ロンダリングしたい

2023年なのにスキニー履いてる女はだいたい元ヤン。

パチンコライターを生業にしているせいで、ごく稀にではありますが、「元ヤンですか？」と聞かれることがあります。よく言えば素朴、悪く言えば芋なこの風貌で元ヤンなはずがないだろう？　とは思うものの、この風貌で元ヤンだったら人間としての深みが演出できるよな〜と、魔が差してしまうところをグッと堪える人生を送っております。ちなみに、元ギャルと公言する女子ライターは全員元ヤンです。

グレてそうなるのではなく真っ直ぐに成長すればこそヤンキーが完成する限界集落のクソ田舎出身ではありますが、万引きをしたこともなければ殴り合いのケンカすらしたことがなく、ましてや盗んだバイクどころか、親が買ってくれたVinoとヤフオク！で競り落とした壊れかけのVespaでしか走り出したことがない私は、悪さと言えば多少の遅刻と16歳のパチンコくらいなもの。ヤンキーやギャルとは縁遠い青春を送ってきました。

ヤンキーに憧れているのはあまりにダサいので認めたくはありませんが、飛び級システムでパチンコ大学に入ったこともそうですし、なんだかんだでどこか少し治安が悪いサムシングには憧れがあるというか、惹かれてしまう部分が自分の中には確実にあります。

そのせいなのかもしれませんが、来店業務等で地方に前乗りする際にその土地の歓楽街へと足を運ぶことが好きで、大分の都町や仙台の国分町、小倉、梅田、大街道、秋田町など、治安がやや悪い街をあてもなく散歩したりネオン街の写真を撮ったりすることにハマっていました。

最も馴染み深い歓楽街で言えば、名古屋の栄です。パチンコメーカーやその直営店が多い名古屋は、パチンコライターの出張先ランキング堂々1位でしょう。私も例外ではなく、名古屋へは幾度となく前乗りしましたし、何なら先月も行きました。そして名古屋で前泊する際は、なぜだかどうして、わざわざ栄のど真ん中に泊まっています。

栄の治安は数ある歓楽街の中でもトップレベルに悪いです。歌舞伎町と比べても栄が上かも。歌舞伎町は入り口から最深部にかけてグラデーション的に治安が悪くなる印象がありますが、これは栄に限った話ではなく田舎に行くほど同じ印象を受けるんだけど、出会って5秒で半グレと合体しそうな、ドアを開けてすぐに最新部がある治安の悪さです。

とはいえ、シラフで普通に真っ直ぐ歩いているぶんには特にトラブルに遭うこともないので、その空気感だけを消費するべく、栄のど真ん中を定宿にしてしまうのです。どうしてそういう空気の中に身を置きたいのかについてはハッキリとした理由はありませんが、不思議と感じる居心地の良さが間違いなくありまして。

もっとお金を稼げるようになったら、歌舞伎町のど真ん中に仕事部屋を借りたいなとも思っています。敬愛する岩井志麻子先生が歌舞伎町に住み続けているということもあるし、ヤンキーだったら若いうちに備えられたであろう感覚を今からでも会得できるのではないかという算段もあったり。その感覚がパチンコライターとしてももちろんですし、別のフィールドで書き物仕事をやらせてもらえる機会があるとすれば、すごく自分を助けてくれるんじゃないかなって思うんです。

あとはロンダリング的な使い方としても意味があるような。「元ヤンですか？」の問いに対して全然違うと答えた時に流れた、少しガッカリされるあの雰囲気。パチンコを生業にしていることについて、急に説得力を失ってしまったような感覚が残ったんです。

元ヤンじゃないならビジネスパチンカーかなと邪推されているあの感じ。被害妄想だとは思っちゃいますが、治安の悪い街に軸足を置くことでパチンコ打ちとしての説得力は確実に得られるハズ。ヤンキー感を出すためのロンダリング。いつか実行に移したいと思います。

PS.今東京で一番治安が悪いのは表参道と台東区の某パチ屋です。