そんなジジイの姿に胸を打たれ、いつの間にかサウナ室は個ではなくチームとなり、終わる頃には拍手喝采、惜しみない賞賛がジジイに送られました。
 
 
 
いくつになっても現役にこだわり、言葉少なくともそのプレイスタイルでチームを牽引するその姿は、例えるならばキング・カズ。
司令塔じゃなくともその背中を見てチームが一つになるならば、ジジイにはキングの称号をとも思いましたが、お祭り団扇はいわばドーピングのような気もするので、そういう意味ではマラドーナであり、キングでもマラドーナでもあるジジ…もとい、漢(おとこ)がロウリュしてくれるサウナ、必ずや、また行きます。
 
 
 

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