サウナ道 30
記事一覧へ公開日: 2020/11/26
ととのいスペースは室内ながらも、浴場は4階にあるため外からの風が心地よく、配分をしくじったセルフロウリュから14度の水風呂という激しめの1セット目を終えてポケポケと休憩をしていると、ほどなくしてロッキーサウナでのアウフグースの時間となりました。
約90度というロッキーサウナの室内は、ソーシャルディスタンスを保っても10名以上は入るという広さなのに、開始時刻を迎える頃にはほぼ満員。残念ながら上段中段は埋まっていましたので下段に腰をおろし、アウフグースに備えてピッと姿勢を正します。
オンタイムになったところで熱波師が入室し、いつものように始まりの挨拶があったのですが、そこはさすが大阪。今までのどの熱波師よりも元気が良く、それに呼応するかのように客席からの拍手も大きく、早くも室内のボルテージは上昇して一体感が生まれました。
毎日のようにサウナに通ってわかったことがあるのですが、上手な熱波師というのはただ熱い風を届けるだけではなく、場の雰囲気を掴むことに長けているように思います。そう、色んな意味で空気を操るのが上手なのです。
そしてその経験則に基づくならば、今回の熱波師はいいアウフグースをしてくれるに違いありません。
ジュッ…
ジュジュッ…
ジュワァァァァ…
一杯二杯と丁寧にアロマ水をかけ、室内にはペパーミントの香りが広がります。寝る前に毎晩ヤードムを鼻に突っ込んでいる僕にとっては、まさに至福の時間です。このスースー感、大好き。
その後、タオルをぐるぐると回して蒸気を攪拌させ、いざアウフグースが始まると期待通りの力強さに汗がドバドバと噴き出してきたのですが、この熱波師、とにかくよく喋る。最初の挨拶からアウフグースをしている最中まで、ずっと喋っているのです。
そりゃあアロマ水の効能を教えてくれるのはたしかにありがたいし、水分補給の大切さを説くのも熱波師の役割ではあるけれど、途中途中に
「当館には食事処やリラクゼーションもございます〜」
なんて宣伝したり
「本日は土日限定! アクリ(アクエリアスとリアルゴールドを混ぜたもの)が通常価格490円のところ、300円で販売しております〜! どうぞご利用ください〜!」
だなんて、あからさまに商売っ気出してくるし。
熱波を浴びせながらそんなこというなんて、もはや大槻班長の手口ですよ。水で我慢してたら、「だめだめゲンズ君、我慢はいけないよ」なんて声かけてきちゃったりして。
商人の街・大阪の熱波師は、サービスをただのサービスでは終わらせない、温度を上げたら売上も上げるといった、商魂たくましい精神をお持ちのようでした。
まんまと口車に乗って生姜焼き食って帰ったのは、ここだけの話です。
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